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ホーム > 県政情報 > 県政総合 > ようこそ部局長室へ > 知事戦略監室 > デザイン思考 ~現場主義へのメソッド~

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更新日:令和2年3月13日

デザイン思考現場主義のメソッド~

 

私は、これまでに多くの新規事業の立ち上げや改革に携わってきましたが、どうすれば新しいアイディアを思いつき、実行することができるのか、という質問をよく受けることがあります。この質問に上手に答えることができず、直感的洞察力ではないのか、などと簡単に理解されない答えをしたこともありました。

しかし、最近、私自身の政策立案の手法と基本を同じくする手法・考え方に出会うことができています。ひとつは、以前ご紹介した「OODAループ」です。これは、「現場に出向き、何が課題となっているか現状を把握し、政策実現のための道筋を思い描き、すかさず実行する」、それらを繰り返すというものです。

そして最近、これとよく似た考え方を示している「デザイン思考」という考え方に出会いました。「デザイン思考」をご紹介することで、「OODAループ」の手法を補足し、新しいことを始める時の私自身の思考方法を、より深く伝えることができればと思います。

 

<デザイン思考とは>

 

デザイン思考とは、端的に言えば「デザイナーがデザインをする時に用いる考え方や思考過程」のことです。もともとデザイナーと呼ばれる人達は、衣装や工業製品、建築などをデザインするときに、人間の生活との関わりの中で、新しいデザインを考えてきました。アートとは違い、どんなに斬新であっても人間が使いにくければその商品は売れず、逆にいつまでも同じようなデザインでは飽きられてしまいます。このため、まだ誰も見たことがないような新しくかつ使いやすいデザインが必要とされてきました。

このデザイナーたちの考え方をビジネス全体にも応用しようという動きが2000年代の欧米で広まりました。特に、アメリカのカリフォルニア州に本拠を置く、世界的デザインコンサルティング会社IDEOのCEOティム・ブラウンらの活躍により、「デザイン思考(DesignThinking)」という言葉に注目が集まりました。現在、人々はすでに十分に多くのモノを手に入れ、企業にとって、モノを作れば売れるという時代は終わりを迎えています。さらにコンピューターなどの新しい技術が次々に生まれていく中で、消費者に選ばれるモノやサービスを新しく提供していくためにはどうしたらよいのか、その答えを求めるビジネス界の人々によって、「デザイン思考」が広まっています。

 

<デザイン思考のプロセス>

 

デザイン思考の最も基本となる考え方は、常に「人間を中心」にして考える、ということです。これまでは、技術的に可能かどうか、市場のニーズや動向はどうなっているのか、という企業側の視点から新しいモノやサービスが作られてきました。一方、デザイン思考は、人間の生活を観察し、共感する(自分がその生活を送る人物になりきる)ことで、本当にその人が求めているものは何かを探すことから始まります。そして、新しいアイディアをすぐに形にして、実際に試してもらい、その様子を再び観察して修正します。このような作業を何度も繰り返すことで、本当に人々が必要とする新しいものを創り出すことができるのです。

このような「人間中心主義」の考え方をもとにした「デザイン思考」の具体的な手順は、いくつかのプロセスで表現することができます。例えば、デザイン思考の教育・推進が行われているスタンフォード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所(通称「d.school」)は、以下の5つのプロセスを提案しています。

1Empathize(共感)

人々が何を考え、求めているか観察・共感し、ニーズを探る。

徹底的なフィールド観察やインタビューを通して、ユーザー自身も気づいていない不便さや問題を発見する。

2Define(定義)

感によって得た情報をまとめ、問題を定義する。

3Ideate(アイディア)

定義した問題に対して、既存の枠組から離れた新しい解決策を見つける。

ブレインストーミングなどを利用して、できる限り多くのアイディアを出す。

4Prototype(プロトタイプ)

試作品を作ってアイディアを具現化し、機能性・効果・実現性について検討する。

まずは身近にあるものを使って、とにかく作ってみる。

5Test(テスト)

ユーザーに実際に使ってみてもらい検証し、改善点を探る。

すぐに1~4のいずれか(あるいは全て)に戻り、サイクルを繰り返す。

 

(参考:ジャスパー・ウ(著)、見崎大悟(監修)『実践タンフォード式デザイン思考界一クリエイティブな問題解決』インプレス(2019年9月6日)

 

ただし、この5つのプロセスは順を追って進むとは限りません。行ったり来たり、飛び越えたり、複数プロセスが同時進行する場合もあります。また、このプロセスを本当に身につけるためには、新しいアイディアをできる限りたくさん思いつき、発想をすぐに形にする訓練を毎日続けることが必要です。

このように、人間や現場を中心として何度もプロセスを回していく点で、「デザイン思考」と「OODAループ」はとても似ています。また、「OODAループ」と「デザイン思考」は、チームや組織のあり方についても考察をしています。そして、現場やチームを大切にするという考え方は、まさにこれまで私自身が実践してきたものだと思っています。

 

<現場主義>

 

現場主義は、川勝知事も行動の基本としています。移動知事室や知事広聴をはじめとして、何度も県内各地に赴いています。知事の考える現場主義とは、現場に赴き、現場のこえを直接聞き、現場に即した政策を機動的に展開するというものです。県政に対する県民ニーズとその解決方法は、時々刻々と変化する現場にある、と考えるからです。

