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地方自治法第233条第2項の規定に基づき審査に付された平成28年度静岡県一般会計及び特別会計の歳入歳出決算並びに同法第241条第5項の規定に基づき審査に付された平成28年度定額の資金を運用するための基金の運用状況について審査し、その結果について、平成29年9月11日に知事へ意見書を提出しました。
平成28年度静岡県一般会計及び12特別会計
平成29年7月26日から平成29年8月30日まで
平成28年度静岡県一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の審査は、次の点を重点に関係諸帳票、証拠書類の照査、関係当局から聴取等を行うとともに、定期監査、例月出納検査等の結果も考慮し実施した。
(1)決算計数は、正確か
(2)会計事務は、関係法令等に適合して処理されているか
(3)予算の執行は、議決の趣旨に沿って適正かつ効果的になされているか
(4)資金は適正に管理され、効率的に運用されているか
(5)財政は、健全に運営されているか
(6)財産の取得、管理及び処分は、適正に処理されているか
平成28年度一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の計数については、決算書、同附属書類、関係諸帳票、指定金融機関の現金有高表等を照合審査した結果、正確であることを確認した。
また、財政運営、予算の執行、会計及び財産・資金に関する事務については、一部改善を要する事項も見受けられたが、おおむね適正に行われているものと認める。
(1)財政の健全化への取組について |
本県の財政状況は、歳入決算額では地方消費税清算金、地方譲与税等の減により、一般会計で前年度に比べ0.9%減少した。 県税は、最終予算額4,882億円に対し、21億3,100万円増の4,903億3,100万円で、前年度決算額4,882億6,800万円に対し、100.4%となる20億6,300万円増となった。これは、法人事業税が非製造業を中心とした企業収益の改善や、税率引き上げの影響により11.7%の増となったことなどによるものである。一方、市町との連携や特別徴収義務者の指定促進などの徴収対策の強化がすでに図られている個人県民税(均等割・所得割)については、0.5%と僅かながらの増収となっている。平成20年度から前年度を下回る状況が続いていた県税が24年度以降、前年度を超える実績を上げ続けている。なお、地方消費税清算金の収入減などにより、自主財源比率は59.6%と、前年度を0.2ポイント下回ることとなった。 県債は1,471億9,040万円で、前年度決算額1,456億2,200万円に対し、交通基盤債や減収補てん債の発行増等により15億6,840万円の増加となった。 歳出決算額では、義務的経費については、扶助費が4.7%、公債費が2.0%とそれぞれ増加したため、全体では1.3%の増となり、歳出全体に占める構成比は1.2ポイント増の54.3%となった。また、投資的経費について、前年度から1.0%の減となったが、これは普通建設事業費のうち、単独事業費が1.7%の減となったことなどによるものである。一方、地方消費税清算金や地方消費税交付金などの税収関連法定経費等の減少に伴い、その他経費は4.5%減少し、歳出に占める構成比も32.5%と、1.2ポイント減少した。なお、経常収支比率については社会保障関係費等の増加と地方消費税清算金等の減少によって前年度に比べ2.7ポイント悪化し、97.6%となり、県が目標としている90%を引き続き上回った。 次に、一般会計の県債残高についてであるが、財政健全化の目標に設定している通常債の残高は、498億4,468万1千円減少し1兆6,099億8,852万8千円となったほか、県債全体においても17億6,423万1千円と僅かではあるが、初めての減少となったことは、残高の縮減に積極的に取り組んだ努力がうかがえ、評価できる。 一方で、県の財政構造を示す7つの指標を見ると、前年度に比べて財政力指数及び実質公債費比率は改善しているものの、一般財源等比率、自主財源比率、義務的経費比率、経常収支比率及び将来負担比率は悪化している。また、財源不足への対応に活用可能な基金現在高は、平成28年度決算後時点で182億円と、前年度の426億円より大きく減少しているほか、消費税率の10%への引き上げが平成31年10月まで延期されており、今後の県財政への影響が懸念される。さらに、「地震・津波対策アクションプログラム2013」に要する経費は10年間で約4,300億円とも推計されている。景気の動向も不透明であり、県人口が減少する中で少子高齢化は一段と進んでおり、将来的には税収の落ち込みや社会保障関係費等の大幅な増加も当然のことながら見込まれる。 こうした状況を踏まえると、今後、県の財政状況や財政を取り巻く環境はより一層厳しさを増すと考えられることから、今までにも増して財政の健全化への取組を積極的に推進されたい。 |
