朝鮮通信使揮毫扁額(ちょうせんつうしんしきごうへんがく)数
江戸時代には、現在の韓国ソウルから日本に12回にわたって使節団がやって来ました。
この使節団を総称して、朝鮮通信使といいます。
この朝鮮通信使の「通信」とは「信(よしみ)」をかわすという意味で、友好親善の使者ということができます。
一行は、浜松、掛川、藤枝、江尻(清水)、三島などの東海道の宿場に宿泊しており、富士山の美しさに感嘆して詩を残すなど、静岡県に大変ゆかりがあります。特に、慶長12年(1607年)の第1回使節は、折戸湾を船で遊覧し、駿府(静岡)で大御所・徳川家康に接見しています。
当時最高の知識人である朝鮮通信使による揮毫(書画をかくこと)は人気があり、県内には彼らが揮毫した数多くの扁額が残されています。
特に、静岡市の清見寺には、朝鮮通信使が残した扁額をはじめとする多数の書画等があり、平成6年(1994年)に「朝鮮通信使遺跡」として国の史跡に指定されています。
2017年10月、「朝鮮通信使に関する記憶」が世界記憶遺産に登録されることが決定しました。
No. |
寺院名(所在地) |
揮毫文字 |
筆者 |
---|---|---|---|
1 |
清見寺(静岡市清水区興津清見寺町) |
興国 |
チョヒョン(翠屏) |
2 |
同上 |
東海名區 |
玄徳潤(錦谷) |
3 |
同上 |
瓊瑶世界 |
朴安期(螺山) |
4 |
同上 |
逍遥 |
成大中(龍淵) |
5 |
同上 |
潜龍室 |
金啓升(真狂) |
6 |
同上 |
潮音閣 |
玄徳潤(錦谷) |
7 |
同上 |
桃源 |
趙泰億(平泉) |
8 |
善原寺(静岡市清水区吉原) |
瑠璃界 |
洪聖源(景斎) |
9 |
真珠院(静岡市清水区梅ヶ谷) |
鳳凰山 |
李爾芳(花菴) |
10 |
牛欄寺(静岡市清水区梅ヶ谷) |
牛欄寺 |
李三錫(雪月堂) |
11 |
海岸寺(静岡市清水区興津東町) |
海岸菴 |
金天秀(紫峰) |
12 |
萬象寺(静岡市清水区駒越西) |
萬象寺 |
李三錫(雪月堂) |
13 |
常円寺(静岡市清水区由比阿僧) |
法城山 |
玄文亀(東巖) |
14 |
龍潭寺(浜松市北区引佐町井伊谷) |
萬松山 |
金義信(雪峯) |
15 |
同上 |
龍潭寺 |
金義信(雪峯) |
ここでいう「扁額」とは、「門戸や室内に掛ける横に長い額で、木の板に文字が書かれているか、彫られているもの」をいいます。
この他、記録に残っている扁額が2つあります。(所在不明または消失)
No. |
寺院名(所在地) |
揮毫文字 |
筆者 |
---|---|---|---|
1 |
清見寺(静岡市清水区興津清見寺町) |
諸佛宅 |
朴安期(螺山) |
2 |
真珠院(静岡市清水区梅ヶ谷) |
眞珠院 |
李爾芳(花菴) |
出典、資料:「図説朝鮮通信使の旅」(辛基秀・仲尾宏編著)、北村欽哉氏の調査資料
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