<地域資源活用関連>「その日を精一杯生きる。自然に感謝する。」人間にとって一番必要なものとは何かを追って、この地域でしか作れない最高の塩作りに励む NPO法人戸田塩の会
- 所在地
- 〒410-3402 沼津市戸田3705-4
- 代表者
- 理事長 菰田智恵
- 電話
- 0558-94-5138
- ファクス
- 0558-94-5138
- 設立
- 平成13年2月28日(活動開始 平成7年)
- 事業内容
- 駿河湾の黒潮から汲み上げた海水を使った塩、添加物ゼロの手作り自然海塩 戸田塩(商標登録済)、その他オリジナル商品等
塩づくりでむらおこし
沼津市戸田地区(旧戸田村)では、漁業の衰退に伴い、過疎化・高齢化の課題を抱え、地域から活気が失われつつあった。
平成7年、地元で主婦をしていた菰田智恵氏は、この状況を肌で感じ、「何とかしたい!」との強い思いで動き出した。「長く継続していけるむらづくりのために、人間にとって最も必要なものを作りたい。」と思いを馳せていく中、ある古文書で、約1500年前にこの地で作られた塩が天皇の病気を治療するために献上されていたことを知った。「これだ!」と思い立った菰田氏は、地元の仲間たちと共に、「この塩を再現することで、むらおこしをしよう。」と活動を開始。平成13年、地域貢献を軸とした、「NPO法人戸田塩の会」を設立した。
NPO法人戸田塩の会理事長の菰田智恵氏。前職を尋ねると「普通の主婦よ。だから皆にもできるのよ。」と言う。家族の健康を支えていた主婦の経験が今の活動にも生かされている。
本物の塩を作る!
昔の塩の製法は書物に残されていなかったため、復元には苦労が多かった。それでも、「誰にも負けない本物の塩を作りたい。」という熱い思いで、何度も試行錯誤を重ね、4年の歳月を経て本物の塩作りの製法を確立させた。その品質は、勉強のため訪れた塩作りの本場フランス・グランドでも、職人たちに高く評価された。
やがて、同会が作る戸田塩は口コミで広まり、県内外の料理店だけでなく、個人からの注文も増えていった。
そして、平成20年にはその活動が評価され、農林水産省の「豊かなむらづくり大臣賞」を受賞し、その信頼を確実なものにしていく。
10年前、都内の百貨店で催事をした際に購入した方が、「この塩が美味しくてずっと探して、10年かけてやっとここを見つけた。」と戸田まで買いに訪れてくれた。その時のことを「本当に嬉しかった」と語る菰田氏。その声が菰田氏やスタッフの活力となっている。
ビジネスとして継承されていく
今でこそ、塩作りに限らず、海水の汲み上げや薪の調達も地元の人に依頼し、地域の雇用を生んでいる同会だが、当初はボランティアとして活動していた。法人化に伴い、わずかながら時間給を支給できるようになったことで、スタッフの意識に変化が生じ、休む人が少なくなった。菰田氏は、「有償だからこそ励みとなり、継続して頑張れる。」と言う。
また、地域内外の企業とビジネスマッチングし、お互いの商材をかけ合わせることで、品質を高めると共に知名度の向上を図っている。
さらに、「塩作り」そのものを体験プログラム化することで、観光客や林間学校の生徒等、地域外からの来訪者を受け入れ、「戸田塩」や地域の魅力の周知に努めている。
地元の小学校では、年1回塩作りの体験を授業の一環として行っている。子供たちが地域に興味関心を抱き、地域資源がもつ魅力を小さい頃から肌で感じることができるからだ。また、子供たちが体験したことを家族に話すことで、より多くの住民が地域の魅力を再発見することにつながっている。
品質の高い塩づくりのため、海の保全活動にも取り組む同会の活動は、地域の人々や歴史、環境等の地域資源を最大限に活用し、住民が地域を誇りに思う心を養いながら、次世代にも継承されていくだろう。
塩作りに使うのは黒潮が流れる駿河湾の海水である。海面15m程下の海水を会員である地元の漁師らが汲み上げ、それを地元の女性たちが薪釜で約13時間煮詰め、水分を飛ばしながら少しずつ手間暇をかけて作っている。
ここが、ポイント!
- 現状
- 塩づくりによって新たな地域ブランドと雇用の創出を図り、地域の活性化につなげている。
- 現状の課題
- 定期的な収入源の確保、次世代のリーダーをどう取り込んでいくのか。
- 未来
- 塩づくりが地域の新たな産業のひとつとなり、住民が地域に誇りをもち、生き生きと生活していく。
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- コミュニティビジネスの推進
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