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ホーム > 県政情報 > 県政総合 > ようこそ部局長室へ > 静岡県特別補佐・戦略監室 > OODAループvs.PDCAサイクル

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更新日:令和元年5月9日

OODAループvs.PDCAサイクル

私は、これまで「内陸のフロンティアを拓く取組」や「多文化共生社会の実現」、あるいは「ファルマバレープロジェクト」や「CNFプロジェクト」をはじめとした新産業の振興など、静岡県の新規政策を数多く立ち上げてきました。

これらの新たな政策にとりかかった時、県庁を含め多くの人たちの反応は、『政策の全体像が分からない』、『先が見えず、成果は上がらないはずだ』、『無駄なことはするな』など厳しい御意見が多かったように思います。

しかし、新しく取り組むのだから先が見えないのは当たり前だと開き直り、徹底した情報データの収集による「現状把握」、それに基づく「現状分析」、目標と手段の迅速な「意思決定」とすばやい「実行」に努め、さらに、現実や環境の変化に柔軟に対応していったことで、政策として認知されました。加えて、トップ(知事)の支持の下、共に担当したスタッフの協力や、その後の後輩たちの努力もあって、今、いずれも本県を代表する政策として花開くまでになったと実感しています。

一方、新規政策に取り組む時のこの手法は、本県をはじめ、日本の企業や自治体の多くが経営管理の手法として導入しているPDCAサイクルとは、似て非なるものではないのかと考えていたところ、最近、戦略関係の本の中で「OODA(ウーダ)ループ」という言葉に出会いました。今回は、このPDCAサイクルと、OODAループについて紹介します。

 

 

≪静岡県のPDCAサイクル≫

 

私は、平成13年度、総合計画室の主幹として、行政目的の達成を目指す総合計画の策定を担当しました。それは、目標を数値で示し、それに基づき成果や課題を明らかにするもので、それまでの開発経済型の総合計画からまったく新しい形の計画となりました。当時、この取組みは「目的指向型行政運営」と名づけられました。これは、わが国の行政機関の先駆けともいえるものと、自負しています。

その後、川勝知事となり、知事選挙でのマニフェストの目標が総合計画ともリンクするようになりました。知事はこの取組により、平成24年度マニフェスト大賞(首長部門)を受賞し、併せてPDCAサイクルの手法による取組が強調されるようになりました。そして現在、県行政のほとんどの業務が、PDCAサイクルの手法(立案・実行・評価・改善)により進められています。

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≪PDCAサイクルの限界≫

 

 

PDCAサイクルは、計画から評価まで、そして改善を次の計画に反映させるまで、各々時間がかかり、事情の変化に対して柔軟に対応できません。例えば、行政における標準的なPDCAサイクルは、単年度主義のもと、次のような手順で進められています。

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前年度の3月までに策定された計画に基づく業務は、翌年度の6月以降に評価が行われます。そして、その結果が実際に次の業務に反映されるのは、翌々年度の4月以降ということになります。つまり最初の計画が策定されてから実行、評価され、改善された計画がスタートするまでには、約2年間かかることになります。この2年の間に、地域を取り巻く情勢や県民のニーズはどんどん変化していきます。PDCAサイクルは、過去に策定した計画を元に実施した結果を評価するため、外部環境の変化を柔軟に取り入れることは難しく、想定外の事態への対応も十分にできません。PDCAサイクルは、工場での品質管理のような、目標や環境が安定している場合においてとても有効な考え方です。しかし、行政を取りまく世界は、県民の行動や心理が不明確で、周囲の環境との相互作用も多く、想定外の事態が必ず起きます。例えば、県民と話したり、交渉したりする中で、全く予想していなかった反応が返ってくることはよくあります。このような時、計画通りの業務実施を求めるPDCAサイクルの考え方を当てはめても、現場で素早く臨機応変な判断を下すことは難しいのです。

また、これまでにない全く新しい業務を始める場合には、PDCAサイクルの方法論はあまり機能しません。PDCAサイクルは、計画を立てる時から評価をする時まで、周囲の環境が変化しないことを前提としています。しかし、例えば新規事業を立ち上げる時、今後その事業がどのように展開していくのかは不確定であり、将来が完全には見通せません。このような場合、そもそも最初の計画をどのように策定したらよいのかが不明確なため、PDCAサイクルだけでは、現状を打破することは難しいと感じます。

 

 

≪OODAループとは≫

 

以上のようなPDCAサイクルの欠点を補うため、私は別の手法で新規政策を立ち上げてきました。それは、冒頭でも述べたとおり、「現場に出向き、何が課題となっているか現状を把握し、政策実現のための道筋を思い描き、すかさず実行する」というものです。そして最近、まさにこの手法を分かりやすく説明する言葉が、日本でも注目され始めています。それが「OODA(ウーダ)ループ」です。

OODAループとは、Observe(観察)、Orient(情勢判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)の4つの活動からなる戦略的理論です。

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Observe(観察)

周囲の環境を観察し、固定概念や期待する想定に固執せず、あらゆる情報を集める。

 

