新型コロナウイルス感染症についてR30104 「知事新春記者会見」
改めましてあけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、おそらく初めて、極めて厳しい年末を迎えられ、また厳しい元旦をお迎えになったことと存じます。まさに静岡県は、臨戦体制であります。私たちは、危機に直面しております。一つは言うまでもなく、静岡県のみならず、日本、また全世界を襲っている新型コロナウイルスの感染拡大を止めることができないという、この危機でございます。
もう一つは静岡県に特有でございますけれども、このリニアに関わる危機がございます。コロナは人の命に関わる大変重要な重大な危機でございます。もう一つ、リニアに関しましては、これは人の命、生活、産業、経済、そしてまた、多くの生物の命、これをいかに守るかと。これが危機に今、南アルプスのトンネル工事によって、面しているという危機でございます。
そうした危機に、いかに対処し、いかにこの危機を乗り越えるかということでございますけれども、新型コロナウイルスに関連いたしましては、昨日段階で静岡県の感染者は2,700人余りであります。日本全体では24、5万という状況になっておりまして、そして、東京だけで6万人以上。首都圏で2人に1人という状況でございます。お隣の愛知県でも1万7,000人の感染者を超えております。しかし、静岡2,700人という数字は決して小さな数字ではありませんけれども、両隣の感染者数と比べますと、いかにこの数字が言ってみれば比較的小さいかということでございます。いつぞやの記者会見におきまして、1月2日には、私どもが用意しております病床450床、これが埋まる可能性があるという試算を発表いたしました。しかしながら、現在、我々の持ってる病床は417床でございますけれども、今ベッドにいらっしゃる患者さんは170名余りでございます。従って、東中西、地域によって差はございますけれども、基本的に、病床はかつて我々が危惧したほどには逼迫していないという状況になっております。これはひとえに静岡県民の皆様方が、それぞれ危機管理の基礎でございます、自助、共助、公助、この中で、自助に関わる感染症対策の行動様式を守ってくださったことによるということでございます。これからも隣の首都圏におきましては、今日の菅首相の緊急事態宣言の検討に入るという、また、1都3県の首長さんからの緊急事態宣言の要請という状況に比べますと、私ども(直近1週間)10万人当たりの感染者数というのは、6人でございまして、東京などは40人以上、また他のところ20人、30人以上ということになっているところと比べますと、いかに見事に危機管理が貫徹されているかということでございます。まだ予断を許さない段階でございまして、ウイルスに関わるワクチン、治療薬と、これが行き渡るまでは、どうしてもこの不安は解消することができません。これまで同様に、ふじっぴーが今マスクしておりますように、じっとしておりますように、静かにこのように過ごすということが、自分のためになり、また人のためになるということでございます。
そうした中、静岡県は今年、オリンピック、日本の2020年のオリンピック、延期されました。そのうちの自転車競技が開かれまして、これは開催されるものという前提のもとでこれまで準備を進めてまいりましたが、これをきっかけに、大いにこのスポーツを振興させようということで、2年前のラグビーワールドカップにおけるシズオカショックのこの成功、これがレガシーとして今ラグビー文化が静岡県に根付きつつありますけれども、これをさらにこの次には自転車文化というものに広げまして、さらにまたスポーツ一般広くに広げていきまして、スポーツ王国、これをですね目指していきたいということでございます。そしてこのスポーツというものは、体を酷使するという面があります。健康にいいわけですけれども、しかし、世界トップ、あるいは日本トップ、県トップ、これを目指すとすると、ものすごい訓練に耐えなければならないということで怪我も絶えません。また様々な健康管理というものが不可欠になります。言い換えますと、スポーツというのは、医療と結びついております。医療となりますと、日本全体が今医療産業に関わる国内経済の中で、これは対外的には毎年3兆円もの赤字を計上しているという状況でございまして、これを何とか国産化し、輸出産業に育てていく絶好の契機であるということでもございまして、その中で静岡県は医薬品、医療器具、年間1兆円、これを10年間続けてまいりまして、日本一を記録しております。従いまして、日本の医療産業、これを振興させる、その牽引役となりまして、スポーツ医療も念頭に置きながら、医療産業をこれを主導部門、リーディング産業として育成していきたいというふうに思っているところであります。
