人づくりちょっといい話21
人づくり推進員の報告(2)
「人づくり推進員」の報告を続けましょう。
石神齊推進員は、細江町の子どもたちと会いました。「地域社会のお祭りが馬鹿騒ぎになっていませんか?」という質問です。確かに馬鹿騒ぎになっていたりコマーシャリズムに利用されている傾向がありますね。「人づくり委員会」は「伝統のお神輿を担いだり山車を引っ張ったりするのもいいけれど、若い人たちに新しいお祭りをつくらせてはどうですか」と提案しています。これがどこまで実ってくるか。私は伝統のお祭りと並行して、地域の人たちが新しいお祭りをつくっても面白いんじゃないかなという感じがするんです。
静岡にお住まいの西谷祐一推進員が、地域の人を4つくらいのグループに分けて30分の提言の話し合いをしてもらった。「結局2時間もみなさんでお話し合いをしてくださった」と言うんですよね。だけどこれもまた本当にどういうふうに意見をまとめていいか、大変悩んだという報告があるんです。それ程重い問題を、いつもみなさん方が、静岡県にお住まいでいながら抱えていらっしゃるということなんでしょうね。
佐藤洋之委員が、とてもいいことをおっしゃいました。「家庭で子どもを教育するということは、人間としてのしつけ糸をつけることだ」と。「しつけ糸がしっかりしないと学校でも社会でも1着の着物が縫えませんよ」。それに対して参加者のみなさんも「なるほど」とうなずいてくださったということです。
芝晴美推進員は養護学校へ行ってくださいました。「子どもたちが地域で生きるにはどうしたらいいか。それを考えてほしい。もっといろいろな意見がほしい」という意見が出ます。つまり生きるためのソフトがほしいということですね。それから、「養護学校に通って、身体障害のある方を支えていくボランティアの養成所というものも同時並行的に新しい教育システムの中でつくっていく必要があるじゃないか」というような声が出るんですね。
「人づくり委員会」をやってみてよかったと思うのは、みんなが問題を共有しているということを実感できたことです。同じ問題を共有しているということは、とっても大切なんですね。電車に乗り合わせて対面して座っていても、ちょっと知らん顔をしている。だけど実は、胸の内では同じ悩みを抱えているんですよね。子どもについての悩みであったり、亭主が暴力を奮うことの悩みであったり、あるいは「自分はこれから新しい人生を始めようと思うけどどうしようか……」という悩みであったりするんだと思うんです。
みんなが、殊に家庭とか学校とか社会の若い人たちの振る舞いとか、そういうものについて同じ問題意識を持っているということ。ここまで来たら、私は、日本の解決力はつよくなるんじゃないかと思うんですね。
草柳大蔵著「午前8時のメッセージ99話」(H21年発行静新新書)より
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