<福祉・ケア>小さな家族が伝えたいこと バリアフリー子供服SunFlower(サンフラワー)

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ページID1028206  更新日 2024年2月19日

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写真:バリアフリー子供服

所在地
〒430-0925 浜松市中区寺島町333-1
代表者
代表 鈴木昭彦
電話
053-455-4980
ファクス
053-455-4980
設立
平成18年8月
運営人数
2名(自営)
事業内容
バリアフリー子供服の企画・製造販売、バリアフリー建築の相談・施工、福祉機器導入案内等

夏生まれの家族が出会った仕事

写真:前面にスナップボタンを取付けたバリアフリー子供服

バリアフリー子供服の企画販売を行うSunFlower(=ひまわり)の種は、浜松市内の建築会社で働く鈴木昭彦代表と明子さん夫妻に障害を持った子どもが授かった時に芽生えた。子育ての中でのひとつの困りごととして、介助が必要な子どもでも着脱しやすい下着や洋服がもっと安く身近に手に入ったらいいのに、という思いが生まれ、その思いは病院や施設で同じ悩みを持った親御さんと出会うことでさらに育っていった。障害児に関わる衣食住、行政のサポート、医療など、分かち合う悩みはいろいろあったが、特殊商品として値段が高かったバリアフリー肌着を自ら作って、必要な人たちにできるだけ安く提供したいと考えるようになった。衣料品に関する仕事など経験がなかったし、使命感に燃えて大々的に事業を起こそうとしたわけでもない。できたらいいが…と迷っていた時、建築業の関係で知り合っていた衣料品の製造・卸会社の方にやってみたらと背中を押された。小ロットの製造工場を紹介してもらい、全介助の乳幼児でも着脱しやすい服を20枚ずつ程度、数タイプを試作した。地元商工会議所に相談し、会議所が運営するウェブショップに出店して、通信販売で売ってみた。自宅で、夫婦2人が仕事や家事の空き時間に作業できる程度の仕事量で始めたのである。

写真:側面にファスナーと取付けたバリアフリー子供服

その時鈴木代表はまだ建築会社に在職していたが、勤務先の社長は鈴木代表一家に理解が深く、会社での担当業務にバリアフリー建築やリフォームを取り入れたり、バリアフリー子供服部門の子会社化も検討してくれたという。「障害のある子どもを家族に迎え、いろいろな人たちとの出会いがあって始められた仕事なんです」と鈴木代表夫妻は当時を振り返った。

問題と出会い、応援してくれる人と出会い、できることを少しずつやる。

コミュニティビジネスという言葉を意識することもなく始めたその小さな仕事は、家族が全員夏生まれだったことから、SunFlower(サンフラワー)という、太陽に向かって咲く花の名前が付けられた。

個別のニーズが生み出すもの

最初に作った商品は、肩も足口も脇もすべて開くタイプだった。実際に売ってみると、需要は大きくないが、買う人は使い勝手や価格について率直な意見を返してくれた。乳児のうちは普通の肌着でも世話がしやすい構造なので、一般の商品で対応できなくなる120cmサイズ以上に需要があること、子どもの肌に負担の少ないファスナーのつけ方、動いてもお腹が出ないよう前身頃を長めにとること…。顧客の声と自身の子育て経験から改良は進み、毎日の洗濯に耐えるよう品質の良い綿素材でデザインをシンプルにし、複雑な構造の服にしては値段も低く抑えることができた。

同社の仕事は当初小さいものであったが、浜松市という地域を越え、同じ困りごと、同じ問題を抱える人々との繋がりができた。日本全国にいる顧客と事業者である鈴木代表夫妻は当事者同士であり、サンフラワーという店・商品・コンセプトによって結びついていった。そこに医療関係者や福祉関係者など当事者を支援する人々の輪が加わり、鈴木代表自身も浜松市のユニバーサルデザインフェアに実行委員として参加してユニバーサルデザインファッションショーを2年連続で開催したり、商品展示を行うなど、活動の範囲を広げていった。平成21年には静岡県グッドデザインしずおかユニバーサルデザイン賞を受賞し、静岡文化芸術大学との協働でユニバーサルデザインに関わる企業のトップによる講座「UDビジネス大学」を開催したり、大学の研究室から「UDトーク」という番組をインターネット中継するなど、同社は、当事者だけの世界から一般の社会へと根を張り、着実に育っていったのである。

写真:ひまわり家族の次男坊
ひまわり家族の次男坊も商品モデルとして協力。

子どもと一緒に育っていこう

現在同社は、鈴木代表夫妻で商品の素案を出し、デザイナーとの打ち合わせからパターン・サンプル製作、素材選び・縫製管理など商品製作に関わる部分を鈴木代表が行う一方、販売については妻が行い、福祉イベントや展示会には家族で参加するなど、家族全員の協力で運営されている。また、鈴木代表は自営の建築業者として一般建築、バリアフリー建築・リフォーム、福祉機器導入相談なども手掛けており、福祉に携わる事業者のグループサンフラワーの家を主宰して、介護などでの困りごとを各事業者がそれぞれの得意分野を生かして解決できるような連携にも取り組んでいる。鈴木代表は、今後子どもの成長につれて直面する問題の種類や視点が変わっていくこともあるかもしれないと考え、その時親として事業者として何をすべきかという方向性を探るため、福祉全般についてさらに勉強中だという。

障害や高齢などに関わる個々のニーズはニッチなものだが、各分野の人・事業・モノが集積していくことによって生活全体をカバーするニーズになりうる。同社のこれまでの歩みを振り返ると、少数の個からやがて社会へという道筋が見えてくる。

「解決しにくいニッチな要望を拾い上げて商品化し、ユーザーの声に耳を傾け続けてみることが重要であると考えています。本当に良いもの、必要なものであれば必ず支持され、ニッチは一般になります。」

コミュニティビジネスについて意見を求めると、鈴木代表はそう語った後「情熱ですね」と笑った。

写真:鈴木さん一家
鈴木さん一家は、家族みんなでこれからも少しずつ歩んでいく。

このページに関するお問い合わせ

経済産業部商工業局商工振興課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2181
ファクス番号:054-221-3216
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