学習教材の訪問販売業者に対し、特定商取引法第8条に基づく業務停止命令を実施

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ページID1012980  更新日 2023年1月11日

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次の事業者は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する訪問販売(以下「訪問販売」という。)及び特定商取引に関する法律の一部を改正する法律(平成28年法律第60号)による改正前の法(以下「旧法」という。)第2条第1項に規定する訪問販売を行うに当たり、法第3条、第6条第1項第1号及び第7条第1項第4号並びに同条第5号の規定に基づく特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号。以下「規則」という。)第7条第4号に該当する行為並びに旧法第3条、第6条第1項第1号及び同条第2項並びに第7条第3号並びに同条第4号の規定に基づく特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(平成29年内閣府・経済産業省令第1号)による改正前の規則(以下「旧規則」という。)第7条第1号及び第4号に該当する行為を行ったことから、当該事業者に対し、法第8条第1項及び旧法第8条第1項の規定に基づき、当該事業者の行う業務の一部を停止すべき旨の命令をし、並びに法第7条第1項の規定に基づき、違反行為の検証並びに再発防止策及びコンプライアンス体制の構築について報告するよう指示を行うとともに、法第7条第2項及び第8条第2項の規定に基づき、その旨を公表する。

平成30年12月26日

静岡県知事川勝平太

1事業者の概要

  1. 名称
    レトラコーポレーション合同会社
  2. 所在地
    浜松市中区砂山町326番地の7柳川ビル2階
  3. 業務内容
    学習教材の訪問販売

2不利益処分の内容

  1. 業務停止命令
    平成30年12月27日から平成31年6月26日までの間、訪問販売に係る次の業務を停止すること。
    1. ア同社の行う訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘すること。
    2. イ同社の行う訪問販売に係る売買契約の申込みを受けること。
    3. ウ同社の行う訪問販売に係る売買契約を締結すること。
  2. 指示
    • ア同社は、次の行為を行っていたが、このような行為は法及び旧法により禁止されているので、違反行為の発生原因について、それぞれの違反行為につき調査分析の上検証し、その検証結果について、平成31年1月25日(金曜日)までに、静岡県知事まで文書で報告すること。
      • (ア)法第3条及び旧法第3条に規定する勧誘目的の明示義務に違反する行為
      • (イ)法第6条第1項第1号及び旧法第6条第1項第1号に規定する商品の種類及びその性能若しくは品質その他これらに類するものとして規則第6条の2及び旧規則第6条の2に規定する商品の内容に係る不実告知
      • (ウ)旧法第6条第2項に規定する旧法第6条第1項第1号に規定する商品の内容に係る事項に関し故意に事実を告げない行為
      • (エ)法第7条第1項第4号及び旧法第7条第3号に規定する日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約について勧誘する行為
      • (オ)旧法第7条第4号の規定に基づく旧規則第7条第1号に規定する迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をし、又は当該売買契約の解除について迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げる行為
      • (カ)法第7条第1項第5号の規定に基づく規則第7条第4号及び旧法第7条第4号の規定に基づく旧規則第7条第4号に規定する当該契約に係る書面に年齢、職業その他の事項について虚偽の記載をさせる行為
    • イアの違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、平成31年5月27日(月曜日)までに、静岡県知事まで文書で報告すること。

