富士山登山にあたって

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ページID1075781  更新日 2025年7月14日

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所長からのお願い

富士山登山道の開山にあたって

こんにちは、富士土木事務所長の佐藤です。

7月10日の富士山開山に先立ち、去る6月25日に開山前パトロールに行ってきました。

冬季閉鎖中の登山者の問題もあり、直接見ておきたいと思い参加を申し出たのですが、所長自身がこのパトロールに参加するのは過去聞いたことがないらしく、周りをザワつかせてしまいました・・・。

標高約2,400メートルの五合目から、私と維持管理課 向笠主任、富士宮分庁舎 山田主任の職員3人で、業務委託業者の方々とともに作業用ブルドーザに乗って山頂まで登ります。10時には標高3,720メートルの山頂に到着。事務所を出発した時に30℃近くあった気温は、頂上では6℃ほど。防寒着なしでは到底いられません。登山靴、ストック、ヘルメット、携帯酸素、アイゼンといった本格的な装備が必須です。

残雪パトロール

残雪も消えない冬季閉鎖中の5月には、1週間で2度も遭難し救助を要請した外国人登山者がニュースになりましたが、そうしたケースでは、寒さやスラッシュ雪崩のリスクと背中合わせなので出動する救助隊も命懸けです。

富士山は、冬季閉鎖中はもちろんですが、開山日を迎えて「夏山」になっても油断は禁物です。気温は高さが100m高くなると0.6℃下がります。平地が30℃なら富士山頂上は8℃、急変する天候によりさらに低くなります。気圧も低く空気も薄いので、高山病になるリスクもあり、想像以上の厳しさが待っています。

ところが、シーズン中になると地上が30℃だからといって、Tシャツ・短パンにサンダルで登ろうとする方が後を絶ちません。どうか、しっかりとした装備と万全の体調で臨んでいただき、無謀な登山はやめてください。

さて、今回のパトロールでは、登山道の落石や石積み等の劣化箇所を確認しつつ下山しました。主任たちは現場で業者の方と手際よく打合せを進め、八合目では山小屋の軒先を借りて、雨に濡れながら立ったままのお昼ご飯。私は普段の運動不足がたたり、膝の悲鳴やつま先の痛みと戦いながら、ようやく下山。五合目に戻った時には、足を引きずる状態でした…。
残雪パトロール

ところで、開山間近とは言え登山道は冬季閉鎖中だったのですが、やはりパトロールの途中で、数組の登山者とすれ違いました。
登山道の管理者としては非常に悩ましいのですが、いずれも完全装備で熟練者と思われる方が同行している様子でしたので、あえて声はかけませんでした。

なんとも忸怩たる思いはあるのですが、私たちが管理しているのはあくまで登山道です。登山道の外に一歩足を踏み出されてしまえば、私たちには止める術がありません。

実際に登山マップアプリなどを見ると、道を外れて登っている方も一定数いらっしゃるようです。現行制度では、冬季閉鎖中の登山者を完全に防ぐことは困難であるのが実情です…。

登山者の意識に委ねるしかないという状況に、一抹の不安と歯がゆさを覚えながらも、私たちは現場でできることを一つひとつ積み重ねていくしかありません。
どうか皆さま、富士登山は安全なシーズンに、正しい装備で――
ルールを守って、安全に楽しく富士山を登っていただくようお願いいたします。
富士山周辺地図
 ~引用:YAMAPアプリの富士山周辺図。赤い線は登山道、黄色い線は登山者の軌跡。~

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