令和7年6月定例会意見書(令和7年7月7日可決)

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページID1074631  更新日 2025年7月8日

印刷大きな文字で印刷

米国による追加関税措置への対策を求める意見書

本文

 米国政府は、自国産業の保護を目的として、世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する疑義がある追加関税措置(以下「追加関税措置」という。)を段階的に講じており、日本を含む多くの国の産業や貿易活動に多大な影響を及ぼしている。
 令和7年4月に一般財団法人静岡経済研究所が県内製造業者に対して実施したアンケート調査によると、「追加関税措置によりマイナスの影響がある」と回答した事業者が過半数を超えており、業界内における不安も高まっている。
 また、本県は「ものづくり県」として全国屈指の製造業集積地であり、中でも自動車や自動二輪車等の輸送用機械は製造品出荷額等の約25%を占めているが、これらの産業は米国市場への輸出依存度が高いことから、追加関税措置による今後の更なる業績悪化が懸念されている。
 特に、中小企業においては価格競争力の低下や取引先の変更、物流の混乱等が生じ、地域経済の安定と成長が妨げられるおそれがある。
 よって国においては、米国による追加関税措置対策として、下記の事項に取り組むよう強く要望する。

  1. 米国政府に対しWTOルールを尊重した建設的な交渉を行い、追加関税措置の撤廃又は軽減を強く求めること。
  2. 企業に対して追加関税措置による影響の実態調査を実施し、金融支援、販路開拓支援、税制上の配慮等の適切な措置を早急に講じること。
  3. 地域を支える中小企業の経営維持や地域経済の持続的な発展のため、外需依存から内需志向への転換や新興市場の開拓支援を強化すること。
  4. 追加関税措置の動向を的確に把握し、関連情報を速やかに地方自治体及び関連企業に提供する体制を構築すること。
  5. 追加関税措置の対策に取り組む地方自治体を支援する交付金制度を創設すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月7日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 経済産業大臣
  • 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

このページの先頭へ戻る

民泊の健全な経営と指導体制の強化を求める意見書

本文

 近年、訪日外国人観光客の増加や都市部の宿泊需要の高まりを背景に、全国的に住宅宿泊事業、いわゆる「民泊」の届出・運営が増加している。民泊は観光振興や空き家活用といった面で一定の効果が認められる一方で、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼす事例も報告されるなど、社会問題にもなっている。
 その中には、無許可や無届け営業、規定の日数を超える違法営業の民泊施設の存在をはじめ、不特定多数の利用者の出入りによる治安不安、騒音やごみ出しルールの違反、看板未設置などの地域住民の安心・安全を脅かすケースも確認されている。また、地域との対話や事業者の責任体制が不十分なまま事業が進められたことにより、トラブル発生時に適切な対応が困難となる事例も見受けられるなど、既存の法的枠組みの中で十分に対処できているとは言えない状況にある。特にトラブル発生時には当事者のみならず、民泊施設を所管する行政機関による適切な指導が求められるが、必ずしも体制が十分とは言えない。
 よって国においては、民泊の健全な経営と指導体制強化のため、下記の事項に取り組むよう強く要望する。

  1. 無許可あるいは無届け営業に対する罰則を強化するとともに、住宅宿泊事業者及び住宅宿泊管理業者の責任の厳格化を図ること。
    また、民泊経営を行う際、地域住民や管理組合等との事前協議及び合意形成を義務づけること。
  2. 地方公共団体の民泊施設の指導監督に係る人員や財政支援の拡充を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月7日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣
  • 国土交通大臣

