二度目の再出発

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ページID2000498  更新日 2023年1月26日

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二度目の再出発 41歳 男性

「誰でもいいから助けて欲しい。息子がまた覚醒剤に手を出した。どうしたらいいんだろう。」私と妻、そして息子が大好きだったお爺ちゃんも、間もなく成人を迎える息子の異変に気づき、苦悩の毎日でした。

思い起こせば1年前、19歳になったばかりの息子が警察に初めて覚醒剤乱用で逮捕されました。このとき、少年鑑別所に送られた後「保護観察処分」で自宅に戻ってきたのでした。

私達のところに息子が戻ってきて一緒に生活できることが嬉しかったし、それよりこの時息子が「もう二度と覚醒剤には手を出さない」ときっぱり言い切ってくれたことが何よりも嬉しかったのでした。そしてそれを私達は信じて疑わなかったのでした。この時にお世話になった警察官に、色々とアドバイスを受けながら息子の指導にあたり、息子は家業の手伝いを一生懸命やってくれ、汗をかいて仕事に励む息子の姿がまぶしく感じたのでした。

私達家族は、「このまま過ごして行きたい、何もない平凡であることが何よりの幸せである」と感じていたのでした。

しかし、それも数ヶ月の夢に過ぎませんでした。気がついたときに息子は、不良仲間と夜遊びを繰り返すようになり家を空けることも頻繁になって、時折、自宅に戻ってくると理由も言わずに家族にお金を無心し、これに応じないと暴力を振るうようになったのでした。

大好きだったお爺ちゃんにも手をあげるようになった息子は、人間の形をした化け物のように見えたのでした。

そして、いつの間にか、息子はあのときの風貌にそっくりになっていました。そうです、1年前の逮捕された時と同じ息子の姿です。食欲がなく、痩せこけて、時々意味が分からない言葉を発する・・・・・・・・・・

1年前、私達は覚醒剤というものは、どこか遠くのところにあるもので、こんな田舎には関係ないものと思っていたのです。

警察から息子が覚醒剤を使ったことで逮捕された知らせを受けたとき、頭の中は真白になり、何が起きたのか理解できませんでした。この1年間、初めて覚醒剤汚染の当事者となった息子と私の家族は、大きな驚きとともに悔しさでたまりませんでした。いま、その時と同じことがまた起きてしまったのでした。私は「何でまた手を出したんだ」と悔しくてたまりませんでした。でも、何とか昔のようなやさしい息子に戻ってくれるだろうと信じた私は、直ぐには警察には相談できなかったのです。

そうしているうちにも月日は刻々とすぎ、やがて息子が再び「覚醒剤の虜」になってしまい、ついに二回目の逮捕となってしまいました。

二度目の逮捕。親としては、「今度こそ立ち直ってくれるだろう」と、昔の息子に戻って欲しいと念じています。

今、裁判中の息子、この前、久しぶりに見たその顔は、坊主頭で顔色もよく輝きを取り戻したように見えました。

その顔は、中学生の頃の息子を思い出させてくれました。私は、警察に言いたい「息子を覚醒剤の魔の手から救って欲しい、息子に覚醒剤を与えた人、みんな捕まえて欲しい。そして、私達の周りから覚醒剤を無くして欲しい。」と。

私は、覚醒剤がこの世に存在することが悔しくてなりません。もう一度、素直な明るい息子の顔が見たいのです。たった1人の子供ですから、親子で再出発するチャンスをもう一度だけ与えて下さい。

警察庁発行「けいさつのまどNo.128」より

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