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更新日:令和2年5月13日

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難波副知事コラム

第90回『新型コロナ対策の出口戦略は地域の実情によって大きく異なる(その1)』

(2020年5月13日再修正版)

 

静岡県は、新型コロナウイルス感染症対策として、5月5日、休業要請の継続・一部緩和などの行動制限を含む「緊急事態措置に係る静岡県実施方針」を発表しました。すでに長期間にわたり、県民の皆様には、厳しい休業要請や行動制限、行動変容などをお願いし、実行いただいています。また医療従事者の皆様の献身的なご尽力により、命が守られ、医療提供体制も維持されています。その他の社会を支えるサービスを継続していただいている皆様など、全員参加のご尽力に感謝申し上げます。

新型コロナに関する県の情報発信は、休業要請の延長など、「何を行うか」の発信が中心になってしまい、「なぜそれを行うべきか」の説明が十分にできていないことをお詫びいたします。

この点で、5月7日に、県から各市町に発出した「方針の考え方及び現在想定している休業要請の解除等に向けた行程」という文書は参考になると思いますので、添付しました。ご一読いただければと思います。

5月15日までに、新たな実施方針を出す予定ですが、それを考えるにあたって考慮すべきことについて、頭の整理をしてみました。皆様の疑問に対するお答えの一助にもなると思いますので、コラムにしてみました。

 

1.静岡の新型コロナ対策を考える上での地理的特性、地域の実情

現在の日本の感染のまん延状況を見ると、次の3つの地域に分けられます。

  1. 感染者数が多い都道府県
  2. 感染者数が少なく、かつ、aの地域からの人の移動を比較的制限しやすい県
  3. 感染者数は少ないが、aの地域と隣接・近接するなどの理由で、aの地域からの人の日常的な移動が多い地域

新型コロナ対策は、地域の実情を踏まえ、決める必要があります。よく、海外と日本の取り組みを比較する論調を見かけますが、そこで言う日本とは東京、大阪などです。静岡は静岡の地域の実情に応じた対策を取ることが必要です。それでは、静岡の実情はどうでしょうか。

  • 静岡県は、東京などに比べて、総感染者数、人口一人あたりの感染者数ともに少ない(PCR検査の陽性率が低いこと、感染経路が特定できることも重要ですが、これは後述します)。よって、県内在住者間の接触による感染の確率は東京などに比べて小さい。
  • 静岡県は、東京、神奈川、愛知など、感染者の多い地域に隣接、近接しており、それらの地域からの交通の便もよいので、県境を越えた人の移動により、県外の方から感染するおそれがある。
  • よって、対策を考えるにあたっては、「県内の感染のまん延状況」と「周辺の都県の感染のまん延状況と行動制限」の両方を考慮に入れる必要がある。

言い換えると、静岡の感染者数が少ないからと言って、安易に行動制限を緩和できず、常にaの感染者が多い都道府県の状況を注視しておく必要があります。(東京で飲食店の夜の営業に制限が加えられ、静岡市の飲食店には休業要請がされていない時期がありました。距離的には東京から離れていると思われる静岡市の飲食店に、東京からと思われる訪問者が見られました。県内の飲食店では、不安なので、休業要請はないが自主的に店を閉めた方も多数おられました)。

なお、「静岡県は、方針を決める時期が他の都道府県に比べて遅い」という声をお聞きします。これは、自県の状況だけで対策を決めることができず、常に感染者数が多い隣県・近県の行動制限の内容を見てから、自県の行動制限を考える必要があるからです。他県の内容が分かり次第、即時に方針を決定しています。

 

2.静岡の感染状況、医療提供体制の状況

 

添付図は、静岡の感染状況を俯瞰するために参考になると思います。総括すると、

 

  • 感染者総数は73名。5月2日以降は、新規感染者数(正確にはPCR検査によって新規に判明した感染者数)はゼロ。PCR検査の陽性率が極めて低いことから、県内で見えない感染者が多数いる状況にはない。
  • 現在の入院感染患者数(入院―退院)は、15名(5月12日現在)で、減少傾向にある。確保病床数は200床あり、逼迫状況にはない(ただし、集団感染の発生の恐れはあり余裕があるとは言えない)。

3.新型コロナウイルス感染症対策の難しさ

新型コロナウイルス感染症対策の難しさは、感染している人(感染力のある人)の中に、無症状や軽症の人が多くいることです。このため自分が感染していることを知らず、そして近くにいる人が感染しているとは知らず分からず、双方知らず知らずのまま感染の連鎖が起きることです。

