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ホーム > 県政情報 > 県政総合 > ようこそ部局長室へ > 静岡県特別補佐・戦略監室 > プラットフォーム政策~館型とネットワーク型~

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更新日:令和元年6月25日

プラットフォーム政~館型とネットワーク型~

昨年11月、フランスのパリにある「STATIONF」を視察しました。現地の方のお話によると、パリを訪れる日本人が、エッフェル塔の次に多く訪れる、最近注目の場所です。

「STATIONF」は、旧鉄道駅を利用してつくられた世界最大級のインキュベーション施設で、おしゃれなカフェやレストランも併設されています。施設内には、3Dプリンターを数多く設置した試作品製作コーナーや、多くのVC(ベンチャーキャピタル)も入居し、起業家とのマッチングが毎日のように行われています。単なる箱モノ施設があるのではなく、独自のプログラムやイベントも展開されており、起業家同士や製造メーカー、投資家とのネットワークを築くことができる施設となっています。さまざまな人と人を結びつけて新しい事業を生み出していく「STATIONF」は、まさにビジネスプラットフォームとしての機能を十分に発揮していると感じました。

静岡県は、色々な政策を進めるにあたり、その手段としてプラットフォームの形成を図ってきましたが、今回の視察は、改めてプラットフォームについて考えるきっかけとなりました。プラットフォームとは何か、静岡県の政策でどのように活用されているのか、紹介します。

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【STATIONF2階のキューブで起業家たちが活動をしています】

 

 

≪プラットフォームとは≫

プラットフォームとは、もともと「土台、基盤、場」という意味があり、駅を象徴する言葉としてもよく使われてきました。自動車産業においては、車の基礎部分である「車台」を意味し、最近の車づくりは、このプラットフォームをいかに作るのかが大きなテーマになっています。

ビジネスの場面では、「商品やサービス、情報を展開するための場」という意味で使われています。プラットフォームビジネスは、もともと百貨店や大型ショッピングモールなどで古くから使われているビジネスモデルです。百貨店は、商品を売りたい企業に、出店する「場」を提供することで、顧客を集め、百貨店全体の会員サービスやイベントを展開して利益をあげています。

最近は、オンライン上で、マイクロソフトやツイッター、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などがこのビジネスモデルを使って大成功を収めており、特にGAFAは、プラットフォーマーとも呼ばれています。これらは、多くのサービスや情報、利用者を集めた「場」を作り出すことで、さらに多くの利用者を増やしています。さらに、インターネットやパソコン、スマートフォンの利用者が、結果的にこれらのサービスを使わざるを得ない状況(デファクトスタンダード)までも作り出すことに成功しています。

そして、このように複数の企業と顧客をつなぐことができるプラットフォームビジネスの考え方は、行政の産業政策のツールとしても使われるようになりました。新しい産業を興し、発展させていくためには、製品開発に取り組む企業や研究開発を進める大学など、様々な人や団体を結びつけるプラットフォームを形成することが必要と考えられるようになっています。

 

 

≪館型プラットフォームとネットワーク型プラットフォーム≫

私は、産業政策を進めていく上で、プラットフォームは一つの形だけではないと考えています。大きく分けて二つ、「館型プラットフォーム」と「ネットワーク型プラットフォーム」の二種類があると考えています。

「館型プラットフォーム」は、最初に拠点となる建物や施設を整備し、その拠点を中心に人や物を集めていく手法で、ハード面を重視した考え方です。百貨店やショッピングモールは館型プラットフォームの典型的な例と言えます。また、ベンチャー企業を育成するために、日本で多く行われているインキュベート施設を整備する方法も、この館型プラットフォームです。行政からの補助金などをもとに、大学の中に拠点を作り、研究者や起業しようとしている人を集めています。

この手法は、館が形として見えることから、できあがった時は大きな成果を上げたと評価されやすくなっています。しかし、注意しなければならないのは、建物の完成がプロジェクトの完了ではないということです。本来は、拠点を基にしていかにベンチャーを支援していくのかが重要ですが、拠点の立ち上げのみに力を注いでしまい、その後の支援策に手が回らないことがよくあります。日本のベンチャーが育たない、独り立ちしないのも、このような問題が大きいのです。また、行政が主導している場合、拠点となる建物がプラットフォームとして有効に機能していなければ、「箱モノ行政」という批判につながってしまいます。

