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ホーム > 県政情報 > 県政総合 > ようこそ副知事室へ > 副知事 難波喬司 > 難波副知事コラム > 第40回『遠州灘の海辺最前線』

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更新日:令和元年8月1日

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難波副知事コラム

第40回『遠州灘の海辺最前線』

前回(第39回)のコラム『駿河湾が「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟決定』に続いて、今回は遠州灘の話題です。

 


遠州灘・福田漁港

 

遠州灘の海岸は、主に天竜川から出る大量の土砂が、波や風の作用で海岸沿いに移動することによって形成されています。

海岸線は、天竜川の河口が沖に出て、そこから東側に御前崎まで、西に伊良湖岬までゆったりと弧を描いています。水平線と一体化した彼方の海に夕陽が沈む光景は、「雄大」という表現がぴったりです。そして、国内でも有数の美しい砂浜海岸といえます。

 

 

遠州灘の夕陽福田海岸(磐田市)

 

かつて、この遠州灘の海岸は、天竜川から出る大量の土砂の影響で砂浜が拡大し、そこへ激しい「遠州の空っ風」が南西側から吹きつけ、多量の飛砂に曝されるという、大変厳しい環境でした。

そこで、江戸時代末期以降、地域の方々は斜めに堤と海岸林を設けることで、強風や飛砂を海側に受け流し、環境が安定した後背地を農地として利用してきました。

 

 

遠州灘海岸の斜め海岸林

 

100年以上もの年月を掛けて四重、五重と多層的に造成された海岸林の総延長は50km以上に及んでいたそうです。現地を訪れると、先人の知恵と地域の方々の大変な御苦労が偲ばれます。

しかし、近年は、全国的な課題でもありますが、川からの土砂供給量が減っているため、広範囲に海岸侵食の傾向となっています。

この土砂供給量の減少の理由の第一として、しばしばダムの設置が挙げられます。確かに、ダムは、先の大戦後、急速に整備が進められましたので、それは理由の一つです。しかし、もう一つ忘れてはいけないのは、もう少し長い眼(100年以上)でみて、山林の状況の変化を考慮することです。日本の山は、江戸時代以降、今、森林が最も多い状況にあります(参考文献:太田猛彦著「森林飽和(国土の変貌を考える)」)。江戸時代の歌川広重などの浮世絵を見ると、ハゲ山に松一本という風景がよく出てきます。この時代は、建築用や燃料として木を伐採して使うために、森林は荒廃していました(もののけ姫の中でも出てくる状況です)。

この頃、山からは大量の土砂が天竜川に流れ出て、それが海に出ていたはずです。これが前に述べた遠州灘の海岸での砂との戦いの主原因です。そして、先の大戦後、植林によって急速に森が回復し、それが河川への土砂供給を減らしました。それが海岸の砂浜の減少に大きく影響しています。

 

さて、このあたりの遠浅の海岸はシラスの好漁場でもあります。磐田市の太田川河口には、江戸時代からの湊があり、現在は福田(ふくで)漁港としてシラス漁業の基地になっています。この港の周辺では、港が砂浜をさえぎることで、1.港口に砂が堆積し、航路の水深が浅くなってしまうこと、2.港の東側の海岸で海岸線の後退、侵食が起きることが課題でした。

 


福田漁港のシラス船

 


福田漁港全景

(右端の桟橋がサンドバイパスの砂の吸込口)

 

そこで静岡県は、福田漁港の港口に砂が堆積する前に、防波堤の西側付近に溜まっている砂を海水とともに吸い込んで、東に約2km先の浅羽海岸へ継続的に砂を移動し放流する設備を、平成26年に国内で初めて構築しました。これを「福田漁港・浅羽海岸サンドバイパスシステム」といいます。この工法は、通常の工法である、堆積した砂を浚渫船という船で、船やトラックで運搬する工事に比べて、効率的かつ安価となります。まだ、設置して約3年ですが、港口の水深の確保と東側の海岸の砂浜を維持する効果が顕著に現れています。

「サンドバイパスシステム」は、周辺環境に与える影響が小さく、アカウミガメの産卵場所を確保する効果も見込まれています。

 

「サンドバイパスシステム」砂を運ぶルート

 


砂の放流口付近(運用前:平成26年3月7日)

 


(運用中:平成28年12月19日)

 

また、これは副次的な効果ですが、浅羽海岸に砂が堆積することによって、サーファーにとってこれまではなかった良い波が立つようになり、評判になっています。

現在、遠州灘の海岸では、南海トラフ地震に備え、“ふじのくに森の防潮堤づくり”を推進しています。これは、津波から守るために、巨大な壁を作るのではなく、多重構造で緑溢れ、地域の人々に親しまれる防潮堤を地域の人々の協力も得て作るものです。人の暮らし、人為は自然に影響を与えます。それによって生じる影響を自然克服型ではなく、自然調和型の科学技術によって、自然と人為の調和、人と海辺のかかわりを深める取組です。御注目下さい。

 

 

「森の防潮堤」のイメージ

 

 

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