3処分の根拠となる法令の条項

法第7条第1項及び第8条第1項並びに旧法第8条第1項

4不利益処分の原因となる事実

  1. 同社は、静岡県浜松市中区砂山町326番地の7柳川ビル2階に登記簿上の本店を置き、小学生及び中学生向け学習教材の販売(以下「教材の販売」という。)を主な事業として行っており、同社の従業員が消費者の自宅に架電した上で訪問の約束を取りつけた上で消費者の自宅を訪問し、同所において当該事業に係る売買契約の申込みを受けた上、売買契約を締結している。
    よって、同社が行う事業は法第2条第1項第1号に規定する訪問販売及び旧法第2条第1項第1号に規定する訪問販売に該当すると認められる。
  2. 同社は、教材の販売を行うに当たり、消費者に対し、次の(3)から(5)までに掲げる法及び旧法に違反する行為並びに(6)から(8)までに掲げる法第7条第1項及び旧法第7条に該当する行為を行っていることが認められる。
  3. 同社従業員は、架電により訪問の約束を取りつける際、同社名及び従業員氏名を告げた後「今までの勉強と方法が違います。」「勉強がたいへんな子でもやっていけます。」「子どもさんは塾に通っていたり、家庭教師をつけたりしていますか。」「良い勉強方法があるので、とにかく聞いてください。」「(具体的に記憶していないが何かを)体験していただきたい。」などと告げるのみで、その勧誘に先立って、その相手方に対し、売買契約の締結について勧誘する目的である旨及び当該勧誘に係る商品を明らかにしなかった。
    また、同社従業員は、教材の販売を行うに当たり、同社名及び従業員氏名を告げた後、消費者の家庭状況の質問や同社従業員の身の上話を始める、「勉強の仕方について話をしに来ました。」と告げる、子どもの学習状況の確認をした上、子どもに同席するよう要求する、同席した子に対し学習状況を確認する、又は同席した消費者の子に対し、同社従業員が持参したDVDプレーヤーで教材のDVDを見せ「うちとしては、こういう指導をしています。」などと告げるのみで、その勧誘に先立って、その相手方に対し、売買契約の締結について勧誘する目的である旨及び当該勧誘に係る商品を明らかにしなかった。
    これらは、法第3条及び旧法第3条の規定に違反する行為である。
  4. 同社従業員は、教材の販売を行うに当たり、一連の契約締結書面の一部を構成する「契約明細書」に「本契約は役務の提供は一切ございません。」と記載があるにも関わらず「常に連絡を取って週に何回も来て勉強を見ます。」「お子さんにあったカリキュラムをこちらで組み、別の者がそのカリキュラムにしたがって教えに来ます。」「個別にお宅に訪問して、地区担当者が直接教えることもしている。」「僕がお子さんにあったカリキュラムを組みます。」「DVDを使って進め、分からないところがあれば、電話してくれればいつでも教えに来ます。」などと告げた。
    これらは、法第6条第1項第1号及び旧法第6条第1項第1号の規定に違反する行為である。
  5. 同社従業員は、教材の販売を行うに当たり、次のとおり、契約の内容に係る事実を故意に告げなかった。
    • ア同社従業員は、テキストの科目とDVDの科目が同一であるものと誤認した消費者に対し、英語、国語及び社会のテキスト並びに「SPDVD」と称する英語及び数学のDVDを販売し、この事実を故意に告げなかった。
    • イ同社従業員は、テキストの科目とDVDの科目が同一であるものと誤認した消費者に対し、社会及び英語のテキスト並びに「SPDVD」と称する英語及び数学のDVDを販売し、この事実を故意に告げなかった。
    • ウ同社従業員は、テキストの科目とDVDの科目が同一であるものと誤認した消費者に対し、国語、社会、数学、理科、英語及び実技4教科のテキスト並びに「SPDVD」と称する英語及び数学のDVDを販売し、この事実を故意に告げなかった。