反対に、「ネットワーク型プラットフォーム」は、情報産業の分野で広く用いられており、行政においても、拠点となる建物・施設に頼らずに、人や物、資金をつなぐ手法として用いることができます。インターネットを使った情報交換や、セミナー、展示会といったイベントを開催するなど、ソフト面を重視して人や企業をつなげ、ネットワークを形成することを第一とする取組みです。

次に、私が担当してきた政策でのプラットフォームについて、見てみましょう。

 

 

≪CNFプロジェクト≫

静岡県の産業政策で取り入れているプラットフォームの形成の中でも、CNF(セルロースナノファイバー)プロジェクトは、特にネットワーク型プラットフォームの手法で政策を始めたものです。

私は、このプロジェクトを始める時、世界では命の素材への関心が高まっており、日本が、そして静岡県がこの分野で先頭を切ることが重要と考えていました。そこでスピードを優先するため、拠点となる建物も、プロジェクト推進の根拠として一般的に策定される計画や構想も作りませんでした。このため、政策を立ち上げたときは、政策が見えない、分かりにくい、という批判を多く受けました。しかし、拠点を作るかわりに私が目指したことは、ネットワーク型プラットフォームの形成でした。

まず最初に、京都大学でCNFを研究している矢野浩之先生の講演会を聞きに行ったことから、CNFプロジェクトが始まりました。講演会終了後、すぐに先生と意気投合し、静岡県におけるCNF産業発展のためのご支援を頂けることになりました。早速、先生に基調講演をお願いして、CNF産業振興セミナーを開いたところ、予想をはるかに超える企業や団体が集まり、立ち見の人が出るほどでした。県内外の多くの人がCNFに関心を持っていると実感しました。そして、静岡には多くの森林資源があり、製紙産業が集積し、ものづくりを得意とするバラエティ豊かな中小企業が展開していることから、静岡県は、世界に先駆けて、CNF産業を発展させる使命があると、確信を持つことができました。

そこで、CNFに関わる様々な人と面談し、CNFとの関わり方や現状を取材しました。その中で、矢野先生と並びCNF研究をリードしている東京大学の磯貝明先生や、静岡大学の鈴木滋彦先生と巡り合い、力になっていただくことができました。加えて、京都市や愛媛県など、他県の自治体との連携も始まりました。また、CNFの研究にいち早く取り組んでいた製紙会社の方からは、製紙ビジネスは、これまで(江戸時代から)、卸問屋が間に入っており、直接紙のユーザーの意見を聞くことがなかった、というお話を伺いました。CNFも、その利用で相手方となるユーザーと直接ビジネスの交渉をするのが難しかったので、県が間に入ることで様々な会社とのつながりができるため、ぜひプラットフォームを作ってほしいと、話してくださいました。

さらに、国の機関(経済産業省、環境省、農林水産省)にも出向きました。環境省では、単なる製品開発ではなく、地球温暖化対策として、プラスチックに代わる新しい素材の研究開発を行う、という視点で補助金が活用できる、というお話を伺ってきました。また、研究開発の促進に向けて、産総研(産業技術総合研究所)やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)とも包括協定を結びました。

こうした取組みの結果、わずか半年あまりで、CNF産業振興のためのプラットフォームである、「CNFフォーラム」を設立することができました。大学や自治体、産業支援機関、金融機関も加わり、70を超える企業や団体が参加するプラットフォームとなりました。

その後は、「製造・研究開発拠点の誘致」、「研究の人材育成」、「製品開発への支援」の3つの目標を定めて、事業を進めました。それぞれ、富士市内への日本製紙(株)の研究所・生産拠点の立地、静岡大学の寄附講座の開設、様々な地元企業による製品開発といった形で成果が生まれています。また、セミナーや総合展示会などは、毎回立ち見の人が出ており、回を重ねるごとに参加人数が増えています。こうした取組みを通して、さらに多くの企業や団体がプラットフォームに加わっています。

こうしたプラットフォームの拡大を受け、今年5月に、静岡県富士工業技術支援センターにおいて、「ふじのくにCNF研究開発センター」がオープンし、ついにCNFの研究開発拠点が作られました。また、富士市は自ら「富士市セルロースナノファイバー関連産業推進構想」も策定しています。今後は、館型とネットワーク型を組み合わせた、さらなるプラットフォームの発展が期待されています。

 

CNF

 

≪ファルマバレープロジェクト≫

ファルマバレープロジェクトは、「医療の質の向上」と「地域企業の活性化」の2つを大きな目的として始まりました。基本的に、「医療の質の向上」は館型プラットフォーム、「地域企業の活性化」はネットワーク型プラットフォームを使った政策と言えると思います。