一方、現在、仮に緊急事態宣言などが現実のものになるといたしますと、ますます様々な業種にこれが影響を及ぼします。そこでここは、いろいろな形でお互いに助け合うと。これまさに自助、共助の共助に当たるところでありますけれども、すでに静岡県民の皆様方は「バイ・シズオカ」ということを通しまして、静岡県の生産者、あるいは農産物、海産物に関わる人々を励ましてこられました。そのことが同時にまた静岡県産の良さを自ら知るということにもなりました。まさに人を助ける利他の行為が自利の行為になり、それが今や山梨県とも共有する「バイ・ふじのくに」にもなりまして、そしてこの1月14日に予定されております四県サミット、新潟県、長野県、山梨県、静岡県の4県の知事が寄ります、この四県サミットにおきましては、これを「バイ・山の洲」に広げようということで、ほぼそうした事で同意する準備が整いつつあります。これは新しい経済行動、利他行為と自利の行為が一体になる、新しい経済圏。しかもこれは、それぞれが自分で決めて自分で買うわけでございますから、その意味で人間の自由というものをベースにした経済行為、しかもそれが人助けになるということで、そういうこの個人消費というものは経済全体の中で5割から6割を占めておりますから、こうした新しい経済圏を開いていくと。そしてまた、GoToトラベルで本当に行きたいと思ってらっしゃる地域がまさにこの中央四県でございます。中央四県におきましては、こうした方たちがコロナ収束後に移住してこられるように、またあるいは2地域に居住できるように、そうした取組も合わせて進めることによりまして、我々はウェブ、リモートあるいはオンラインというふうな形で言われているこのデジタル化社会の牽引役をも務めてまいりたいというふうに思っております。国はその意味で今、東京を中心にしてまいりました、国の形、明治以来のこの国の形が大きく国土分散型に変わる、いわばポスト東京時代が開かれる、まさに前夜にあるという、そういう元旦になったということでございまして、これをいわば積極的に進めていこうということで、私ども、この仕事をしながら生活をすると、いわばワークアンドライフバランスと言っておりましたけれども、このライフの中にワーキングプレイスがあると。子どもたちもそこにいる、おじいちゃんおばあちゃんもそこにいらっしゃると、愛する妻、夫がそこにいると。そうした中で一緒に、お父さんお母さんの背中を見ながら子どもたちが生活をしながら、親のその仕事を学ぶと、背中を見ながら学ぶということもできる時代が、眼前に迫っているというふうに思っております。そうした新しいライフスタイルというものを静岡県から山梨県、あるいは長野県、新潟県とも、協力をしながら提供すると、新しいライフスタイルを地方から発信していくと。これを4県共同して提案をしていくことによって、東京中心のいわばコンクリートの中で、2DK系列のマンションの中で過ごすということだけも、いわば、ライフスタイルからそれ以外のライフスタイルをご提案申し上げることによってですね、そうしたライフスタイルが実現している地域として、静岡県はその最先端に立ちたいというふうに思っているところでございます。
そうした中ではございますけれども、目下の危機をどのように克服するかということにつきまして、改めて4点には分けて申し上げたく存じます。
まず、医療関係者、医療機関への支援についてでありますが、本県の新型コロナウイルス感染者数は昨日までで2,794名となりました。年末年始の期間中も病床占有率は40%前後で推移しておりまして、依然として高い水準が継続はしています。こうした状況下におきまして、心身に負担がかかる中、強い使命感を持って日々業務に全力で取り組み、本県の医療を支えていただいている医療従事者の皆様には、感謝の言葉もありません。