このページの先頭へ戻る

「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業の充実を求める意見書

本文

 現在、乳幼児健康診査については、母子保健法により市町村において「1歳6か月児」及び「3歳児」に対する実施が義務づけられており、また乳児期(「3~6か月頃」及び「9~11か月頃」)についても全国的に実施されている。更に令和5年度からは、出産後から就学前まで切れ目のない健康診査の実施体制を整備するため、「1か月児」及び「5歳児」に対する健康診査の費用助成が健康診査支援事業として行われている。
 1か月児の健診は、発育や栄養状態の確認のみならず、虐待の予防や早期発見につなげることができ、また5歳児健診は対人関係や言葉の発達の遅れなどが見えやすい時期のため、就学前の支援につなげることができることから、これらの時期の健診は非常に有用である。
 一方で、1か月児健診では求められる健診項目の専門性が高いこと、また5歳児健診では発達面の評価や発達障害等のスクリーニングを目的としているため、地方自治体において健診を行うことのできる医師、心理士などの専門性の高いスタッフの確保が難しいことが課題となっており、特に5歳児健診の全国実施率は14.1%と極めて低調となっている。
 出産後から就学前までの切れ目のない健康診査の実施体制を維持するためには、人材の確保が必要不可欠である。
 よって国においては、地域の実情に応じ、医師、心理士などの専門性の高い人材を育成・確保するなど、「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業を充実するよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月7日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣
  • 内閣府特命担当大臣(こども政策)

このページの先頭へ戻る

養護教諭の複数配置基準の改善を求める意見書

本文

 近年、多様化、複雑化する社会環境を背景として、学校現場においても心身に健康問題を抱え、特別な支援を必要とする児童生徒が増加している。
 こうした中、養護教諭は学級担任や生徒指導教諭と協力して児童生徒の健康観察や保護者からの相談に対応しているが、このほかにも健康教育、校内外の学校保健に関する各種会議等への出席、更に地域医療との連携等の業務にも従事しており、その業務量は増加傾向にある。
 しかし、養護教諭の複数配置は「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」により小学校児童数851人以上、中学校生徒801人以上と規定されており、多くの学校で養護教諭が1名しか配置されていないことから、緊急時の迅速な対応や専門的な知見に基づく複数職員によるケース検討ができないなど、児童生徒の心身の健康保持・増進を図る上で支障が生じている。
 よって国においては、児童生徒を多面的に指導し、養護教諭の専門性を十分に発揮できる環境を整備するため、養護教諭の複数配置基準を改善するよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月7日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 文部科学大臣

このページの先頭へ戻る

性犯罪の再犯防止の取組への支援の強化を求める意見書

本文

 性犯罪をした者に対しては、国の矯正施設等において認知行動療法等に基づく専門的な再犯防止プログラム等が実施されているが、再犯防止徹底のためには、出所後も地域社会において継続していくことが重要である。
 令和5年3月、法務省は地方自治体向けに「性犯罪の再犯防止に向けた地域ガイドライン~再犯防止プログラムの活用~」(以下「ガイドライン」という。)を策定した。このガイドラインでは、円滑な社会復帰のために必要な支援の在り方や、関係機関との連携方策などが示されており、国と地方自治体が協力して、各人の状況やニーズに応じた再犯防止の取組を実施することが必要とされている。
 この取組を効果的に進めるためには、性犯罪をした者が矯正施設等の出所後も再犯防止プログラム等を受ける必要性を自ら認識するとともに、地方自治体においても積極的に再犯防止や社会復帰に向けた支援を行っていく必要があるが、支援の実施に当たり必要となる性犯罪をした者に係る情報を国から地方自治体に対し提供する仕組みが設けられていない。
 また、地方自治体は性犯罪の再犯防止に係る専門的な知識・技術を十分に有しているとは言えず、施策の推進に当たっては専門性の向上等が不可欠である。
 よって国においては、地方自治体における性犯罪の再犯防止の取組への支援強化のため、下記の事項に取り組むよう強く要望する。

  1. 性犯罪をした者に対し、矯正施設等を出所した後も地方自治体による再犯防止プログラム等を受ける意義について啓発を図ること。
  2. 性犯罪をした者が矯正施設等の出所後も地方自治体による支援が受けられるよう、当事者が任意で住所等の支援に必要な情報を国に届出をし、国からその情報を地方自治体に提供する仕組みを構築すること。
  3. 地方自治体が性犯罪の再犯防止に係る専門人材を育成するための必要な支援を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月7日

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 法務大臣
  • 財務大臣

このページの先頭へ戻る

このページに関するお問い合わせ

静岡県議会政策調査課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2559
ファクス番号:054-221-3572
gikai_chousa@pref.shizuoka.lg.jp