第14回『"ふじのくに"のフロンティアを拓く推進会議(本部員会議)を開催しました。』
去る3月25日、私が副本部長を務める「“ふじのくに”のフロンティアを拓く推進会議(本部員会議)」を開催しました。
「“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組」とは、平成23年3月に発生した東日本大震災の教訓と、平成24年4月の新東名高速道路の開通を契機として、県全域を対象に平成25年度から開始した新しい地域づくりの取組です。具体的には、防災・減災対策を最優先に実施しながら、沿岸域と内陸域の均衡ある発展と、平時における地域産業の活性化及び有事に備えた産業基盤の強化等の課題の一体的な解決を目的としており、「安心・安全で魅力ある県土の実現」を目指しています。
本取組は、1期5年、全3期の合計15年を計画期間としています。平成25年度から29年度まで展開した第1期では、防災・減災と地域成長を両立する拠点となる「ふじのくにフロンティア推進区域」を、県内全35市町に74区域指定しました。推進区域では、工業用地や住宅用地、農業基盤、防潮堤、津波避難施設、観光交流施設の整備等に取り組んでおり、令和2年度末時点で、48区域が完了し、170haの工業用地や400区画の住宅地が造成されました。造成された工業用地には104社が進出し、約4,200人の雇用を創出するとともに、災害発生時の応急復旧活動における人的・物的支援を取り決める「防災協定」を31件締結するなど、取組は着実に進んでいます。
平成30年度から開始した第2期では、ICT等の新しい技術を活用しながら、複数の拠点を計画的に連携・補完させる「ふじのくにフロンティア推進エリア」の形成に取り組んでいます。第1期が各地域の「拠点の形成」であった一方で、第2期は広域的な「面の形成」といったイメージです。推進エリアの認定制度を開始した令和元年度は2エリア2市町の取組を、令和2年度は6エリア13市町の取組を認定しました。
年度 |
市町 |
推進エリア名 |
---|---|---|
R1 |
御殿場市 |
御殿場“エコガーデンシティ”産業立地促進エリア |
R1 |
川根本町 |
ICT・IoTによる新産業創出推進エリア |
R2 |
島田市・牧之原市 |
富士山静岡空港周辺観光・産業交流推進エリア |
R2 |
下田市・東伊豆町 |
世界レベルの地域資源の中で、豊かに働き・暮らし・遊ぶ『伊豆'sライフスタイル』創造エリア |
R2 |
沼津市 |
先端科学技術を活用した農業イノベーション創出エリア |
R2 |
湖西市 |
湖西市版MaaS(企業シャトルBaaS)によるデジタルシティ推進エリア |
R2 |
伊豆市 |
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした、交流・関係・定住人口創出推進エリア |
R2 |
清水町 |
笑顔があふれ誰もが健康に暮らせる『笑街健幸のまち』推進エリア |
会議当日は、令和2年度の認定エリアのうち、下田市及び賀茂郡5町による連携の取組と、湖西市の取組の発表が行われました。
下田市及び賀茂郡5町の取組は、昨今、新しい働き方として注目を集めている「ワーケーション」について、当地域が有する世界クラスの自然・歴史・文化等と、ドローンや新しいモビリティ等の先端技術を融合させて、伊豆ならではのワーケーション(多彩なライスタイル)を提供し、伊豆を「ワーケーションのメッカ」にすることで地域の活性化を目指すものです。
一方、湖西市の取組は、市内に自動車関連の大規模工場が集積しており、各企業が駅と工場を往復するシャトルバスを有している点に着目し、これらのバスを共同運行するとともに、一般の方の乗車を可能とすることで市民の交通手段とし、かつ、AI技術を活用して効率的な運行を行うことで、地域資源の有効活用と公共交通の使いやすさの向上、持続性の確保を図る取組です。また、商業施設や行政サービスと連携することにより、市内消費の活性化や市民の利便性向上に寄与し、人口減少や高齢化といった状況においても持続可能な地域づくりを実現させるものです。
どちらの取組も、それぞれが有する強みや抱える課題を的確にとらえ、新しい技術を用いながら持続可能な地域づくりを目指しており、その実現が大いに期待されます。
静岡県では、今後も、第1期で指定した推進区域の早期の整備完了と、第2期で取り組んでいる推進エリアの形成を推し進め、安心・安全で魅力ある県土の実現を目指していきます。