これまで新型コロナウイルス感染症に関わる業務に従事した医療従事者等に対し、お1人当たり5万円から20万円の慰労金を給付しております。12月までの給付額は、想定する医療機関の約8割にあたる、9万5,000人に対し、合計92億円余りとなりました。また医療機関に対しましては、公立、民間の区別なく、感染防止対策を行う医療機関に、病床数等に応じた支援金を給付しております。12月までの給付額は約2,700施設に対しまして、合計28億円余りとなりました。今後も関係団体と連携しながら、支援を必要とするすべての医療従事者や医療機関に慰労金あるいは支援金が行き渡るように、制度の周知に努めてまいります。
さらに、特に重症患者への対応には多くの人員が必要となります。そのことから、人工呼吸器等の集中治療が必要な患者の受け入れを行った医療機関に対しましては、受け入れ患者お1人当たり、1日10万円を基本に支援を行う制度を新たに設けまして、昨年12月下旬から運用を始めたところであります。加えて国におかれましては、第三次補正予算により感染予防に配慮が求められる未就学児への外来診療等について、診療報酬の加算を行うなど、医療機関等へのさらなる支援策を打ち出されました。多くの医療機関におきましては、受診控え等により厳しい経営状況にありますので、本県におきましても、全国知事会を通じて、経営安定化のための財政支援に対する国交付金の拡充等について、国に要望しているところであります。
医療は新型コロナウイルス感染症対策の最後の砦です。今後も県として全力で支援を行いますので、県民の皆さんにおかれましては、ご自身が、コロナウイルスに感染しない、身近な人を感染させないことが最大の医療関係者に対する支援になります。ぜひ、今一度、コロナウイルス感染症の拡大防止にご協力をお願い申し上げるものであります。
二つ目といたしまして、経済・雇用対策についてであります。具体的にはGoToトラベル事業の一斉停止により影響をお受けになっている事業者への支援でありますが、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、12月28日から1月11日まで、GoToキャンペーンの一時停止等により、飲食、宿泊サービス業や関連産業で厳しい状況が続いています。
こうした状況から、昨年末には県の市長会、町村会から経済的影響を受けた事業者に対する支援の充実強化について、緊急要望をお受けいたしました。県では、新型コロナ緊急対策として、雇用維持対策とともに資金繰り支援に全力を挙げて取り組んでいます。12月16日には、実質無利子無担保での融資制度について国と歩調を合わせて、本年3月までの制度の延長を行います。それとともにGoToキャンペーンの一時停止や売上高の変動等の影響に対応するため、融資要件の緩和を行います。こうしたことを、スピード感を持って対応しているところであります。
また、こうした金融支援強化に加えまして、去る12月20日には、全国知事会におきまして、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急提言を取りまとめ、飯泉全国知事会会長さん、徳島県の知事さんですが、西村経済再生担当大臣などに直接、我々の提言書を提出してくださいました。この緊急提言におきましては、GoToトラベル事業の一斉停止により、宿泊施設、観光業者だけでなく、その他幅広い業種に影響が及んでいることが明確になっておりますので、交通事業者や土産物店等も含めた救済措置を早期に検討して下さるように求めております。
あわせて、休業や時間短縮の影響も踏まえまして、持続化給付金や家賃支援給付金等の再度の支給等も求めました。県としましては、新型コロナウイルスの感染拡大の状況や本県の経済雇用状況への影響などを踏まえまして、引き続き資金繰り対策、また雇用対策に注力するとともに、全国知事会とも歩調を合わせ、国に対しましても、県内企業の事業維持と経済再生に向けて柔軟かつ迅速、的確な対応を進めてまいります。
三つ目の対策でございますが、観光事業者への支援についてでございます。失礼しました。国が感染拡大の防止のために、12月28日から1月11日までの間、GoToトラベルの利用を全国一斉で一時停止なさいまして、これに伴い、県でも県民の皆様を対象とした宿泊促進事業について、同期間利用を一時停止いたしました。このことは、年末年始をご家族などと一緒に県内の観光地でゆっくりと過ごすことを予定していた県民の皆様はもちろん、万全の感染対策を実施して、お客様を待っておられました県内観光産業の方々にとられましても、大変なご不便をになったと存じます。皆様には、この感染拡大の防止にご協力いただきましたことに対しまして、重ねて感謝を申し上げるものであります。
