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技術支援
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農業に関する質問 ~ 野菜(トマト、イチゴ、メロン、など)
イチゴ
Q1
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静岡県で育成されたいちご新品種「紅ほっぺ」は、どんな特性を持った品種ですか。 |
A1
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静岡県いちごの主要品種となっている「章姫」に「さちのか」を交配した後、選抜を重ねて育成されました。多収性、大果性、果肉の赤さ、適度な硬さ、糖酸の バランスのよい食味、香りのよさに特徴があります。花芽分化は「章姫」より3日程度遅いですが、早生で連続出蕾性に富みます。平均1果重は「章姫」よりや や大きくなりますが、果数がやや少なく、大果と小果の果重の差がみられます。果房第1果に縦溝が入ることもあります。草勢は強く、ランナーの発生も多いで す。炭そ病やうどんこ病に対する罹病性は「章姫」と同程度です。
品種登録出願中なので、品種特性を活かせる良品多収技術や出荷規格・容器などの確立に向け、出荷規模で試験栽培が展開されています。
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Q2
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いちごチップバーンの発生要因と対策について教えてください。 |
A2
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チッ プバーンとは、展開しつつある葉の縁が枯れたり、縮葉して変形したりする障害です。葉以外でも出蕾した花房にも同様の障害がみられ、この場合、がくの縁が 枯れる「がく枯れ」も発生します。曇天後の晴天時に発生しやすい傾向にあります。要因はカルシウムの吸収不良と考えられます。カルシウムは土壌や高設培地 に不足していることは少なく、下記の要因が単独または複数関連して発生すると思われます。一つ目の要因としては、高温期を中心とした窒素の過剰吸収、二つ 目としては、曇天後の晴天時を中心とした土壌(培地)水分状態・施設内湿度の急変が考えられ、これらを避けることが発生抑制につながります。三つ目の要因 として低温寡日照期の光合成能力低下や着果負担増加による根の活性低下が考えられます。
これを防ぐには、定植後の初期生育を確保した上で、低温寡日照期に早朝加温などの変温管理、摘果、炭酸ガス施用、補助電照を行い、光合成能力をできるだけ維持することが重要だと思います。
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トマト
Q1
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トマト黄化葉巻病の防除方法について教えて下さい。 |
A1
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本病の病原体はTYLCVというウイルスで、シルバーリーフコナジラミが媒介します。このため対策は、「り病株除去の徹底」と「感染経路の遮断」が重要なポイントになります。具体的な手段として
- 苗の確保
無発病地で育苗された苗を確保する。
- 除草
施設内および施設の周辺を年間を通じ常時除草する。
- 育苗時
(1)施設開口部(出入り口、側窓、天窓)に防虫網(1mm目合以下)を設置する。
(2)黄色粘着板を育苗ほ1カ所当たり5~6枚設置し、シルバーリーフコナジラミが捕獲されたら直ちに薬剤防除を実施する。
(3)施設の被覆資材は近紫外線除去フィルムを使用する。
(4)発病株を見つけたら直ちに引き抜き、ビニール袋等に封入し、施設内で枯死させてから処分する。
(5)定植前に粒剤を施用する。
- 定植後
(1)施設開口部(出入り口、側窓、天窓)に防虫網(1mm目合以下)を設置する。
(2)定植前に粒剤を使用していない場合は定植時に粒剤を施用する。
(3)黄色粘着板を施設1棟当たり5~6枚設置し、シルバーリーフコナジラミが捕獲されたら直ちに薬剤防除を実施する。
また、薬剤を散布するときは、下葉や葉の裏にも十分に薬液がかかるように入念な散布を行う。
なお、ラノーテ-プ使用時も薬剤防除を怠らない様注意すること。
(4)摘芽、摘葉、果実の残渣は野外に放置せず、古ビニール等で被覆し、枯死させる。
(5)発病株を見つけたら直ちに引き抜き、ビニール袋等に封入し、施設内で枯死させてから処分する。
(6)発病ほ場は3月中に栽培を終了する。
- 栽培終了後
(1) 全ての株を施設内で枯死させ、2週間施設を締め切った後、株を野外に出して処分する。なお、具体的な農薬の使用については静岡県病害虫防除基準を参照するか、地元の指導機関の指導を受けて下さい。
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温室メロン
Q1
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温室メロンにおけるフェンロー型温室の特徴を教えてください。 |
A1
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温室メロンの栽培は150平方メートルほどの重装備のスリークォータ型温室でなければ栽培は不可能であるというのが産地の常識でした。重装備でコストのかかる温室は、デフレ環境でメロン単価が下降する中において、経営を成り立たせることが不可能になっています。
そこで静岡県農業試験場では品質を維持したまま、低コストで大規模なメロン栽培が可能なフェンロー型温室での栽培を開発してきました。
