海外からの“旬な”お便り/県民だより2022年7月号

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ページID1007304  更新日 2023年1月24日

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静岡県では、お互いに助け合い、信頼関係を築き、国際的に存在感のある地域を目指す「地域外交」に取り組み、観光、経済、教育・文化など幅広い分野で交流を進めています。
海外駐在員や本県と交流のある国・地域の方からの旬な現地情報を、毎月お届けします。
コロナ禍で海外に行く機会が減った今、”旬な”お便りで世界に触れてみてください!

差出人

髙橋 誠 (たかはし まこと)さん

県韓国駐在員事務所長 ソウル市在住(1年4か月)/長泉町出身

写真:髙橋 誠 (たかはし まこと)さん

韓国では、新型コロナウイルスの感染拡大もある程度落ち着き、5月には新たな政権が誕生、6月には韓国政府が観光や短期商用を目的とした短期訪問(D-3)ビザの発行を再開しました。韓国の旅といえば、首都ソウルのほか、釜山、慶州、済州といった有名観光地はガイドブックなどに情報があふれていると思います。今回は、駐在員だからこそ紹介したい、日本人があまり旅しないリピーター向けの場所、朝鮮半島の西岸、黄海の海と食を紹介します。

韓国の西海岸 忠清南道の海水浴場とグルメ旅

地図:韓国 忠清南道

韓国にも日本と同様に海水浴場がたくさんあります。日本ほど国土が広く長くない韓国では、良い場所があれば車でどこにでも出かけていきます。静岡県の友好協定先である忠清南道(チュンチョンナムド)は、朝鮮半島の中央部にありますが、ソウルを取り囲む首都圏の最大自治体である京畿道(キョンギド)のすぐ南に位置し、西は黄海(韓国では西海(ソヘ)という)に位置しているので、首都圏からの海水浴客が多く訪れます。忠清南道で人気の有名な海水浴場と言えば、「大川(テチョン)海水浴場」です。保寧(ポリョン)市に位置するこちらの海水浴場は、1930年代から特に外国人休養客向けに人気を誇る黄海最大級の浜辺です。全長3.5キロメートル、幅100メートルになるこの浜は、コロナ前の夏は人でいっぱいだったようですが、私が訪れた2月は、人は少ないものの、それはそれで、趣のある静かな美しい浜でした。

写真:海岸
大川(テチョン)海水浴場。白砂のロングビーチの夏は、若者を中心に賑わう人気スポット

保寧市は干潟が続く土地で、良質の泥が有名。この泥を使った化粧品や石鹸・洗顔料、シャンプーなども人気です。観光客の誘客にも使おうと、毎年7月には「保寧マッドフェスティバル」が開催されており、国内外から集まる海水浴客・観光客が、泥だらけになって遊んだりマッドマッサージをしたりなど、泥をテーマとしたさまざまなプログラムを楽しみます。今年、2022年は泥や海洋をテーマとした「保寧海洋マッド博覧会」が7月16日から8月15日の1か月間開催されます(通常のマッドフェスティバルは2週間程度)。ウィズコロナの今年は、海が広がる静岡県の観光PRを行うため、本県からもブース出展します。期間中は、海洋・マッド関連商品の展示や観光PRのほか、環黄海フォーラムなどの国際会議も開催されます。

写真:壁画
保寧(ポリョン)海洋マッド博覧会をPRする壁画。7月16日から8月15日まで開催

食事も旅の重要ポイント。この日は友人が車で案内してくれたので、2021年12月1日に開通した海底トンネルを通って、保寧から安眠島(アンミョンド)に渡りました。島という名前ですが、北の方は泰安(テアン)半島と橋でつながっており、南側もこの海底トンネルができたので、各段にアクセスがよくなりました。この安眠島の名物が、ワタリガニの海鮮鍋「ケグクチ」です。汁はあっさり、カニの出汁が良く出ていて、辛さもちょうどよい具合です。贅沢にもエビも入っていました。白いご飯に汁と具をかけて一緒に食べます。

写真:ケグクチ
安眠島(アンミョンド)の名物「ケグクチ」 他の地域ではコッケタンという

さらに韓国では、あまりのおいしさにごはんが進み、止まらないことから「ごはん泥棒」の異名を持つ、ワタリガニの醤油漬け「カンジャンケジャン」も忘れてはなりません。カンジャンケジャンはソウルでは江南(カンナム)エリアの新沙洞(シンサドン)の名物として有名ですが、この地ではなんとケグクチなどのメイン料理のバンチャン(メイン料理に無料で付くおかず)の一つとして登場します。忠清南道もそうですが、全羅南道(チョルラナムド)の木浦(モッポ)など、海がある街のおかずは、本当にびっくりするほど種類も豊富で、キムチやナムルなどの野菜系も美味しいものが多いです。

写真:テーブルに並ぶ料理
海が近い街のバンチャンは種類も豊富。左上がカンジャンケジャン
写真:カンジャンケジャン
カンジャンケジャンは、カニの甲羅にある蟹味噌に白いご飯を加えて混ぜて食べる

この日の夕飯は、安眠島の美しい海水浴場「コッチ海水浴場」の駐車場で、ティギム(韓国風の天ぷら)とホンハプタン(青唐辛子の効いたムール貝のスープ)をいただきました。この時はまだ冬でしたから寒空の下、ホクホクのサツマイモの天ぷらと暖かいムール貝のスープをストーブの効いた韓国式屋台の中でいただくというのも、韓国文化に浸れる過ごし方としてお勧めです。

写真:屋台
屋台のティギムとホンハプタンの相性が最高

知らずに行ったのですがコッチ海水浴場は、西伊豆町の堂ヶ島の三四郎島と同様、干潮時になると海から道が現れるトンボロ現象が起こる場所でした。ちょうど私が到着したころ、潮がだんだん引いてきていて、徐々にハルメハラビ岩(おばあさんおじいさん岩)に向かって海の道が現れてきている最中でした。ついには岩とつながると、訪れていた観光客がその道を渡っていきます。そんなタイミングに偶然居合わせたのも嬉しいのですが、それ以上に夕日がとてもきれいな海水浴場でした。渡り鳥などの生態系も豊富な様子。ここだけ目指して訪れてもよい最高の場所です。

写真:海に日が沈む様子
コッチ海水浴場の日没。トンボロ現象で潮が引き、ハルメハラビ岩に渡っている人々がいる

私は車で訪れましたが、特に大川海水浴場は、公共交通機関でも十分に行くことが可能です。ソウル市内の龍山(ヨンサン)駅や永登浦(ヨンドゥンポ)駅からセマウル号に乗って約2時間20分程度で大川駅に着きます。海水浴場まではバスなら30分弱で行けますが、韓国のタクシーは安いので、タクシーに乗るのが便利でしょう。コッチ海水浴場や安眠島にも行ってみたいですか?同じくタクシーを使えば行けますが、結構大変です。ぜひ皆さんで声を上げ、「韓国西海岸の旅バスツアー」を静岡の旅行会社で販売していただけたら幸いです!2023年は、忠清南道との友好協定10周年の年。来年はそんな「静岡発」の旅行商品ができたとしたら、所長冥利に尽きますね。

写真:セマウル号
高速鉄道のKTXでなく、セマウル号やムグンファ号に乗るゆっくり旅も悪くない

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