そして、東京などPCR検査数に限界があったところでは、感染者(PCR検査の陽性者)の存在・数を十分には把握できていません。静岡では、高い確率で感染者を把握できていると推定されます。しかし、それでも100%ということはあり得ません。

「感染力がある無症状の人がいる」ことを前提に対策を考える必要があります。

 

4.いわゆる出口(日常生活を取り戻せる状態)とは・・・「収束の出口」と「終息の出口」

 

静岡県の方々の、行動制限への対応や行動変容の実行、医療現場の献身的なご努力が、現在の感染拡大が抑えられた状況につながっています。しかし、いつまで、この行動制限を続ける必要があるのか、出口はいつか、と思っておられると思います。出口を考えてみたいと思います。二つの出口を考える必要があります。

 

a.終息の出口

ワクチンの開発・普及、又は集団免疫によって、社会全体で(その地域の多くの人に)ウイルスに対する免疫力ができ、ウイルスに接しても、ほとんどの人は感染に至らない、あるいは免疫のない少数者が感染しても感染の連鎖は起きず感染拡大しない状態になる、という出口です。(治療の特効薬が開発・普及していれば、なお安心です。)

 

b.収束の出口

新規感染者数が少なく、潜在的な感染者(感染していても感染が判明していない人)も少なく、日常行動に気をつければ感染の拡大を防ぐことができる状態になる、という出口です。施設などの営業は感染症対策を取りつつ通常どおり行われており、個人も感染に気をつけた行動をとれば、本人が感染する可能性は小さい状態です。

 

ワクチンの開発が急がれていますが、時間がかかります。そこで、aの終息の出口までには時間がかかります。まず、bの収束の出口に早く着く必要があります。

 

5.新型コロナウイルス対策についてのいくつかの疑問

ここで、いくつかの疑問を考えてみます。

 

(1)集団免疫の道筋は取りえるか・・・結論:静岡には適さない

 

ある感染者が、他の人にうつさない状態(感染力を失う状態)にまで回復するまでの間、一人以上にうつさなければ、やがて感染者数は減っていきます。うつす人の数が小さくなればなるほど、急速に新規感染者数は減っていきます。

「基本再生産数」や「実効再生産数」という言葉が使われますが、わかりにくいですね。実効の方だけ考えてみます。3密を避けるなど人が対策をとったときに、一人の人が何人にうつすかというのが、実効再生産数です。これを下げる、下がるためには、二つの方法があります。一つは接触を避け、うつす・うつされないようにすること(接触機会の低減)です。もう一つは、免疫をもった人(ウイルスに接しても感染しない人)が増え、接触しても感染者が増えないようになることです。集団免疫というのは、この免疫を持った人が多い状態です。仮に、一人の人が他の一人にうつす状態(実効再生産数=1)だったとしても、免疫を持った人が集団の中に半分いれば、実際には0.5人しか感染しなくなります。

それでは、感染者から回復する人が増える形での集団免疫の方法は、静岡でとれるでしょうか。答えは、現時点の静岡の感染状況からすると「とるべきではない」です。その理由は、後に述べます。

 

(2)静岡の感染状況の実態は?PCR検査数が少ないので、潜在的な感染者数が多いのでは?抗体検査もするべきでは?

 

結論から言えば、現在の静岡では、潜在的な感染者(PCR検査をすると陽性になるのに、検査をしていない・できないので、感染に気づかないでいる人)は少ないと推定されます。

このことは、感染者の感染経路がどうなっているかということと、PCR検査の陽性率が関係します。

まず、感染経路では、静岡県内では、県内にいて日常生活の中で誰から感染したかわからず感染した人(感染経路不明者)は未だ11名です。県内感染者(5月12日時点の感染者、正確には感染判明者は73名)のほとんどが、県外の人と濃厚接触したことから始まる感染です。結果から見て、県内在住者からだけに起因する感染は少ないと言えます。(県外の人との接触で感染した人が、家庭内や職場内、施設内で他者にうつす場合がほとんどです)

もう一つは、PCR検査の陽性率です。現在は、発熱などの一定の症状が出て感染の疑いがあるとして、相談センター等に相談し、PCR検査を受けます。静岡では、この結果はほとんどが陰性です。(感染者と濃厚接触し陽性だった人は、感染経路が特定できていますので、この人たちはこの陽性率の計算から除外します)

ということは、症状に疑いがあって相談の結果PCR検査を受けた人のほとんどが陰性ですから、症状のない人がPCR検査を受けた場合は、ほぼすべてが陰性となると推定されます。