      これらは、旧法第6条第2項の規定に違反する行為である。
  6. 同社従業員は、教材の販売を行うに当たり、次のとおり、正当な理由がないのに通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約を締結した。
    • ア同社従業員は、消費者が特段契約締結の意思表示をしておらず、また、販売する教材の学年に係る説明をしていないにも関わらず「勉強は流れがあって、その教科だけをやるのではなく、1年2年3年と通してやることが大事です。」と告げ、契約締結当時中学2年生であった消費者の子の教材として過去の学年である中学1年分も含めた中学3学年分の教材を販売した。
    • イ同社従業員は、消費者が特段契約締結の意思表示をしておらず、また、販売する教材の学年に係る説明をしていないにも関わらず「とりあえず、このくらいから始めましょうか。」と告げ、契約締結当時中学2年生であった消費者の子の教材として過去の学年である中学1年分も含めた中学3学年分の教材を販売した。
      これらは、法第7条第1項第4号及び旧法第7条第3号に該当する行為である。
  7. 同社従業員は、教材の販売を行うに当たり、次のとおり、消費者に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘した。
    • ア同社従業員は、消費者が契約の締結に関し意思表示をしていないことに乗じ、消費者が「そろそろ時間も遅く、子どもも寝る時間になった。」と告げたにも関わらず、午後7時30分頃から契約書面の作成が終了する午後10時30分頃までのおよそ3時間にわたり勧誘した。
    • イ同社従業員は、およそ2時間にわたり勧誘行為を継続した上、消費者が契約締結を避けるため「金額が高い。うちの人にも相談したい。」と告げると、同社従業員は「相談はなしです。今じゃないとだめです。」と告げるなどの強引な勧誘を行った。
      これらは、旧法第7条第4号の規定に基づく旧規則第7条第1号に該当する行為である。
  8. 同社従業員は、教材の販売を行うに当たり、次のとおり、当該契約に係る書面のうち、税込年収や預貯金について虚偽の記載をさせ又は自ら虚偽の記載をした。
    • ア同社従業員は、信販会社用「クレジットのお申込み内容」書面のうち「税込年収」欄記入の際、「だいたいでいいですよ。」と消費者に告げたが、消費者が記入しないと「このくらいでいいですか。」と告げ、自ら「170」と記入した。
    • イ同社従業員は、信販会社用「クレジットのお申込み内容」書面のうち「税込年収」欄記入の際、消費者が「分からない。」と告げると「150と書くと審査が通りやすい。」と提案し、消費者は言われるがままに「150」と記入した。
    • ウ同社従業員は、信販会社用「クレジットお申込み内容」書面のうち「申込者年収」欄記入の際、消費者が年間50万円程度である旨を告げると「50万円は少なすぎる。100万円くらいにしてください。」と提案し、消費者は不実を記入することにたいへんな抵抗があったが、同社従業員からの指示だったので言われるがままに「100」と記入した。
    • エ同社従業員は、信販会社用「クレジットお申込み内容」書面のうち「預貯金」欄記入の際、消費者が「預貯金はないですけど。」と告げると「200くらいに書いておいてください。」と提案し、消費者は指示どおり「200」と記入した。
      これらは、法第7条第1項第5号の規定に基づく規則第7条第4号及び旧法第7条第4号の規定に基づく旧規則第7条第4号に該当する行為である。

