うつ自殺予防対策「富士モデル」事業
基本方針
背景
実施体制
事業内容
本県の自殺予防対策自殺者数推移
基本方針
- 自殺予防対策の一環として、うつ病の早期治療の推進を図る。
- 不眠によるセルフチェックを啓発することで、働き盛り世代の男性とその周囲の気づきを促す。
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背景
- 本県の自殺の状況
全国的な傾向と同様、本県でも平成10年に自殺者数が急増し、以来、概ね750〜800人の水準で推移している。年代別には、50歳代が最も多く、60歳代と40歳代がそれに次ぐ。性別では、男性の自殺率が高く、女性の約2倍にあたる。
死因順位を見ると、自殺は40歳代で2位、50歳代では4位と、三大疾患に匹敵する順位である。
- 自殺とうつ病
飛鳥井望(1994)が、自殺企図者の精神状態について調査したところ、46%にうつ病等の気分障害が見られた。自殺とうつ病の関連は深いと考えられる。WHOもうつ病の早期治療が自殺予防に結びつくと指摘している。
WHOによると、自殺した人の40〜60%は、自殺する以前の1ヶ月間に医師のもとを受診していて、その多くは、精神科医ではなく、一般医のもとを受診しているという。川上憲人(2002)の研究では、うつ病の症状を経験した人の75%が医療機関を受診していない。これらの調査結果は、うつ病にかかった人が適切な治療に結びついていない実態を示している。
- うつ病と不眠
うつ病では、90%以上の人から睡眠障害の訴えがあり、必発症状と言える。睡眠障害があれば直ちにうつ病というわけではないが、働き盛りの男性に不眠症状が2週間以上継続する場合は、うつ病のサインである可能性が高い。
働き盛り世代の男性は、うつ病を我慢してよけいにこじらせる傾向がある。しかし、不眠であれば病気として自覚しやすく、受診につながりやすい。また、家族にとっても気づきやすい症状なので、家族ぐるみで受診を後押しすることもできる。分かりやすさ、周囲の協力の得られやすさにおいて、継続する不眠はうつ病早期発見の有効なサインだと考えられる。
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実施体制
精神保健福祉センターが事務局となって、関係機関と緊密な連携を持って事業を推進している。国、本県、富士市の各機関の担当者が参加する連絡会議を毎月持っているほか、市医師会の協力の下、精神科への患者紹介システムの運営委員会を年に3回程度開催している。また、市薬剤師会の協力を得て、富士市内の薬局等で受診勧奨に取り組んでいただいている。また、産業領域の関係機関を訪問して啓発活動への協力を依頼したり、関係者の勉強会にお邪魔したりして、顔の見えるネットワークの形成に努めている。
| 区分 |
主な関係機関 |
役割 |
| 行政 |
国 |
富士労働基準監督署 |
企画、啓発 |
| 県 |
富士健康福祉センター
(健康増進課、保健福祉課) |
富士市(健康対策課、障害福祉課)
富士市立中央病院 |
| 市 |
企画、啓発、受診勧奨 |
企画、啓発、受診勧奨
企画、啓発、紹介システム |
| 民間 |
医療 |
富士市医師会
富士市薬剤師会 |
企画、啓発、紹介システム
啓発、受診勧奨 |
| 保険 |
社会保険事業財団静岡支部 |
啓発、受診勧奨 |
| 福祉 |
地域活動支援センター |
啓発、相談 |
| 産業 |
富士商工会議所
鷹岡商工会 |
啓発 |
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事業内容
働き盛り世代の男性を主要な対象として、気づき、つなぎ、受け止めの3領域で、うつ病の早期治療体制の包括的な整備に取り組んでいる。
- 「睡眠キャンペーン」
働き盛り世代で、2週間以上不眠が継続する場合、うつ病が疑われることを周知啓発し、本人や周囲の気づきを促すキャンペーンである。公共機関や職場でリーフレット配布、ポスター掲示に取り組んでいるほか、TVCMやラジオCMも放送する(H20年2月15日〜平成20年3月5日)。
従来行われていた、うつ病に対する理解の促進を図る啓発と違い、早期発見の促進を図る新たな手法として注目されている。
- 受診勧奨
仕事が忙しい働き盛り世代の男性は、不眠に気づいても仕事を優先してしまい、受療行動に結びつきにくいという特徴がある。そのため、彼らが日常的に立ち寄る場で、専門家から受診を勧められて、後押しを受ける機会を広げるべく体制の整備に努めている。
現在、富士市薬剤師会の協力を得て、薬局やドラッグストアで、不眠に悩む人はかかりつけ医に相談するように促すという取り組みを進めている。富士市内の40 以上の薬局・薬店が協力してくれており、サンダル履きで出かけられる気軽で身近な相談機関として重要な役割を果たしている。
今後は、うつ病ハイリスク者に直接受診を勧められる機会として、健診事後指導の場を活用していきたいと考えている。
- 紹介システム
うつ病の人の初診診療科に関する調査によると、9割の人が最初に内科等の身体医を受診していて、初めから精神科や心療内科にかかる人は1割程度であるという結果が出ている。そのため、当モデル事業では、富士市医師会の全面的な協力の下、かかりつけ医や産業医から精神科医に円滑に患者を紹介するためのシステムを構築した。
このシステムの特徴は、1 専用紹介状の利用、2 精神科の優先予約である。専用紹介状は、予め問診項目が印刷されていて、それに沿って質問をしていくと、手軽にうつ病についてのインタビューができるようになっている。また、精神科のクリニックは予約が混みあっていて、1ヶ月待ちになることも珍しくないが、かかりつけ医が紹介先に電話をして、紹介システムであることを伝えると、優先的に予約を入れられるようになっている。
| 項目 |
対象 |
方法 |
期待される効果 |
| 普及啓発 |
働き盛り男性とその家族 |
睡眠キャンペーン(H19年7月開始) |
早期発見(気づき) |
| 受診勧奨 |
不眠が継続する働き盛り男性 |
健診事後指導(調整中)
薬局での服薬指導(H19年10月開始) |
早期受診(つなぎ) |
| 医学的ケア |
うつ病が疑われる人 |
紹介システム(H19年1月試行、H19年7月稼動) |
早期治療(受け止め) |
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本県の自殺予防対策
「富士モデル」事業は、本県の自殺予防総合対策の一環である。自殺予防総合対策は、県精神保健福祉室が中心となり、民間機関の協力を得ながら、部局横断的に推進している。
- 基本方針、方向性
平成22年までの目標として、国の「健康日本21」に準じ、自殺者数を概ね平成8〜9年の水準500人を目標(推定)に減少させていく。
この方針の実現のため、産業保健と地域保健の有機的な連携により、働き盛りの人を対象としたうつ自殺予防対策を推進する。
また、自殺予防のための相談体制を強化充実するために、いのちの電話の相談員育成研修に補助を行う。
- 事業概要
| 項目 |
概要 |
| 自殺対策連絡協議会 |
自殺予防対策を総合的に進めるために協議会を開催する
2回/年 |
| 富士モデル事業 |
睡眠キャンペーンによる啓発
受診勧奨体制の整備
身体科−精神科紹介システムの運用 |
| 相談体制の充実 |
夜間の相談体制の整備
平日昼間( 8時30分〜17時00分)「こころの電話」で受付
平日夜間(17時00分〜24時00分)「いのちの電話」に委託
休日(10時00分〜24時00分)「いのちの電話」に委託
相談員育成補助 |
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