県議会開会日の提案説明
平成12年2月県議会定例会知事提案説明要旨

【3. 平成12年度当初予算】

(1) 編成の基本

 次に、平成12年度当初予算につきまして御説明申し上げます。

 平成12年度当初予算編成は、1,100億円の財源不足が見込まれるという危機的な財政状況の中でスタートいたしましたが、全庁を挙げての歳入、歳出両面にわたっての徹底した見直しへの取組によりまして、その編成が可能となったところであります。

 この間、県民、市町村、議員の皆様には、深い御理解と御協力をいただいたところであり厚くお礼申し上げます。

 平成12年度当初予算一般会計の歳出総額は1兆3,220億円で、前年度当初予算比2.2パーセントの減となり、昭和31年度以来44年ぶりのマイナス予算となったところであります。

 今回の予算は、未曾有の厳しい財政環境の中での編成となりましたことから、第一にスリムで効率的な行財政システムへの転換を図るとともに、歳出の大幅な削減を行いながら、早期に財政健全化が果たせるよう、工夫を凝らしたところであります。

 具体的には、「自己改革」に取り組むこととし、まず、市町村への権限移譲の推進やNPO活動の促進など、市町村や民間団体等との役割分担の見直しを行うとともに、行政の生産性や県民サービスの向上を図るため、情報化を推進するほか、補助金の統合、イベントの見直し、「ひとり1改革運動」の実現などによる行政のスリム化や事業の効率的な執行に努めたところであります。

 さらに、緊急避難的な措置として、職員給与の引下げや計画事業の進度調整、平準化等も行ったところであります。

 また、組織面におきましては、「フラット化」を拡大・定着させ、目的指向型の組織運営の確立を図るとともに、平成12年度も116人の人員削減を実施するなど、5年間で500人を削減するという中期定員管理計画を着実に推進することとしております。今後とも、県民本位の姿勢に立ち、生産性の高い執行体制による、効果的かつ効率的な行政運営に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 さらに、21世紀に本県が大きくはばたくためには、しっかりとした財政基盤が必要でありますことから、平成16年度を目標とする財政健全化計画を策定することといたしました。この中で、平成16年度の収支均衡を目標に段階的に一般財源不足を解消していくこととしております。このため、歳出削減の努力や処分可能な未利用財産の売却などの歳入確保を図りますとともに、県債残高について2兆円程度を上限に定める中で、将来の公債費負担の増加を抑制するなど、財政の健全化を強力に推し進めてまいります。

 また、併せて、法人事業税への本格的な外形標準課税の導入など、地方税財源の充実強化についても、地方6団体と連携を図る中で適切に対応してまいる考えであります。

 第二は、こうした厳しい財政環境の中ではありますが、「快適空間静岡の創造」を目指して、21世紀に向けて本県が飛躍できるようその基礎づくりとなる予算としたところであります。

 まず、県民の皆様が安心して暮らせる空間と社会の仕組みを構築する必要がありますことから、4月から始まる介護保険制度の円滑な導入や福祉・医療体制の充実に力を注いでまいります。併せて、安心した生活の基盤となる雇用対策、安全な暮らしのための交通安全対策、防災対策などを推進してまいります。

 また、「人づくり百年の計委員会」の提言を踏まえた21世紀を担う人づくりに取り組みますとともに、ユニバーサルデザイン、少子化対策、男女共同参画の積極的な推進を図るほか、地域の特性を生かした健康づくりを進めるなど、老若男女共同参画社会の実現を目指してまいります。

 また、活発な産業と経済活動は、新世紀においても本県が発展していくための基礎となるものであります。そのため、産業が元気になるよう技術・経営革新、融資などの面で支援してまいりますとともに、新分野の開拓、ベンチャー企業、SOHO事業者などにも積極的に協力してまいる考えであります。併せて、多面的な機能を有する農林水産業の活性化に向けた取組も支援していく考えであります。

 一方、「快適空間の創造」とは、自然を愛し、またそれを上手に活用することでもあります。本県が世界に誇る富士山などの自然環境を県民を挙げて保全、復元することも大切であります。併せて、その自然環境を活用し、県民がこれを享受できるような施策を推進してまいります。

 さらに、21世紀は、「人、もの、情報」が地球規模で活発に行き交う大交流時代になると言われております。この「交流」に積極的に対応するため、空港、道路、港湾、鉄道などの交流基盤の整備を着実に推進してまいらねばなりません。さらに、イベント等によりこの「交流」を促進してまいることも大切であります。こうした、ハード・ソフトの両面にわたる積極的な取組を進め、高次都市機能の充実した快適空間を創造してまいる所存であります。


県議会開会日の提案説明 トップへ