静岡県「山のグレーディング」の公表
静岡県と長野、山梨、新潟の4県は、登山者の山岳遭難事故防止に役立てるため、「山のグレーディング」(難易度評価)を行いました。
1背景と目的
- 全国の山岳遭難件数はここ数年増加の一途をたどるという深刻な事態が続き、平成25年には最多の2,172件を記録しました。
- この背景には、登山者が自らの力量(体力、経験、技術、装備、知識など)を超える登山ルートを選び、無理な登山をしていることもその一因と考えられますが、これまで、客観的な根拠に基づく登山ルートの評価についての情報提供は十分ではありませんでした。
- このため、平成26年5月に長野市で開催された「中央日本四県(新潟・山梨・静岡・長野)サミット」において、4県が共同でこの課題に取り組むことに各県知事が同意したものです。
- 今回公表する「山のグレーディング」は、各県内の登山ルートの難易度を情報提供し、登山者が「自分の力量にあった山選び」をすることにより、山岳遭難事故の防止に役立てるものです。
- 長野県は、平成26年6月に「信州山のグレーディング」を公表しています。
2静岡県「山のグレーディング」の内容と使い方
- 現在、国内にはさまざまな登山道があり、「歩行時間や距離」と「遭難リスク」は必ずしも比例するものでありません。例えば、歩行時間が短く日帰りが可能なコースであっても、途中に転落・滑落や道迷いの危険箇所があるなど、登山初心者には適さない場合があります。また、登山道が整備されており比較的安全と思われるコースでも、歩行距離が長かったり、上り下りの標高差が大きかったりなど、体力を消耗する場合には、体力の低下している登山者には適しません。
- この表では、必要とする体力と技術・能力を別々に評価し、縦軸で体力度を、横軸で技術的難易度を表すことで、自らの力量にあった登山ルートの選定に役立てることを目的としています。
- コースタイム、ルート全長、累積登り標高差、下り標高差の4つの数値から、次の式により「ルート定数」を算出し、1~10の10段階で評価しています。
ルート定数=コースタイム(時間)×1.8+ルート全長(km)×0.3+累積登り標高差(km)×10.0+累積下り標高差(km)×0.6
- 登山ルートの特性や登山者に求められる技術・能力により、A~Eの5段階で評価しています。
- これから登山を始める方や登山経験の浅い方は技術的難易度Aからスタートし、上位ランクを目指す場合には経験者に同行することを推奨します。
3使用上の注意
- この表は、「無雪期(富士山は登山道開通期間)」・「天候良好」の条件のもと、ルート固有の特徴について必要体力度と技術的難易度を評価したものです。これ以外の条件では難易度は上昇します。
- 実際の登山では、体力度や難易度以外に、悪天候、残雪、体調、その他偶発的な要因による様々なリスクがあるので、それらにも配慮した計画を立てることが必要です。
- 気象や地震などの影響により登山道が悪化することで、難易度が上昇することがあります。
- いずれのランクにおいても、初めてそのランクを経験する場合には必ず経験者を同伴してください。
- この表に記載した山岳・ルートは、静岡県内で比較的登山者が多いものから選定したもので、必ずしも登山を推奨するものではありません。整備・維持管理されていないものも含んでおります。また、ルートの通行や山頂への到達、通行上の安全を保証するものではありません。
- 登山される際には、十分な準備のもと、自己責任において入山してください。記載のルートにおける事故について、責任は負いかねます。
- ルート全長及び累積標高差は図上計測のため、実際の数値に対し誤差を含んでいます。
- コースタイムは目安であり、実際の登山に要する時間は個人差があります。
4火山情報
表に記載されている山岳のうち、富士山は火山です。登山前に火山情報を確認してください。
静岡県山のグレーディング
隣接県のグレーディング表(各県のサイトへリンクします)
日本山岳ガイド協会の「コンパス」でも検索できます。