県営畑地帯総合整備事業の概要
事業の概要
畑地かんがいは、大井川上流の長島ダム(国土交通省直轄特定多目的ダム)を水源とし、中部電力川口発電所に隣接設置した取水口(大井川広域水道用水供給事業と共同)から農業用水として最大毎秒3.045立方メートルを取水し、導水路を経て牧之
原揚水機場で揚水し、金谷吐水槽から受益地内に樹枝状に施工された管水路約86キロメートルにより送水されています(国営牧之原農業水利事業)。
国営事業の分水工から下流の整備は県営畑地帯総合整備事業で実施し、約5,000ヘクタールの茶園地帯に多目的かんがいを実施するため、ステージ工法(段階的施工)により整備します。併せて、農道・排水路延長、区画整理、農地造成、農地保全の各工種も総合的に整備することにより、持続的な農業生産構造を構築し、豊かな農作物を安定供給できるようにしています。
計画概要
地区名:牧之原掛川、牧之原金谷、牧之原相良、牧之原御前崎、牧之原小笠、牧之原浜岡、牧之原島田、牧之原榛原、牧之原菊川、牧之原朝比奈、牧之原仁田、牧之原勝間田、牧之原片浜、牧之原鬼女新田、牧之原切山、牧之原坂部
関係市町:島田市、掛川市、御前崎市、菊川市、牧之原市
受益面積:5,351ヘクタール(全体)
受益者数:9,193名
畑地かんがい
牧之原は、130有余の歴史を持つ茶産地ですが、水利に恵まれず、天水や野渓の流水を利用し、かろうじて防除用水のみ確保している状態でした。このため、一旦干ばつが続くと幼木の枯死や、成木園での減収、品質低下が余儀なくされていました。
このため、畑地かんがいに加え、茶の生産に欠かせない病害虫防除、施肥、凍霜害防止に大井川の水が利用できる施設を整備し、品質の向上等による農業経営の安定を図っています。
農道
生産物は、東名高速道路の牧之原インター、吉田インター、菊川インターを利用して、京浜、中京、阪神地域まで出荷されていますが、地区内の農道は未整備で、出荷ルートは完備されておらず、圏内道路に至っては開墾当時もままの耕作道であり、生葉の運搬、生産資材の搬入は人力に頼らざるを得ない状態でした。
このため、幹線・支線農道の整備を実施し、運搬時間の短縮等による生産性の向上を図りました。
排水路
本地域は、台地上で比較的平坦ですが、排水路が未整備のため、一部で湛水被害及び湿害を生じており、茶の品質の低下を来たしていました。
このため、排水路の整備を実施し品質の向上を図っています。
区画整理
古くからの茶園には、道路に接していないものもあり、形もいびつなものが多いため、農作業の効率が悪く、機械化の妨げにもなってきました。
そのため、畑の形を整形し、適切な道路の配置を行うことで、農業生産性の向上を図り、ひいては経営規模拡大の条件を整えています。
農地造成
本地域の大半が農地として開墾されていますが、残された適地を選定し、農地造成を行い、経営規模の拡大の条件を整えています。
農地保全
掛川市を中心に分布する第3紀層群は、全体的に風化が進み、土砂崩壊が発生しています。
このため、土砂崩壊の危険性の高い法面に擁壁工を実施することで農地を保全し、経営基盤の安定を図っています。