そして、この「現場主義」を具体的にどのように実践していくのか、そのヒントが「OODAループ」や「デザイン思考」にあるのではないかと思います。

せっかく現場に行っても、現場の話をただ表面的に聞くだけで、解決策やフィードバックもないまま終わってしまう例をよく見かけますが、これは現場主義とは言えません。

私たちが取り組む県の事業は、地域やそこに暮らす人々の課題を解決するためのものでなくてはなりません。そのために、まずはどのような課題があるのか、現状を把握する必要があります。地域に住む人達がどのように暮らし、何を問題だと思っているのか、実際に見て、聞くことが必要になります。

 

もちろん、様々な数値やデータを用いて現状分析をすることも、必要不可欠です。しかし、それだけに頼るのはとても危険です。なぜなら、私たちが向き合わなければならないのは、人々のリアルな生活です。人間は完全に合理的なものではなく、感情や直感によって行動をすることもあります。また、必ずしも常に課題を意識しているわけでもありません。人間は、慣れてしまえば不便さに気づかなくなり、その暮らしに問題点などないように感じてしまうことはよくあります。さらに、本当に解決すべき真の課題は、人々の主張とは異なる場合もあります。本当に解決しなければならない問題を見極めるためには、「なぜそのような行動をしているのか」、「なぜ人々はそう思うのか」、といった「なぜ」を考えて、問題の本質を探ることが大事だと思います。(トヨタ自動車では、「Why」を5回繰り返して、問題の本質に辿り着くと言われています。)

 

次に、このようにして見つけた課題に対してどのような解決策があるのか、アイディアをできるだけ多く出していきます。せっかく現場から情報を得たにも関わらず、自分たちの財政的、制度的な枠組みの中で考えようとしてしまう例がよくありますが、これでは新しい発想は生まれません。最初は、あらゆる制約を取っ払い、現場から得たものを基にして自由に発想することが必要です。その後、財政的、技術的に可能かどうかなどを検討し、アイディアを絞っていきます。

絞られたアイディアはすぐに分かりやすい形にまとめて、現場にフィードバックします。提示した解決策に対して、現場でどんな反応があるのか、ここでも再びよく見て、聞き、さらなる課題点、改善点を見つけていきます。このサイクルを繰り返していくことで、本当に現場にとって必要な政策を考えて実行していくことができるのです。

 

<チームづくり>

 

これまで、数々の新規事業に携わりましたが、これは私一人だけで成しえたものでは決してありません。一緒に取り組みを進めてくれるメンバーが、それぞれに能力を発揮して、一生懸命取組んでくれたからだと思っています。

正直に言えば、私が新しい取り組みを提案した時、その業務をやる意味が本当にあるのか、自分たちにやる責任があるのか、メンバーたちは疑心暗鬼だったのではないかと思います。(最近では、私が企業局長のときに始めたCNFプロジェクトなどです。)そんな彼らの気持ちに気づかないふりをして強引に、まずは関係者との面談のアポイントを取ってもらったり、現場に行って調べてもらうことから始めました。そうして、世界的な研究者に直接面談したり、多くの企業がプロジェクトに参加してくれたり、セミナーが大成功を収め、国からの補助金を獲得したりするなど、着実にプロジェクトが進んでいきました。こうして一つずつ、小さな成功や達成感を感じてもらうことで、自分たちは何か新しいことに関わっている、少しずつだけど、自分たちにもできることがあるのだ、という気持ちを持ってくれたと思います。さらに、こうした積み重ねを通じて、お互いの信頼関係が生まれ、それぞれのメンバーが積極的に動き、色々な工夫をしてくれました。彼らのおかげで、様々な新規事業を始めることができたと思っています。

私は、課長級の職を任され始めたころ、組織をどのようにマネジメントしたらよいのか、リーダーの役割は何か、ということを考えるようになりました。上司という立場になった時、部下や周りのメンバーのことが信用できず、何でも自分でやってしまう者や、細部にわたって詳細な指示を出しすぎてしまったり、失敗を許せなかったりする者が多いことに気づきました。しかしそのような上司の下では、部下は自分で考えて行動することをしなくなってしまうと感じていました。

現場に行ってもらい、解決策を考え、現場で実行してもらうためには、一人ひとりが自発的に考えて行動し、それぞれの能力を発揮できるようにすることが必要だと思います。しかしそれは、皆が好き勝手に行動してもよい、というわけではありません。メンバーの行動がバラバラの方向に行ってしまわないようにコントロールすることが必要です。理念や目的をしっかりと共有し、重要なポイントを押さえてメンバーをまとめていくことは、とても難しいことですが、現場主義を具現化するために必要なことだと思います。

 

「OODAループ」でも、「デザイン思考」でも特徴的なのは、まずは行動してみる、ということです。考えるだけではなく行動することで、様々な気づきが生まれ、次のアイディアにつながります。アイディアが形になれば自信にもつながり、さらに一生懸命にやってみようという気持ちになっていきます。こうした気持ちを持ったメンバーを増やしていくことが、私の願いです。私と一緒に働いてくれた人たちが、何かひとつでも「やりとげた」という感覚を持ってくれていれば、これ以上にない幸せです。

さらに、最近「県庁には、政策を企画し、実行する人材が不足している」という指摘をよく耳にします。一人でも多くの県職員が自ら政策を企画・実行できるプロとなることを期待しています。

 

お問い合わせ

知事直轄組織総務課 

〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-2081

ファックス番号:054-221-2750

メール:chokkatsu_soumu@pref.shizuoka.lg.jp

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