観光産業は、宿泊施設や観光施設、仕入れ、土産物を扱う事業者の方々など裾野が広いものです。地域経済にとっては大変重要な産業でもあります。回復傾向にあった県内観光関係事業者の皆様にとっては、書き入れ時となる年末年始の重要な時期に感染が再び拡大することによって、経済的に大変大きな打撃を受けられているものと拝察しております。
県としましては、県内観光産業の回復に向け、県内外の感染状況やGoToトラベルの動向等を注視しながら、可能な限り速やかに宿泊や周遊を促す取り組みを、感染状況が落ち着いている地域から段階的に進めてまいります。本年も県内観光関係事業者の皆様と一丸となりまして、旅行者と受け入れ施設双方の感染防止対策の徹底と、本県観光産業の振興による社会経済活動の両立を図ってまいります。
最後に、富士市に関わることでございます。富士市におきましては酒類を提供する飲食店等への営業時間の短縮要請が今行われているところでございますけれども、本当はですね、12月23日から年末年始を含む14日間を要請期間といたしました。酒類を提供する飲食店及びカラオケ店に対する営業時間の短縮の要請につきましては、予定通り1月5日をもって終了といたします。根拠でございますが、富士市の感染状況は、要請を行ったのが12月21日のことでございますがその時点では、直近1週間の人口10万人当たりの陽性者数が19.0人であり、そのほとんどが飲食店関連でございました。現在、1月2日までのデータがございます。それによりますと、富士市全体では、直近週間の人口10万人当たりの陽性者数は25.4人と依然として高いレベルにはございますが、富士市立中央病院におけるクラスターを、これを省きますと、4.4人と、10万人当たり4.4人となり、要請前と比べると大幅に減少したということが統計的に示されております。これはこの時短要請の効果が一定程度見られたというものと認識しているものであります。これはひとえに、富士市内で営業時間の短縮要請にご協力をいただきました事業者の皆様のご協力のおかげであります。誠にありがとうございました。
一方、富士地域の医療機関における病床の占有率は非常に高くなっておりまして、地域の医療体制を確保するため、県といたしましても、DMAT、そしてまた、ふじのくに感染症専門医協働チーム、略称FICTなどのご協力をいただきまして、富士市立中央病院の医療体制を支援いたしまして、隣接医療圏での受け入れ調整、また無症状者等のホテル等での療養にも努めております。しかし、富士地域の医療体制を維持するためには、感染者を増やさない対策の徹底が必要でございますので、市民や事業者の皆様には、引き続き感染防止対策の徹底をお願い申し上げたく存じます。
全国的にも首都圏などの大都市地域を中心に感染拡大が一層深刻化しているのはご案内の通りであります。県民の皆様には、マスクなしで歌う、あるいは会話をするなど、感染リスクの高い行為は、厳にご回避くださいませ。また、飲食店のみならず、事業者の皆様におかれましても、業種別ガイドラインをぜひお守りいただきまして、換気、消毒、マスクの着用と感染防止対策の徹底を継続してくださるように改めてお願いを申し上げます。東京都など首都圏におきましては、飲食店に対し、目下のところ22時以降の営業の時間の短縮要請が行われ、これを20時までにされるということにも今なりつつありますが、感染リスクを下げる努力が行われている真っ最中であります。県内の飲食店におかれましては、とりわけそれらの地域から多くのお客様が訪れかねない地域もございます。そうした、お店もございましょう。そうした地域のお店におかれましては、感染防止対策を徹底していただきまして、来店者名簿など、例えばそれを作ってくださるというふうにいたしまして、感染経路がきちっと後から追えるようにですね、合わせてお願いをするものであります。以上、私の方から新年の冒頭のごあいさつと新型コロナウイルス感染症対策について、申し上げました。
令和3年1月4日 静岡県知事 川勝 平太
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