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「磯焼け」とは、沿岸の岩礁(磯)に生育するカジメ・サガラメ・テングサなどの海藻の藻場が衰退し、焼け跡のような状態になる現象です。
磯焼けの原因として、海流の変化による水温の上昇や、海藻の生育に必要な栄養分の不足、石灰藻など他の雑海藻の繁茂、魚類やウニなどの藻食性生物による食害があげられています。
写真1(左):カジメが繁茂する藻場、写真2(右):磯焼け状態となった海底
牧之原市から御前崎市にかけての榛南海域では、磯焼け現象が平成に入ってから目立ち始めました。磯焼けは平成6年頃からさらに拡大し、従前は約8,000haあったとされるカジメ・サガラメ藻場は平成12年頃までにほとんど消失してしまいました。
藻場は魚貝類の生息場として重要な役割を担うことが知られており、その藻場が消失した榛南海域ではアワビなどの漁獲量が激減しました。このため、藻場の回復は重要な課題となっています。
静岡県では、榛南海域の藻場回復のため、平成11年度にコンクリートブロックに伊豆海域のカジメを自然着生させ、ブロックごと榛南海域に移植する実験を行いました。その結果、移植したカジメは数年間生存することが確認されましたが、その一方で、カジメがアイゴなどの藻食性魚類による食害を受けることも分かりました。
移植実験の結果を受け、平成14年度から平成22年度にかけて、榛南海域においてカジメの幼体(=苗)を取り付けたブロックを相良沖と御前崎沖に合わせて2,162基沈設する藻場造成工事を行いました。また、食害対策の有効性が実証されたことから、平成21年度から、県は国及び関係市町とともに、地元漁業者が実施している藻食性魚類の駆除などの藻場の保全活動を支援しています。
これらの取組によって、平成27年1月現在までに165haのカジメ藻場の回復が確認されています。今後とも、水生生物の“ゆりかご”となる藻場の回復をめざして、関係者と連携し必要な施策を総合的に推進していきます。
磯焼けが継続している榛南海域にカジメ藻場を造成するため、平成14年度から沿岸漁場整備開発事業(平成22年度については農山漁村地域整備交付金事業)により、カジメの幼体を取り付けたブロックを相良沖と御前崎沖に合わせて2,162基沈設、造成工事は平成22年度に完了しました。
榛南海域の磯焼けの原因となっているアイゴなどの藻食性魚類による食害から藻場を守るため、これまでにフェンスによる藻場の保護実験などを行ったほか、駆除したアイゴの利活用についても検討してきました。平成21年度からは、藻場・干潟保全活動支援事業により、また平成25年度からは、水産多面的機能発揮対策事業により漁業者が実施する藻食性魚類の駆除などの藻場の保全活動を支援しています。
サガラメはカジメと比べて生育水深が浅いため、カジメのように大型のコンクリートブロックを用いた藻場造成工事は適しません。このため、水産技術研究所深層水科において、サガラメの移植手法の開発や海面養殖の実用化を進めるとともに、カジメについてもより簡易な移植手法を検討しています。
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経済産業部水産業局水産資源課
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