(3)リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全

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ページID1056961  更新日 2023年9月25日

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令和5年9月県議会定例会知事提案説明要旨

【2.喫緊の課題への対応】(3)リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全

次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。

先月3日の県の地質構造・水資源専門部会では、トンネル工事に伴う発生土置き場と、山梨県側から本県に向けて進めている高速長尺先進ボーリングについて、対話が行われました。

発生土置き場につきましては、委員から、南アルプスの崩れやすい地質構造を踏まえた上で、これまでの調査内容を地図に明示するなど広域的な評価を行い、適地であるかを確認することが重要である旨の説明がありました。

JR東海は、ツバクロの発生土置き場について、一定の前提のもと、河川をせき止めた土砂部分が決壊し、貯まった水が流出した場合のシミュレーションを行ったところ、椹島(さわらじま)ロッジ付近においても、生命や財産に影響がないとの見解を示しました。しかしながら、委員からは、「同時多発的な土石流等の発生を考慮すべき」と指摘がありました。また、影響の有無を判断するためには、生命や財産の観点だけでなく、国立公園であり、ユネスコエコパークに認定されている南アルプスの希少な生態系の観点も含めるべきであります。言うなれば、南アルプスの保全は国策であり、国際的責務であります。

今後、発生土置き場の適地性の検証について、JR東海と、前提となる認識をしっかりと共有した上で、対話を進めてまいります。

高速長尺先進ボーリングにつきましては、本県からの要請を踏まえ、JR東海から、リスク管理の対策として、ボーリング湧水量や水質に、従来と異なる傾向が確認される場合には必要な措置をとること、止水する可能性もあること等が新たに説明され、一定の進捗がありました。

引き続き、ボーリングが県境から約300m地点に達するまでに、関係者間で合意できるよう、協議を行ってまいります。

先月30日に、国の環境保全有識者会議が開催され、議論のとりまとめに向けて、項目案が示されました。一方で、委員から、両生類や植物等に関するデータが不足していることや、適切な保全措置やモニタリング方法等を実現するためには、沢の流量変化に対する生物等への影響の分析・評価を十分に行うことが必要であるなどの指摘がありました。これに対し、中村座長から、個々の生物への影響まで明らかにするのは難しく、生態系全体への影響を最小限に抑えるよう議論していく旨の発言がありました。

本県といたしましては、生態系への影響の回避・低減に向け、生物への影響予測や環境影響評価が的確に行われるよう、専門家から意見を伺い、必要な意見を国土交通省にしっかりと伝えてまいります。

引き続き、リニア中央新幹線の建設と、大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため、国と協力してJR東海との対話を進めてまいります。