人づくりちょっといい話48

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ページID1018562  更新日 2023年1月11日

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愛情の渦巻きを大切に

『小学生の俳句歳時記』(金子兜太監修、蝸牛新社、2001年)には、自分の小さい胸の内の世界を詠み込んでしまった句もあります。小学校四年生の弥田侑里さんの句で、「目の前にきらきら光る二十五メートル」。二十五メートルとはプールのことなんです。プールという季語はありませんが、きらきらと詠むことによって、夏を見事に表現するんですね。同じく小学校四年生の大野晴夏さんの句で、「海は青わたしはまっ赤な水着きて」。この色のとらえ方はすごいですね。

また、『ジャックと豆の木』が、子どもたちの想像力の元になっているという句があります。「いつまでもジャック呼んでる豆の花」。小学校二年生の村岡真史君の句です。それから、小学校二年生の前田しょうへい君の句で、「じゃっくならのぼっていくかなあさがおに」。やはり、絵本などで、『ジャックと豆の木』を読むんでしょうね。そこで、金子兜太さんは、「『ジャックと豆の木』のジャックだったら朝顔のつるにも登っていくのかなと想像しました。しょうへい君は本当はジャックになりたいのです。小さいときからたくさんの絵本や童話を読むことは、想像力がゆたかになります」と言っているんですよ。

先日、『子どもの右脳を鍛える作文練習帳』(七田眞著、ネコ・パブリッシング、2001年)という本が出ました。右脳は感性や直観力をつかさどりますが、それを鍛える作文練習帳です。中国から日本に渡ってきて、中国人と結婚して大阪で暮らしている知人に頼まれ、私はそれ方の息子さんの名付け親になりました。その子が幼稚園を卒園して小学校に入ったのですが、将棋が天才的にうまくて、小学校一年生なのに、周りの大人を習わせようと思うんだけれど、どうしたらよいでしょう、という手紙が来ました。そこで、東京で一番の大きな本屋に行って、この『子どもの右脳を鍛える作文練習帳』を探しましたが、すでに売り切れで、在庫も一冊もなかったんです。すごいものですね、世の中の父親母親は。

そんなに驚くことではないかもしれませんが、国際競争力が教育面でも下がってきて、問題になっている日本です。しかし、実際は子どもに対する教育力といいますか、「どういうふうに教育したらよいだろうか?」というお父さんやお母さんの思いがある。これは愛情の一種ですよね。それが日本列島にこれだけ渦巻いている。こういう渦巻きに対して、いつでもその場にいる人、その分野にいる人が有効なメッセージを発し続けることが大事ではないかな、とつくづくそう思いました。

草柳大蔵著「続・午前8時のメッセージ99話」(平成14年発行)より

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