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(2)収入未済額の縮減への取組について |
収入未済額から徴収猶予等の措置をとったものを除いた実収入未済額が、平成22年度の205億6,785万2千円から減少に転じ、平成28年度には114億8,388万9千円と更に縮減していることについて、その努力は評価できる。県税関係、税外収入関係のそれぞれの状況は次のとおりである。 (ア)県税関係 県税に税外収入の加算金を加えた実収入未済額は74億2,141万円余となり、前年度に比べ16.8%、15億326万円余の減少となった。そのうち13億372万円余の減少は個人県民税が占めており、平成24年度から市町と協働で進めてきた特別徴収の徹底の取組や、市町への県職員の短期派遣による滞納処分や捜索等の支援により、徴収強化に努めてきた成果が現れたものと考えられる。 また、個人県民税(均等割・所得割)の収入率は、平成24年度以降の滞納繰越額の減少もあって、平成28年度は前年度より1.0ポイント上昇し94.9%を確保した。平成21年度以降続いていた全国順位最下位から脱出し、平成25年度は43位、26年度は41位、27年度は40位、28年度は37位と改善は図られてきたものの、依然下位グループに位置している状況である。平成23年度から6年度連続して収入未済額が縮減されてきており、平成29年度の収入率も更なる向上が期待されるが、前述のように、県の財政は厳しさを増しており、自主財源である県税の確保は重要な命題となっている。個人県民税については、引き続き市町と協働での対策を進めるなど、より一層の徴収強化に努められたい。 |
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(イ)税外収入関係 平成28年度の実収入未済額は40億6,247万円余で、前年度に比べ、0.6%、2,501万円余の減少となった。 未済額の主なものは、中小企業高度化資金貸付事業等特別会計に係る貸付金償還金、産業廃棄物原状回復代執行費用返納金、母子父子寡婦福祉資金特別会計に係る貸付金償還金、県営住宅事業特別会計に係る公営住宅使用料、生活保護費返還金等である。中でも、中小企業高度化資金貸付事業等特別会計に係る貸付金償還金については、1件が13億円を超えるものがあるなど合計で約19億円余となっている。また、平成25年度に発生した、愛鷹山麓での不法投棄に係る6億6千万円余を含む7億4,619万円余の産業廃棄物原状回復代執行費用返納金については、様々な手段を講じその縮減に努めているものの、回収がなかなか進んでいない。 税外収入の未収金については、全庁的な観点から部局を横断して対策に取り組む「税外収入債権管理調整会議」を設置し、平成23年度から過年度未収金について、回収目標や整理目標を立て縮減に向けた各種の取組を行っている。 しかしながら、28年度においても設定した目標と実績に乖離のある科目が見受けられるため、個々の実情に応じた適切な目標を設定した上で、目標達成のために有効な対策を講じることにより、収入未済の縮減・解消に努めるとともに、新たな収入未済の発生防止に努力されたい。また、これを進めるためにも、債権管理事務についてさらなる研修等の充実に努められたい。
(注)実収入未済額:収入未済額から徴収猶予等を除いた額 |
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(3)事業繰越の縮減について |
翌年度への繰越の状況は、一般会計で487億7,813万2千円、前年度比140.7%と大幅に増加した。特別会計については15億6,224万6千円で、前年度比83.6%と減っている。一般会計では、ラグビーワールドカップ2019関連公園整備事業費や社会資本整備総合交付金事業費(道路)などのように、国の経済対策による補正に伴う事業によるものが増加しており、全体の繰越額を大きくすることになった。また、一般会計では、移転先物件の建築会社が民事再生法適用を申請し、工事を中断したことによるものなど2件8,043万3千円の事故繰越も発生している。 平成28年度は国の経済対策という特殊事情により繰越額が大きくなっているほか、計画・設計に関する諸条件の調整に日時を要したことなどの理由によるものも前年度を上回っていることから、事業効果を早期に発揮できるよう、関係機関等との十分な調整を行うなど、引き続き的確な計画立案及び効率的な予算執行を図り、繰越額の縮減に努められたい。