PCR検査数を増やせば、陽性者がどんどん出てくるのではないか、と言われますが、それは東京のような、感染者が多いところ、そして、感染経路不明の感染者が多く、その割合が高い(東京では50%以上)ところの話しです。

静岡では、濃厚接触者や、保健所や医師がPCR検査を実施した方がよいと判断した人のPCR検査は、本人が拒否しない限り全数行われています(石田純一さんが感染していて、濃厚接触者の東尾理子さんがPCR検査をしてもらえないというような状況は静岡ではありません)。「本当はもっと感染がまん延していて、PCR検査をすれば陽性者数が増え、それがわかってしまうため、意図的にPCR検査数を減らしている」という声があります。それは少なくとも静岡には当てはまりません。

静岡県では、これまで感染が判明した人は少なく、隠れ感染者も極めて少ないと推測されます。したがって、県内在住者どうしの接触であれば、感染する確率は低いと言えます。このことは、静岡の大きな優位点と言えます。

 

(3)静岡で集団免疫を獲得することは可能か?

 

ワクチンによる免疫の獲得ではなく、感染からの回復により免疫を獲得するためには、その人が感染することが前提です。感染すると一定の割合(致死率=死亡者数÷感染者数)で死亡者がでます。日本では、新型コロナの致死率は2~3%程度ですので(注1)、多くの人が感染して集団免疫を獲得することと引き換えに、とんでもない人数の死亡者が出ることになります(注2)。また、医療提供体制は崩壊します。これによって、新型コロナ以外の疾病の治療もできなくなり、さらに大きな不幸を招くことになります。

このことから、「感染からの回復者が増えることによる集団免疫の獲得」という方策は、死亡者を出さない治療薬(特効薬)が使用可能となるまでは、「とってはいけない方策」と言えます。多くの人が免疫を獲得するためには、ワクチンの開発・普及を待つ必要があります。

(注1)東京等では陽性者が十分に把握できていないため、この死亡率は参考値に過ぎない。

(注2)推定条件の設定により推定死亡者数は異なる。静岡県では364万人×0.02=約7万人よりも少ない値であるが、少なくとも数万人の死亡者が出る。

 

(4)行動制限を緩めると、感染が一気に拡大するおそれがあるのではないか。休業要請の緩和は早すぎるのではないか?

 

県内在住者間の接触による感染の可能性は比較的低いと言えます。一方、東京等の感染の収束は先になると予想されることから、県外からのウイルスの持ち込みへの対策は中長期戦・持久戦になります。この中で、休業要請や厳しい行動制限を長く続けると、経済、生活への影響が限界に達します。これは別の社会問題を発生させます。よって、感染拡大の防止と社会経済の安定のバランスを考える必要があります。静岡では、ウイルスは広くまん延はしていないが確実に存在することを前提に、感染拡大防止に注意しつつ、経済社会活動を段階的に再開し、新たな日常を実現する必要があります。

5月5日の実施方針で、第一段階の措置を5月17日までとし、休業要請の継続・一部緩和を決定しました。また、5月18日からの方針は、5月13日頃(遅くとも5月15日までに)決定するとしました。これは、先に述べたようにその時々の「県内感染状況」と「近隣県の感染状況と行動制限」を注視しながら、段階的に考える必要があるからです。

ある日の新規感染者の確認数は、その日から14日程度前の人の動きによる感染(注)を反映しているとされています。

静岡県及び全国において、大型連休を感染拡大防止の正念場と位置付け、本県では、4月25日(土曜日)から休業要請などの厳しい行動制限を実施しました。これによって、携帯電話会社の分析データが示すように、それ以前に比べ、県内においても人出が大幅に縮減されました。

これらの人出縮減効果が、新規感染者数として現れるのは、2週間後の5月9日頃からです。5月13日頃となれば、4月25日からの厳しい行動制限の結果が、新規感染者数データとして現れてきます。

このデータを踏まえて、感染症の専門家等による感染のまん延状況についての助言を得て、次の期間(第2段階)の、県としての措置を検討することが合理的です。

(注)感染後発症まで7日程度、発症後PCR検査陽性確認までさらに7日程度、合計で最長14日程度かかるため。

 

次回コラムに続く

 

【実施方針の考え方(令和2年5月7日付け各市町危機管理担当部長宛て)】
下記画像をクリックすると別画面でPDFが開きます。

(PDF:104KB)

 

 

コラムバックナンバー(第1回~第60回)

 

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