5主な取引の手口

消費者宅に架電し、訪問の約束を取り付け、営業員が消費者宅において教材の説明を行い、売買契約を締結する。

架電時及び訪問時の際は、勧誘に先立ち、消費者に対し売買契約の締結について勧誘する目的である旨及び当該勧誘に係る商品を明らかにしない。

教材を説明する際は、長時間にわたる説明を継続しながら、説明を役務の提供がないにもかかわらず、あたかも役務の提供があるかのような不実を告げ、また、消費者の認識と異なる商品を販売しながら、その事実を故意に告げない等して消費者を錯誤に陥れるなどして、売買契約を締結し、また、強引に契約締結を迫る。

また、契約の締結に際しては、消費者にとって不必要である学年の教材を過量に販売し、また、割賦販売契約が成立しやすいよう、年収や預貯金額について虚偽の記載をするようそそのかし、実際に記入させる又は営業員自らが記入する。

6取引事例等

  1. 平成29年7月から8月にかけて、県内在住のA宅に頻繁に電話があり、女の声で「今までの勉強と方法が違います。20分で済むので1回だけ話をきいてください。」と告げた。この時、電話の相手は学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    Aは、20分くらい話を聞くだけという条件でやむを得ず訪問することを承諾した。
    同年8月の午後7時30分頃、同社従業員ZがA宅を訪問した。
    Zは、会社名を告げた上名刺を差し出した後、学習教材の話はせずに、Aの家庭状況を聞きだすと、Zの身の上話を始め、学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    Zは、よい学習方法がある旨を延々と説明した上、一連の契約締結書面の一部を構成する「契約明細書」に「本契約は役務の提供は一切ございません。」と記載があるにも関わらず「常に連絡を取って週に何回も来て勉強を見る。」と不実を告げた。
    Aは、Zが学習教材の販売を勧誘する目的で訪問していることも認識していなかったので、Zの説明を早く切上げてもらおうと、午後10時を過ぎた頃「そろそろ時間も遅く、子どもも寝る時間になった。」と言うと、Zは急に学習教材販売の勧誘を始めた。
    Zは、Aが契約締結の意思表示を示していないにも関わらず、詳しい説明が何もないまま、勝手に契約書に契約内容の記載を始めた結果、Aは英語、国語及び社会のテキストに加え、「SPDVD」と称するDVDセットの契約をせざるを得なくなった。この「SPDVD」と称するDVDセットの科目について、Aはテキストと同一の科目であるものと誤認していたが、実際には英語及び数学のDVDであり、Zは、この事実をAに故意に告げなかった。
    また、信販会社の「クレジットのお申込内容」書面のうち「税込年収」欄の記載に際して、Zは「だいたいでいいですよ。」とAに告げたが、Aが記入しないと、Zは「このくらいでいいですか。」とAに告げ、Zがクレジット申込書に「170」万円と記入した。
    これら一連のやり取りが終了したのは、ZがA宅を訪れた午後7時30分から3時間を経過した午後10時30分頃であった。
    契約を締結して数日後、A宅に教材が到着したが、Zからは教材の説明員である同社従業員Yの訪問があるまで開封しないように告げられていたため、そのままにしていたところ、契約を締結して2週間程度経過した日の午後7時30分頃、YがA宅を訪問した。
    Yは、教材を開封すると「この教材はDVDがセットになって初めて教えることができるのです。」とAに告げ、国語及び社会のDVDと数学のテキストを追加購入をするよう勧誘を始めた。当初Aは、Zが故意にAの購入したDVDの教科を告げなかったため、Yが何を告げているのか判然としなかったが、説明を聞くうち、Aが購入したDVDは数学と英語のDVDであり、併せて購入した国語及び社会のテキストとはかみ合わない組合せとなっていることが判明した。
    契約締結から2か月後、Aは消費生活センターに相談し、解約に至った。
  2. 平成29年9月、県内在住のB宅に教材販売の勧誘のため、B宅を訪問へのお願いする電話があり、Bは承諾した。
    同年同月の午後2時頃、同社従業員XがB宅を訪問した。
    Xは、会社名を告げた上名刺を差し出した後、学習教材の話はせずに、「勉強の仕方について話をしにきました。」と告げ、学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    Bは、小学生の子どもの学習方法に興味があったため訪問を承諾したが、中学生の子どももいることをうっかり口にしたところ、Xの話題は中学生の学習の事項に移行し、自分の身の上話を交えながら、中学生の学習教材の勧誘が始まった。
    Xは、一連の契約締結書面の一部を構成する「契約明細書」に「本契約は役務の提供は一切ございません。」と記載があるにも関わらず「お子さんにあったカリキュラムをこちらで組み、別の者がそのカリキュラムにしたがって教えに来ます。」などとBに不実を告げたため、Bは、教材の売り切りではなく、子どもの勉強の面倒を見てくれるならとてもよい契約であると考えたが、Xは、Bが特段契約締結の意思表示をしておらず、また、販売する教材の学年に係る説明をしていないにも関わらず、一連の契約締結書面を記載し始め「勉強は流れがあって、その教科だけをやるのではなく、1年2年3年と通してやることが大事です。」などと告げ、契約締結当時中学2年生であったBの子の教材として過去の学年である中学1年も含めた中学3学年分の教材を販売した。