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(4)不用額について |
歳出予算における不用額は、一般会計では、98億4,096万1千円で、前年度比で84.8%、17億5,952万6千円の減となっている。また、特別会計では、11億9,783万円で、前年度比75.9%、3億8,061万1千円の減となっている。 一般会計の内訳の中で増加している主なものは、対象事業費が見込みを下回った静岡県立病院機構貸付金や緊急地震・津波対策等交付金、新規産業立地事業費助成などである。 逆に、原発防災資機材整備事業費、難病医療費等事業費助成、流域下水道事業特別会計繰出金など、事業費の確定や実績に伴うものについて、不用額が大きく減っている。 財政運営が厳しい中で財源の有効な活用を図るため、予算の適正額の確保と適時・的確な見直しによる不用額の縮減について、監査委員は繰り返し意見を述べてきており、2年連続で不用額の縮減が実現できたことは評価できる。 引き続き、当初予算計上時から精度の高い所要経費の見積りを行うとともに、事業の進捗状況を的確に把握した上で補正等を行い、効率的な予算執行に努められたい。
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(5)特別会計について |
(ア)予算に対する執行率の低迷 特別会計全体では不用額が減少している中で、林業改善資金など一部の特別会計で予算に対する執行率が低く、毎年度、多額の収支差額が生じ翌年度に繰り越される状況となっている。平成25年度には国への自主返納が実施され執行率が改善したが、返納のなかった26年度以降は執行率が低下しており、28年度の貸付実績は、林業改善資金が0件、沿岸漁業改善資金は2件との状況となっている。事業の実施に当たっては、運用面での見直しを図り、利用者の利便性の向上に努めるとともに、年間の資金使用見込み額を的確・正確に把握した上で、資金需要に見合った額を予算化するなど、適正な資金管理に一層努められたい。
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(イ)清水港等港湾整備事業特別会計での土地売却の促進 清水港や御前崎港では、県債(臨海債)を原資として土地造成を行い、その土地を売却して、県債の償還に充てる臨海土地造成事業を実施している。県債の償還は確実に行っていかなければならないが、平成26年度以降は土地売却実績がなく、このまま売却ができない場合には、平成31年度に基金が枯渇してしまうという試算結果が出ている。 土地の売却が進んでいない理由には、経済状況等さまざまな要因があり、特に東日本大震災の津波被害による影響も大きいと考えられるが、事業の趣旨からも臨海債の償還は土地の売却益から行われるべきである。土地売却にあたっては、両港の港湾計画を踏まえて、両港の発展に資するよう関係者と十分に調整し進めるとともに、貸付等により少しでも収益の改善が図られるよう努められたい。
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(6)財務会計事務等の適正な執行について |
定期監査等において、時間外勤務手当の不正受給や拾得物の窃盗、措置入院の費用認定手続きの怠りにより「指摘」となっているほか、自動車税還付関係書類の紛失や補助金交付額の確定手続を怠るなど不適切な取扱いが発生し「注意」となった。 そのほか、28年度においては支出負担行為伺や事務処理の遅延、占用料などの収入での徴収誤り、非常勤職員等の任用等の事務処理や有給休暇付与の事務に関する誤りなどの不適切な執行が複数見受けられた。 会計事務処理の誤りについては、担当職員の関係法令等の理解不足や事務処理の執行方法などに問題があるといえるが、毎年のように発生する不適正な事務処理に対しては、担当者の資質やコンプライアンス意識の向上とともに、個人のミスや処理の遅延を組織として防止する体制づくりの強化が重要である。 出納局では、27年度の会計事務指導検査の結果を踏まえ重点テーマを絞り込んで研修を実施するなど、引き続き様々な研修を積極的に実施するとともに、従前より会計事務職員にとって必携であった「財務会計事務の手引き」に加え、平成24年度に作成・周知した「財務会計基本ブック」を毎年適宜改定するなど、会計事務についての理解を深める取組を行っている。また、経営管理部においても、28年度には技術職員や臨時職員、非常勤職員を対象とした研修を新たに開始するなど研修の強化に取り組んでおり、事務処理の適正化に向けた様々な取組を行っている。 今一度、正確な会計事務の大切さを認識したうえで、職場内の実効性のあるチェック機能を構築し、適正な会計事務の執行に努められたい。 |
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(7)財産管理等について |