オランダで生まれたこの温室の特徴は建設コストが安い、連棟による大規模化ができる、垂木材が細く採光性に優れる、屋根の開口部分が大きく換気効率がよい などの優れた特徴を持ちます。また平らな広い空間を持たせることで作業時間は従来の54%に短縮が可能です。近年では西部地域をはじめとする意欲的な農業 者により導入が始まりつつあります。
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セルリー
A1
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この病気は日本では1966年に報告され1980年代より長野県で発生し問題となりました。静岡県でも2000年より発病が確認され西部地域を中心に大きな問題となりました。
病原菌はフザリウム菌というカビの仲間ですが、土壌からの伝染を主体にセルリーに侵入してきます。このため防除対策は、土壌消毒を実施することで発病が抑 えられます。方法にはクロールピクリン消毒、熱水消毒、ダゾメット剤などによる消毒などがあります。
また、土壌消毒以外には病気の無い苗の利用、トラクターなどの機械類の洗浄、発病株残渣の周辺への放置をしないなどの注意が必要です。
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ワサビ
A1
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静岡県のワサビ栽培のほとんどが「畳石式」とよばれるワサビ田を利用した栽培が行われています。この畳石式のワサビ田は、石の加工や敷き詰めなど長年の経験を活かした特殊な技術により構築がされてきました。
しかし構築したワサビ田は、年月の経過とともに物理的な構造が変化し生産性が低下してきます。このため20~30年の周期で造成を繰り返す必要があり、多額な造成費がかかります。
そこで農業試験場では畳石式に変わる栽培方法として、隔離ベッドを利用し、これに小石と作土を敷き、一定の水量を流すことで従来の畳石式栽培と同じワサビ が生産できる方法を開発しました。従来の栽培に比べコストが安く、簡易な方法においてワサビの栽培が可能となりました。
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栽培全般
A1
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養液栽培には、(1)施肥・耕うんなどの作業が不要で、省力・自動化が可能である、(2)周年生産によって労働の年間配分をかなり均等化できる、(3)作 業環境がクリーンで若者が取り組みやすい、(4)雇用労力を活用した規模拡大・企業的経営への展開を進めやすい、(5)環境制御や適切な培養液管理による 生育促進、栽植密度の向上、移動ベンチなどの利用により施設利用効率を高められる、(6)土壌と隔離されているので、土壌伝染性病害虫の発生を抑制でき る、(7)循環式では系外への肥料や水の流出がなく、掛け流し式でも肥料や水の利用効率を高めたり、排液を集め浄化することで環境負荷を軽減できる、など の特徴があり、これを活かして静岡県内でもいちご高設栽培や高糖度トマト栽培、葉菜類の大規模生産などが展開されています。ただし、導入にあたっては投資 を伴うため、コスト削減や販売も含めた経営戦略を立て、安定多収の実現に向け、用水の水質や日常の培養液管理・ほ場衛生管理に注意が必要です。
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Q2
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養液栽培に用いる主な有機培地の特徴について教えてください。 |
A2
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養液栽培ではロックウールが物理性に優れ養分吸着がないことから主要な培地として利用されていますが、近年はロックウールに使用後の処理面で課題があるこ とから、土中で分解可能なピートモス、ヤシ殻繊維など有機培地の利用が増えています。有機培地は、もみ殻を除き養分吸着による緩衝機能が期待できますが、 循環式や根の活性が低下している状況では培養液分析を綿密に行う必要があります。特に連用する場合は、繊維が細かくなるなど物理性が変化することで保水性 や養分保持能力が高まる可能性があり、高温時や根の活性の低い時期の培地内過湿やEC上昇に対し注意が必要です。
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品質流通
Q1
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野菜の機能性成分にはどのようなものがありますか。 |
A1
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野菜はビタミンやミネラルなどの栄養及び食物繊維の供給源です。これらにも多くの効能がありますが、それだけでなく、野菜には人の健康維持に役立つ機能性 成分があることが明らかにされています。ポリフェノールは多くの野菜に含まれ、切り口の褐変反応やいちご・なすなどの着色に関係していますが、ビタミンC やE以上に抗酸化作用が高く、活性酸素の働きを抑え、がんなどの生活習慣病の予防効果が期待されています。その他、アブラナ科野菜の辛味成分には、発がん 物質の解毒酵素が含まれていること、ねぎ類を切り刻んで数分~数十分すると生成される化合物は抗酸化作用・抗菌作用を発揮すること、などが報告されていま す。
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