職場におけるハラスメントの防止について

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ページID1067928  更新日 2025年1月27日

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ハラスメント防止の必要性

 職場におけるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントなどへの対応は喫緊の課題となっています。本県が実施している中小企業労働相談におけるハラスメントについての相談件数も高止まりしている状況です。ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に傷つけるなど人権に関わる許されない行為です。ハラスメントの問題は、被害者の働く意欲・生産性の低下や心身の不調につながります。また、企業にとっても、職場環境そのものの悪化や貴重な人材の損失だけでなく、社会的評価の低下に伴い、人材の確保に支障が生じるなど大きな問題になります。

 誰もが職場において生き生きと活躍できる環境を実現するためには、事業主と労働者がそれぞれの役割を認識し、ハラスメントの防止に取り組んでいくことが重要です。

ハラスメントの種類

「ハラスメント」には、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントのほか、昨今問題が顕在化しているカスタマーハラスメントや就活ハラスメント等様々な種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

※ページ上部のリンクからも各種ハラスメントの内容を確認できます。

職場におけるパワーハラスメント

 令和元年に改正された労働施策総合推進法において、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることがないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と定められています。

 「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。 勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中等であっても、実質上職務の延⾧と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。(例:出張先、業務で使用する車中、取引先との打合せの場所(接待含む)等)

 「労働者」とは、正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。 また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者 (派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。

 法律に定められているとおり、職場におけるパワーハラスメントとは、下記1から3をすべて満たすものを指します。
 1 優越的な関係を背景とした言動であって
 2 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
 3 労働者の就業環境が害されるもの

 パワーハラスメントの代表的な言動の類型は以下のとおりです。

類型

内容

身体的な攻撃

暴行・傷害

精神的な攻撃

脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言

人間関係からの切り離し 

隔離・仲間外し・無視

過大な要求

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

過小な要求

業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない

個の侵害

私的なことに過度に立ち入る

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職場におけるセクシュアルハラスメント

 男女雇用機会均等法において、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者が労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることがないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と定められています。

 「性的な言動」とは、性的な内容の発言・行動を指しており、「性的な内容の情報や噂を流布すること」「性的な冗談やからかい」「必要なく身体へ接触すること」「性的な関係を強要すること」などが挙げられます。

 セクシュアルハラスメントは、異性に対するものだけでなく、同性に対するものも該当します。また、被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず「性的な言動」であれば該当します。

 職場におけるセクシュアルハラスメントは以下の2つに分類されます。

分類

内容

具体例

対価型  労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けるもの 事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇すること
環境型  労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるもの 事務所内において上司が労働者の腰、胸等に度々触ったため、その労働者が苦痛に感じて その就業意欲が低下していること

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職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント

 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントについては、男女雇用機会均等法において、「事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定められています。また、育児・介護休業法において、「事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」と定められています。

 これらのハラスメントは、「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児・介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることを指します。

 また、ハラスメントの内容は以下の2つに分類されます。

分類

内容

具体例

制度等の利用への嫌がらせ型 

産前休業、育児時間、産後パパ育休を含む育児休業、子の看護休暇等の制度又は措置の利用に関する言動により就業環境が害されるもの

産前休業の取得を上司に相談したところ、「休みを取るなら辞めてもらう」と言われた

状態への嫌がらせ型  女性労働者が妊娠したこと、出産したこと等に関する言動により就業環境が害されるもの 上司に妊娠を報告したところ「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」と言われた

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カスタマーハラスメント

 令和元年6月に改正された労働施策総合推進法等では、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。
 これを踏まえ、令和2年1月には、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)が策定され、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)に関して、事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取組を行うことが望ましい旨、また、被害を防止するための取組を行うことが有効である旨が定められています。

 カスタマーハラスメントの防止対策については、厚生労働省をはじめとして、「顧客等からの著しい迷惑行為の防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」や「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」等で議論を行うとともに対策を進めています。

 厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によると、企業や業界により、顧客・取引先(以下「顧客等」)への対応方法・基準が異なることが想定され、カスタマーハラスメントを明確に定義することはできないが、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と考えられています。

 「顧客等」には、実際に商品・サービスを利用した者だけでなく、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含みます。

 「労働者の就業環境が害される」とは、労働者が、人格や尊厳を侵害する言動により身体的・精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。

「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例

◆企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合

◆要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合

「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なもの」の例

【要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの】

◆身体的な攻撃(暴行、傷害)

◆精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)

◆威圧的な言動

◆土下座の要求

◆継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動

◆拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)

◆差別的な言動

◆性的な言動

◆従業員個人への攻撃、要求

〈要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの〉

◆商品交換の要求

◆金銭補償の要求

◆謝罪の要求(土下座を除く)

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就活ハラスメント

 就活ハラスメントとは、「就職活動中やインターンシップの学生等に対するセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント」を指し、立場の弱い学生等の尊厳や人格を不当に傷つけるもので、他のハラスメントと同様に許されない行為です。

就活ハラスメントの具体例

◆面接で「恋人はいるのか」と質問されたり、オンライン面接時に「全身を見せて」と言われた

◆女子学生に対し、採用の見返りに不適切な関係を迫られたが、これを断ると、「うちの会社には絶対入社させない」と不採用にした

◆インターンシップで食事やデートにしつこく誘われた

◆インターンシップ中の学生に対し、人格を否定するような暴言を吐いた

労働政策総合推進法及び男女雇用機会均等法に基づく指針

労働政策総合推進法及び男女雇用機会均等法に基づく指針において、就活ハラスメントを防止することが望ましいと明記されています。

◆雇用管理上の措置として、職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、就職活動中の学生等に対するハラスメントについても同様の方針を示すことが望ましい

◆就職活動中の学生等から職場におけるハラスメントに類すると考えられる相談があった場合に、その内容を踏まえて、必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい

ハラスメント被害を防止するために

1 関係者の責務

 職場におけるハラスメント被害防止のため、法及び指針において、事業主や労働者に対し努めることとする責務規定を定めています。

事業主の責務

◆職場におけるハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること

◆自社の労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他の必要な配慮をすること

◆事業主自身(法人の場合はその役員)が、ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

労働者の責務

◆ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

◆事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること

※取引先等の他の事業主が雇用する労働者や求職者を含む

2 事業主が雇用管理上講ずべき措置等

 職場におけるハラスメントを防止するための指針において、事業主が必ず講じなければならない事項を定めています。

◆事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

◆相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

◆職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

◆併せて講ずべき措置 (プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)

※カスタマーハラスメントや就活ハラスメントにおいても、上記に挙げられる取組み等を行うことが望ましいと明記されています。

ハラスメント被害に関する相談窓口

職場におけるハラスメントやカスタマーハラスメント等への対応や、ハラスメント被害に起因するメンタルヘルスの不調に関する相談窓口を設置しております。お気軽にご相談ください。

県の相談窓口

国(厚生労働省)の相談窓口

関連先リンク

※本ホームページは「職場におけるハラスメント対策パンフレット」や「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等、厚生労働省作成資料に基づき作成しております。

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このページに関するお問い合わせ

経済産業部就業支援局労働雇用政策課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2817
ファクス番号:054-271-1979
roudou-koyou@pref.shizuoka.lg.jp