県では、平成25年度にファシリティマネジメントの実施方針を作成し、取組の4本柱である総量適正化、長寿命化、維持管理経費の最適化、有効活用について具体的な方針を定めた。この実施方針に沿って、平成28年度においては、施設の稼働率や劣化度等の複数の指標により施設の方向性を評価・分類する施設アセスメント(建物等評価編)を実施するとともに、県有建築物長寿命化設計ガイドラインを作成するなど、県有施設を良好な状態で次世代へ引き継ぐための取組を実施している。全庁を挙げた積極的な対応により、経営的な視点から県有施設を総合的に企画・管理・活用するこの取組の効果が、早期に現れることを期待する。 総量適正化に向けた未利用財産の売却については、平成25年度を計画初年度とする5か年の「県有財産の売却計画及び利活用計画」を策定した。前5か年計画で生じていた売却が困難な土地については、現計画策定の際の見直しにより仕分けを行い、売却可能な土地を再計上するなど、売却に向け積極的に取り組んでいる。28年度は、建物付売却を引き続き行い、早期売却を図っているが、防潮堤完成後の方が高く売れると見込まれる物件を先送りするなど条件整備で時間を要しているものもあり、売却額の実績は当初計画額の87.0%となったものの、25年度から28年度までの4年間の売却実績は5か年計画全体の69.0%にとどまっている。今後とも適正な売却に取り組むとともに、未利用財産の掘り起こしなどにより計画に含まれていない売却可能な土地が生じた場合には、速やかに計画に取り込むなどの見直しを行いながら、積極的な売却に努められたい。 財産管理に係る事務については、「指摘」となるような重大な誤りはなかったが、財産台帳の紛失や未作成、記載漏れ、行政財産使用許可通知の記載誤り、金券類受払簿の未作成などの、事務処理上の不適切な事例が散見されている。県有財産は、県民の財産であるという意識をもって、適切な管理に努められたい。 |
静岡県立美術博物館建設基金
平成29年7月26日から平成29年8月30日まで
静岡県立美術博物館建設基金条例の趣旨に従って適正に運用・管理されているか、調書と関係帳簿及び証拠書類等を調査照合し審査を行った。
審査の結果、本基金は適正に運用されており、計数にも誤りはなかった。
地方公営企業法第30条第2項の規定に基づき審査に付された平成27年度静岡県公営企業の決算を審査し、その結果について、平成28年9月8日に知事へ意見書を提出しました。
平成28年度静岡県工業用水道事業
平成28年度静岡県水道事業
平成28年度静岡県地域振興整備事業
平成28年度静岡県立静岡がんセンター事業
平成29年7月26日から平成29年8月30日まで
平成28年度静岡県公営企業の決算審査は、次の点に重点を置き、関係諸帳票及びその他証拠書類の照査、関係当局から聴取等を行うとともに、定期監査及び例月出納検査等の結果も考慮し実施した。
(1)決算報告書及び財務諸表は、地方公営企業法等関係法令に準拠して作成されているか
(2)決算報告書及び財務諸表は、経営成績及び財務状態を適正に表示しているか
(3)各事業は、地方公営企業法第3条の経営の基本原則の趣旨に従って運営されているか
工業用水道事業ほか3事業の決算報告書及び財務諸表は、いずれも地方公営企業法等関係法令に準拠して作成され、平成29年3月31日現在の財政状況及びその日をもって終了する事業年度の経営成績を適正に表示しているものと認める。
また、一部に厳しい経営状況の事業もあるが、各事業は、地方公営企業の基本原則の趣旨に従い、おおむね適正に運営されているものと認める。
(1)工業用水道事業 |
工業用水道事業は、当年度純利益が前年度比4,405万8千円(15.2%)の増益となった。 工業用水道別に見ると、7工業用水道のうち5工業用水道で当年度純損益が改善している一方で、経常収益の大半を担っている東駿河湾工業用水道事業及び西遠工業用水道では純利益が前年度より減少しており、中遠、西遠、湖西の3工業用水道は純損失を計上している。今後、管路等の大規模更新時期を迎えることもあり、より一層の経営努力が求められる。 こうした状況の中、施設の更新整備や耐震化にあたり、将来の水需要に見合う適正な施設規模へと転換することの必要性を踏まえ、「水道施設更新マスタープラン」を策定し、平成29年3月に公表している。 また、災害発生時における被災後の対応として、施設の早期復旧が課題となっていることを踏まえ、工業用水ユーザーと連携した防災訓練の実施や情報の共有化を進めている。 こうした点を踏まえ、事業の経営について次のとおり意見を述べる。 1.施設の更新や安定した事業経営を行うにあたり、長期的視点に立った経営ビジョンや、将来必要となる施設規模を踏まえた更新計画が必要と思われる。 「水道施設更新マスタープラン」に基づいた「長期修繕・改良計画」及び「経営戦略」の策定を進め、将来に亘る経営の健全化に努められたい。 2.今後も、災害発生時における工業用水ユーザーとの情報共有を進めるとともに、ユーザーと協力・連携した防災訓練の実施等の取組を継続し、緊急時における早期復旧対応の充実を図りつつ、安定した工業用水の供給の維持に努力されたい。 |
