本県を代表する医療、教育、経済関係者のみならず、我が国の医療界を代表する皆様に委員に御就任いただいたことは誠に光栄であり、医科大学院大学の実現に向け、大変心強い思いがいたしました。
若手医師がどのような研究テーマや研究環境に魅力を感じるのか、また、前例のない、医学部を持たない医科大学院大学を設置するためにどのような条件や課題があるかなど、医療・教育・経済関係の委員の皆様から御意見を伺いながら、今後、基本構想の策定に取り組んでいきます。
今回の委員会では、年度末の大変お忙しい中、委員全員の皆様に御出席いただき、県から「静岡県の地域医療」の現状を御説明した上で、目指すべき医科大学院大学の姿を中心に、委員の皆様に精力的に意見交換していただきました。
特に印象的だった御提案を御紹介します。
医学部の大学院に入学する場合、一般的に、それまで診療に従事していた医療現場、いわゆる「臨床」を離れ、研究に専念する必要があり、学生となる医師にとって負担が大きいことから、「大学院在籍中も自身の臨床現場を維持できる環境を提供できれば、魅力に感じられるのではないか」との御提案を頂きました。
医学の大学院は医学部とは、異なる環境であることを改めて強く感じた御発言でした。
また、複数の委員から、最近の若い医師は、高度な知識や技量、経験を持つ「専門医」を志向する傾向が強いため、「学位の取得だけでなく、優秀な指導医から指導を受け、専門医も取ることができれば、県内定着につながるのではないか」との御意見を頂きました。
医科大学院大学の方向性を検討する上で、しっかりと考慮しなければいけない御意見だと受け止めています。
さらに、「本県の課題となっている診療分野などで、学生のニーズに合致した新しいタイプの研究ができることが魅力になり、静岡県の特色になり得る」との御意見は、今後、基本構想を検討していく上で、特に重視していかなければならない点だと思います。
また、「解決すべき課題は多くあるが、前例がないことは、逆にチャンスとなり得る」との力強い御意見も頂きました。
今後、田中委員長をはじめとする委員の皆様のお力をお借りして、準備委員会での議論を重ねながら、医科大学院大学の設置を着実に前に進め、県民の皆様が住み慣れた地域で、必要なときに質の高い医療が速やかに受けられる体制を構築してまいります。
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