Orient(情勢判断)

観察したものが何を意味するのか情勢判断し、方向付けする。

観察して得た情報を、過去の経験にもとづく断片的なアイデアなどと組み合わせて、行動の順序や採用すべき手段を考える。

 

Decide(意思決定)

情勢判断に従ってどのように実行していくのか決定する。

 

Act(行動)

決定に従って実行する。

 

 

そして、OODAループの「ループ」には、実行後再び観察(Observe)へ戻る「Feedback(フィードバック)」と、観察や情勢判断をそのままにして、瞬時に新たな意思決定を行い、実行する「Feedforward(フィードフォワード)」の二つの性質があるとされます。このように「ループ」は、「サイクル」とは異なり、一つの段階が終わったら次の段階、という流れではなく、それぞれの段階をほぼ同時進行で行うことです。そして、高速でループを繰り返し回転することで、短期間で効率的に成果を出すことも可能になるとされています。日ごろからOODAループを常に意識し、高速回転させる訓練を繰り返すことで、ほぼ直観的に現状を把握して適切な行動に移すことができるようになると言われています。

 

 

 

≪OODAループを実践するための組織≫

 

また、この方法論は、組織のあり方についても多くのことを示唆しています。

 

(1)相互信頼

相互信頼があると、メンバー同士の素早いコミュニケーションが可能になり、個人の自発性が高まります。リーダーの指示以上に、個々人が情報収集して行動するようになることが必要です。注意したいのは、部下の仕事を細部にわたって過剰に管理、コントロールしようとするマイクロマネジメントです。細かな業務まですべて自分の思い通りに管理しようとすれば、部下は上司が自分を信頼しているとは感じません。これは、組織全体のOODAループの回転を遅くし、本当に必要な時の自発的行動を防げることになります。

 

(2)目標・方向性の共有

リーダーは、部下の自発性に委ねながら、組織全体の行動を調整することが求められます。そのためには、組織全体の目標や方向性が、メンバー全員に共有されている必要があります。リーダーは、業務を部下に指示するとき、組織にとって重要なポイントと目指すべき方向性を明らかにした上で、部下への責任と権限の移譲を行います。部下はそれを受けて、自らの自発性や創造性を駆使し、目指すべき方向性と合わせながら業務を達成していくのです。

 

 

≪OODAループの必要性≫

 

現在、ソーシャルメディアやAIの時代をむかえ、リアルタイムで情報収集できるようになった半面、即座に反応し、行動に移すことが必要とされています。OODAループの考え方を使うことで、県民に密着して、彼らのニーズや欲求を迅速に発見し、対応することができるようになると思います。

また、OODAループは、変化に対応した臨機応変な対応を可能にします。現場が起点となっているので、計画やマニュアルに必要以上に縛られず、現場をよく見て、考えつつ行動することができます。ループを高速で回転させながら、その都度調整を加えて迅速に行動を修正することができれば、想定外の事態が起きても素早く適切な判断を下すことができるでしょう。

 

 

≪まとめ≫

 

PDCAサイクルとOODAループは、決して相反するものではないと考えています。事業を立ち上げるときはOODAループ、軌道に乗ったらPDCAサイクルを使うなど、相互補完的に活用することで、より有機的な組織運営ができると思います。

PDCAサイクルは、永続的な行政目標の達成に向けて、自ら計画を策定・実行し、改善し続けるために、今後も必要不可欠な行政経営の方法です。ここに、OODAループを組み合わせることで、現状を把握・分析し、時代の変化に合わせた新しい政策をより効果的に行っていくことが出来るのではないでしょうか。そして、それを実現するための組織づくりをすることも、これからの行政に必要なことではないかと考えています。

 

 

≪参考:OODAループの歴史≫

 

OODAループは、アメリカの空軍パイロット、ジョン・ボイドが提唱しました。ボイドは、ベトナム戦争で、性能に勝る米軍機が旧式のミグ戦闘機に負けることがあり、その理由が単にスピードではなく、敏捷性(敵機の背後をとる)にあることに気づきました。その後、空中戦における瞬間的な判断方法や、勝つための戦略を、講演などを通して広めました。ボイドは、孫子や宮本武蔵の考え方なども取り入れて、強いストレスと不確実性の中で戦闘参加者が協調し共同するための枠組みである「OODAループ」を発案しました。

後に、この戦争という極限状況における一瞬の戦略的思考を、ビジネスの場にも適用しようとする動きがでてきました。アメリカでは多くの優良企業がこの理論を採用しているといわれています。日本でも、PDCAサイクルを補う経営理論として、今後大きな注目を集めるのではないかと期待されています。

ボイドの後継者たちによって、OODAループの考え方をまとめた本が出版されています。最近、日本語訳が出版されましたので、興味を持った方は、ご参考にしてください。

『OODALOOP(ウーダループ)-次世代の最強組織に進化する意思決定スキル-』

チェット・リチャーズ著、原田勉訳、東洋経済新報社、2019年3月)

 

 

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