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(2)水道事業 |
水道事業は、当年度純利益が前年度比6,492万8千円(6.1%)の増益となった。 黒字経営を維持しているものの、経常収益はすべての水道事業において前年度に比べ減少しており、榛南水道事業では、純利益が前年度より減少している。 今後、施設や設備の更新時期を迎えることから、費用の増加が見込まれる。 また、東日本大震災や熊本地震の被害を踏まえ、災害発生時などの異常時における安定供給が求められている。 こうした点から、事業の経営について次のとおり意見を述べる。 1.水道事業については、今後管路等の大規模更新を行うにあたって費用の増加が見込まれている。このことから、平成29年3月に公表された「水道施設更新マスタープラン」に基づいた「長期修繕・改良計画」及び「経営戦略」の策定を進め、将来に亘っての経営の健全化の維持に努められたい。 2.今後も、災害や事故に強い体制を維持するとともに、水需要の変化等に的確に対応していくため、受水市町の意見を十分に踏まえつつ、将来に亘る安全・安心な供給に努められたい。 |
(3)地域振興整備事業 |
地域振興整備事業は、レディーメード方式による富士山麓フロンティアパーク小山造成事業及びオーダーメード方式による長泉南一色工業用地造成事業、清水町久米田工業用地造成事業及び森中川下工業用地造成事業に着手している。 費用が収益を上回ったため、当年度純損益は赤字となり、累積欠損金が増加した。 また、工業用水の需要拡大のためのユーザー支援や地域産業の振興を図ることを目的として、CNF(セルロースナノファイバー)の開発支援に経済産業部と連携して取り組むなど、新規事業化の可能性についての情報収集及び調査研究を進めている。 こうした点を踏まえ、事業の経営について次のとおり意見を述べる。 1.事業に着手している工業用地造成事業にあっては、計画に沿った事業の進捗に努めるとともに、富士山麓フロンティアパーク小山造成事業により創出される工業団地の早期分譲に向けて取り組んでいただきたい。また、オーダーメード方式による工業用地造成事業についても、計画に従って推進されたい。 2.今後も、工業用水の需要拡大に繋がるユーザー支援や地域産業の振興を図るためのCNF(セルロースナノファイバー)の開発支援等、収益事業の可能性について、国や市町、県の関係部局と調整・連携し、調査研究の一層の推進を図られたい。 |
(4)静岡がんセンター事業 |
静岡がんセンターは、本県がん対策の中枢を担う高度がん専門医療機関として、患者に尽くす世界一のがんセンター病院の運営、すべての県民を対象としたがん対策の実践、地域医療健康産業の活性化を使命に、がん治療のための多くの最新の技術を県民に提供し、がん治療では日本でトップクラスの優れた実績を誇っている。 また、病床数は、平成28年度に13床増床し603床となり、615床の全床開棟に向け、段階的に増床を行っているところである。 平成28年度の経営状況は、前年度に引き続き、病院事業の利益で研究所事業の損失を補うことができず純損失を生じ、未処理欠損金も増加した。 こうした点を踏まえ、次のとおり意見を述べる。 1.新たに策定された新公立病院改革プラン「静岡がんセンター病院事業経営見通し」の確実な遂行により、高度・先進医療等を継続的に提供するとともに、研究所事業を含めた純損益の黒字化を目指し、安定した病院経営を図られたい。また、前年度に引き続き、未処理欠損金が増加しているので、新公立病院改革プランによる一層の効率的な経営により、その解消に努められたい。 2.過年度未収金は、依然として1億1千9百万円余と多額に上るので、引き続き、新たな収入未済の発生防止と早期回収に努めるとともに、欠損処分等による回収困難な未収金の整理に努められたい。 3.全国的な医師・看護師の確保競争が続く中、615床の全床開棟に向けた医療スタッフの確保に努められたい。とりわけ、配置定数に対して不足している麻酔科等の医師確保に向けて取り組まれたい。 |
お問い合わせ
監査委員事務局監査課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2927
ファックス番号:054-221-3566
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