懸念1 トンネル湧水による大井川の水資源への影響
大井川の概要・水利用の状況
大井川は、静岡県中部に位置し、その源を静岡県、長野県、山梨県の3県境に位置する間ノ岳〈標高3,190m〉に発し、静岡県中央部を南北に貫流しながら、島田市付近から広がる扇状地を抜け、その後駿河湾に注ぐ、流域面積1,280平方キロメートル、幹川流路延長168kmの一級河川です。
古くより大井川では、豊かな水量と急峻な地形特性を活かした水利用がされていました。昭和3年に大井川源流部に発電を目的とした田代ダムが建設されて以降は、数多くのダム・堰堤などの取水施設が建設され、これらの取水施設から取水された水は、発電用水、農業用水、上水道用水、工業用水として幅広く利用されています。
リニア中央新幹線 南アルプストンネル工事における大井川の水資源減少問題について
環境影響評価法に基づく一連の手続きの中で、2013年9月に事業者であるJR東海は、中央新幹線の南アルプストンネル工事により大井川の河川流量が多いところで毎秒約2トン減少するとの予測を示しました。
毎秒2トン分の水の量は、約60万人の生活用水に相当し※、対策を取らなかった場合、大井川の水利用に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
JR東海は、2018年10月に「原則としてトンネル湧水の全量を大井川に流す措置を実施する」ことを表明しました。しかし、2019年8月に「先進坑がつながるまでの工事期間中、山梨、長野両県へトンネル湧水が流出し、一定期間は水を戻せない」ことを表明し、県とJR東海の対話が深まらない状況になりました。
※一人一日あたりの水道使用量を300リットルとした場合
そこで、2022年4月、国土交通省は、JR東海を指導・助言等することを目的として、有識者会議を設置しました。有識者会議では水資源問題の大きな二つの論点である「トンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方」「トンネルによる大井川中下流域の地下水への影響」について、科学的・工学的な観点から議論を行い、13回、約1年8か月の期間を経て、「大井川水資源問題に関する中間報告」を取りまとめました。
中間報告では、「工事中も含めてトンネル湧水を戻さなければ全量戻しにならない」ことが明確にされました。全量戻しの具体的な解決策は、「関係者の納得が得られるよう具体的方策を協議すべき」と、県や流域市町の関係者とJR東海との対話に委ねられました。
国の有識者会議の中間報告を受けて、4月26日に開催された県地質構造・水資源専門部会でJR東海から「県外流出量と同量を大井川に戻す方策」として、A案、B案の二つの方策が示されました。
<A案>【県地質構造・水資源専門部会JR東海資料より】
<B案>【県地質構造・水資源専門部会JR東海資料より】
どちらの方策もトンネル湧水が県外流出することはそのままで、県外流出量と同量をその他の水で補填するというものであり、中間報告で明らかにされた「トンネル湧水の全量戻し」にはあたらない、あくまでも代替案です。
しかし、重要なことは、大井川の水資源に影響を与えないことでありますので、代替案だからといって全てを否定するのではなく、JR東海の提案について実現性や、できない場合の対応などを県地質構造・水資源専門部会で、十分に確認していきます。
- 大井川利水関係協議会について
流域の関係者が一体となり、中央新幹線建設における大井川水系の水資源の確保等について対応しています。
- 静岡県中央新幹線環境保全連絡会議地質構造・水資源専門部会について
南アルプスにおける中央新幹線トンネル工事が大井川水系の水資源等に及ぼす影響を明らかにするため、検討を行っています。
- 静岡県中央新幹線環境保全連絡会議について
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