    また、Xが「契約明細書」に購入のためのチェックを記入した教科及び教材は、社会及び英語のテキストに加え、「SPDVD」と称するDVDセットであり、Bは「SPDVD」と称するDVDセットの科目について、テキストと同一の科目であるものと誤認していたが、実際には英語及び数学のDVDであり、Xは、この事実をBに故意に告げなかった。
    Bは、教材の購入契約を締結することを一旦は決意したものの、既に訪問時から2時間近くが経過し、勧誘に迷惑を感じていたことや、金額が高額なこともあり「金額が高い。うちの人にも相談したい。」とXに告げると、Xは「相談はなしです。今日じゃないとだめです。」とBに告げるなどの強引な勧誘を行い、結果的にBは契約をせざるを得なくなった。
    Bは、2時間近くの勧誘や強引な契約締結手法に不満の意思を示すため、Xの勧誘行為や言動について違法行為があったかについてチェックする「重要事項説明及び確認書」書面の記入のうち「迷惑と思えるような長時間の勧誘、強引な勧誘はありませんでしたか。」の項目について「いいえ」にチェックすると、Xはすぐに「いいえ」にチェックしたことを指摘し、「はい」にチェックを変更させられた。
    また、信販会社用「クレジットのお申込内容」書面のうち、「税込年収」欄の記載に際しては、Bが「分からない。」とXに告げると、Xは「150と書くと審査が通りやすい。」とBに提案し、Bは言われるがままに「150」万円と記入した。
    教材は契約を締結してから数日後に到着した。Xからは教材が到着する頃に担当者から連絡がある旨告げられていたが連絡がないため、教材到着から数日後、Bが事業者に架電すると、折返しで同社従業員Wから電話があった。
    このとき、Bは既に到着した教材を開封し、Bが認識していた社会及び英語のDVDではなく、英語及び数学のDVDが到着していたためその旨をWに告げると、Wは「うんうん、よかったですね。数学のDVDが入っている訳ですから数学も勉強できるということですよ。」などと告げたため、BはテキストとDVDの内容をちぐはぐにして販売することに納得がいかなかった。
    平成29年10月、Bは消費生活センターに相談し、解約に至った。
  3. 平成29年9月中旬、県内在住のC宅に電話があり、女の声で「勉強がたいへんな子でもやっていけます。」と告げた。この時、電話の相手は学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかったが、Cはその内容から、家庭教師や学習教材の勧誘の電話ではないかと思ったので、Cは、話を聞く旨を回答し、訪問を承諾した。
    同年同月の午前中、同社従業員VがC宅を訪問した。
    Vは、名刺を差し出した後、改めて訪問した理由は告げず、Vの身の上話を始め、学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    その後、Vは、色刷りされた学習教材を広げて見せるなどしたため、Vからは学習教材の販売を明示する発言はなかったが、Cはこの学習教材がよいものだと考えた上、Vの説明ではテキストと共にDVDも付属しているとのことであったため、Cはこの教材セットなら子どもも勉強してくれるのではないかと思った。
    Cは、Vに直接子どもに対して説明するよう依頼し、Vは同日の午後4時過ぎ、再度C宅を訪れ、Cの子に対して教材セットの説明をした。
    説明終了後、Cが子どもにやる気を確認すると、悪くない感じであったため、Cは契約をしてもよいのではないかと考えるに至った。
    契約する教科については、Cからは特段教科や教材の希望は告げなかったが、高校受験に必要な5教科テキスト3学年分セット、実技4教科及び「SPDVD」と称するDVDを購入することとなったことが契約明細書で確認でき、同日、その内容で契約を締結したが、その際、Vは、「SPDVD」と称するDVDの教科が英語及び数学であることをCに故意に告げなかった。
    Cは、到着した教材を、Cの子と共に開封し内容を確認したが、DVDについては数学と英語のDVDが1枚ずつ入っているだけであった。
    Cは、契約に3学年9教科分のDVDが含まれていると誤認していたため、同社に確認の架電をした。ところが、電話に出た女からは「配達されたDVDは契約された内容のDVDです。」との返答であったため、Cが一連の契約締結書面の一部を構成する「契約確認書」を再度確認してみると、確かにDVDの種類が記入してあり、数学と英語となっていたが、この内容について、契約締結時にVから、何の説明もなかった。
    Cは、本契約に3学年9教科分のDVDが付属していることを重視していたため、その場で契約を解除しようと思い、電話に出た女に「止めます。」とはっきり契約解除の意思表示をした上、クーリング・オフ通知を郵送し、消費生活センターにも相談した。
  4. 平成30年1月の午後8時頃、県内在住のD宅に電話があり、女の声で「子どもさんは塾に通っていたり、家庭教師をつけたりしていますか。」と告げた。この時、電話の相手は学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    女は、「教科書のポイントを効率的に集めて学習するシステムがある。」などと告げたたため、Dは中学生になる子ども二人の学習に不安を感じていたため、訪問を承諾し、夜勤の都合もあるため、Dが訪問日時を指定した。
    同年同月の午後8時頃、同社従業員UがD宅を訪問した。