「医療の質の向上」は、実際の医療現場で、患者や家族の視点に立った医療の実践、先端研究開発の推進を目指すものでした。そのために、静岡がんセンターを中心とした産官学の研究開発ネットワークの形成が行われました。平成17年に、静岡がんセンターの研究所棟が開所し、企業や大学との共同研究が本格化しました。また、国内最大級となる「静岡県治験ネットワーク」(28病院)が構築され、各施設間で情報交換等が行われ、より質の高く、より迅速な治験を行うことができるようになりました。

このように、「医療の質の向上」を目指すための、静岡がんセンターを拠点としたプラットフォームづくりは比較的スムーズに進み、上記のような成果が順調に生まれていました。それに比べて、「地域企業の活性化」は、当初、ファルマバレーセンターが中心に企業の支援を行っていたとはいえ、十分に成果が出ているとは言えない状況にありました。

その理由について、私は、これまでの行政が、リスクのない大企業の誘致しか政策手段を持たず、新しい事業を起こすための環境をどのように作っていくのか、その手段を考えず、実行もしてこなかったことが原因と考えました。つまり、行政では、まず拠点づくりなどのハード面が重視され、これができなければ成果が出ないと安易に考えていたり、行政が中小企業を伴走型で支援するということも、ほとんど考えていなかったと思います。

そこで、私は、新産業の創生や産業集積のための新たなプラットフォームとなる、ネットワーク(クラスター)の形成に取り組みました。「人材育成機能(ヒト)、事業育成機能(モノ)、資金調達機能(カネ)、ネットワーク機能(情報)」の充実が何よりも必要であると考え、そのための実践的な戦略計画を策定するとともに、スタッフ一同がプロジェクトの理念を共有し、同じ目標に向かって全力で取り組む体制を作っていきました。具体的には、早稲田大学と連携した起業家養成講座の開設や、沼津工業高等専門学校と連携した医療系ものづくり現場の人材養成、医療者と地域企業との連携による、看護師や医師などの医療現場が求めるニッチな製品の開発支援、国の資金の獲得や、地域活性化総合特区への指定、世界的権威のある雑誌への掲載による、プロジェクトのブランド化などを実行していきました。

そして現在、これまでの政策もあって、静岡県の医薬品・医療機器の生産額は全国トップクラスを続けています。さらに、今年4月に就任した、山梨県の長崎知事は、ファルマバレープロジェクトをモデルに、山梨県でも「メディカル・デバイス・コリドー」計画を推進すると聞いています。このように、ファルマバレープロジェクトは着実に成果を挙げ、県内外でもクラスター政策の成功例とされています。今後は、平成28年に設立された、「ふじのくに医療城下町推進機構」を中心に、これまでに整備してきたネットワーク型プラットフォームをさらに充実させ、住む人も訪れる人も快適な魅力あるまちづくりが期待されています。地域住民をも巻き込んだプラットフォームの、更なる拡大と発展を期待しています。

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≪まとめ≫

一人の人が、「いい物ができました」「すごい技術を持っています」というだけでは、ビジネスにはならず、地域全体の産業発展にもつながりません。商品や技術を開発する人、それを使いたい人、買いたい人、それに出資する人など、様々な人や企業を結びつけなければなりません。

私は、連携や協働、オープンイノベーションの重要性が叫ばれる今日、政策の実を挙げるためには、ネットワーク型プラットフォームがより有効な手段だと思いますが、行政においては、館型もまた必要な時があります。大切なのは、それぞれ状況に応じて使い分けること、そしてプラットフォームを作った後に、そのプラットフォームをいかに発展させ、どのような成果を出すのかを明確にすることです。ちなみに、館型とネットワーク型を同時に行うことは、財政的にも人的にも膨大な資源の投入が必要となることだけは、しっかり自覚しておくことが必要です。

プラットフォーム政策を進める上で、誰がその主体となりうるのか、考えることがよくあります。プラットフォームを立ち上げ、コーディネーターとして、プラットフォームのパフォーマンスを大きく育てることができるのは、自分の経験を振り返ると、県の職員が最も適していると感じています。個別の利害にとらわれず、地域全体の利益を第一に考えるとともに、世界や日本全体のことにも関心を持ち、個別の中小企業や研究者にも寄り添うことができるのは、県職員しかいないと思うからです。後輩諸君の奮闘を願っています。

 

 

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