    Uは、社名及び氏名を告げたが、学習教材の話はせず「お子さんの成績はどうですか。」などと告げるのみで、学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    Uは、Dの子どもをその場に呼ぶように指示し、その場に来たDの二人の子どものうちの一人に、一連の契約締結書面の一部を構成する「契約明細書」には「本契約は役務の提供は一切ございません。」と記載があるにも関わらず「個別にお宅に訪問して地区担当が直接教えることもしている。」などの不実を告げた。
    Dは、この日に契約するつもりはなかったが、子どもが学習内容について分からないときには、地区担当の方に頼んで教えてもらえると誤認した部分等に魅力を感じ、契約を締結することとした。
    Dは、一旦は契約を締結したものの、後日、契約に至るまでの一連の過程を思い返すと、Dが契約を締結したのは、Uの説明を聞くのが面倒で半ば投げやりになっていた部分があり、また、Uの言動に対する不審点も想起されたため、Dはクーリング・オフによる契約解除を決意し、消費生活センターに相談した上で契約解除書面を作成し、通知を投函した。
  5. 平成29年12月から3月にかけて、県内在住のE宅に頻繁に電話があり、女の声で「子どもの学習のことで話があるので話を聞いてください。」といった内容を告げた。この時、電話の相手は学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    平成30年3月、Eは同社従業員の電話に出て「良い勉強方法があるので、とにかく聞いてください」と以前と同様の内容を告げられたが、この時は、子どもの勉強が気がかりになりだしていたこともあり、自宅以外の場所を指定して、話を聞くことを承諾した。
    同年同月の午後5時頃、Eは、Eの判断で子どもと共に指定場所に到着すると、同社従業員Tは既に到着しており、会社名を告げた上で名刺を出して挨拶をしたが、Eの子どもに「勉強は好きですか。勉強やってますか。」と告げるのみで、学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    その後、E及びEの子どもに向けて、一連の契約締結書面の一部を構成する「契約明細書」には「本契約は役務の提供は一切ございません。」と記載があるにも関わらず「僕がお子さんにあったカリキュラムを組む。」と不実を告げた。
    Eは、Tがカリキュラムを組んで教えてくれること等が気に入り契約の締結を決意し、Tにその旨を告げた。
    「契約明細書」及び「契約確認書」記入の後、信販会社用「クレジットお申込内容」書面を記入することとなったが、Eが、パート収入が年間50万円程度であることを告げると、Tは「50万円は少なすぎる。100万円くらいにしてください。」と指示し、Eは抵抗感があったものの、「申込者税込年収」欄に「100」万円と記入した。
    Eは契約締結後、契約をしたことに対して不安になり、Eの親族に相談した結果、契約したことを後悔し、契約を解除する決心をした。
    結局、Eはクーリング・オフ期間中に消費生活センターを訪れ、契約解除通知の記載方法を確認した上、契約解除通知をハガキで通知した。
  6. 平成30年1月の夕方、県内在住のF宅に電話があり、詳しくは覚えてないが、女の声で、「体験していただきたい。」旨を告げられた。この時、電話の相手は学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    Fはその電話を、家庭教師のようなものの体験と感じ、Fの子に同意を得た上、体験を受けることとした。
    同年同月の午後2時頃、同社従業員SがF宅を訪問した。
    Sは会社名と氏名は名乗ったが、学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかった。
    Sは、Fの子どもも同席させて話を聞くこととし、Fの子どもに対し、DVDを見せたり質問に答えさせたりしながら「うちとしては、こういう指導をしています。」と告げるのみであり、引き続いて学習教材の販売を勧誘することが目的であることを告げなかったが、Fの子どもはその指導方法に興味を示した。
    そして、次第に教材の話になり、Sは、一連の契約締結書面の一部を構成する「契約明細書」には「本契約は役務の提供は一切ございません。」と記載があるにも関わらず「DVDを使って進め、分からないところがあれば、電話してくれればいつでも教えに来ます。」とFに不実を告げた。
    告げられた不実を信用したFは、ようやく家庭教師ではなく電話をしないと教えに来ないことが分かったが、家庭教師とはいかないまでも、電話をすればいつでも定期的に教えに来てくれるという点を重視して、契約を締結する決心をした。
    Sは、Fが特段契約締結の意思表示をしておらず、また、販売する教材の学年に係る説明をしていないにも関わらず「とりあえず、このくらいから始めましょうか。」と告げた上、「契約明細書」の記入を始め、契約締結当時中学2年生であった消費者の子の教材として過去の学年である中学1年も含めた中学3学年分の教材を販売した。
    次に信販会社用「クレジットお申込内容」書面の記入となったが、Fは預貯金がなかったので、Sに対し「貯金はないですけど。」と告げたところ、Sは「200くらいに書いておいてください。」とFにつげ、Fは指示どおり、預貯金欄に「200」万円と記入した。
    Fは、契約終了後、教材の購入が正しかったのか逡巡を繰り返していたが、最終的に契約の解除を決心し、消費生活センターに出向き、クーリング・オフに関する助言を得て、契約解除通知を作成し、同社及び信販会社に契約解除通知のハガキを投函した。

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