なぜ静岡の食材はおいしいのか~海と山をつなぐ「うまみ」の話~

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ページID1084205  更新日 2026年9月7日

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なぜ静岡の食材はおいしいのか~海と山をつなぐ「うまみ」の話~

駿河湾と富士山

駿河湾で水揚げされるかつお、山あいで育つお茶やしいたけ、温暖な土地で赤く実るトマト。静岡には、海、山、川、田畑が育んできた個性豊かな食材がそろっています。

静岡のおいしさをひもとくキーワードが「うまみ」です。食材そのものが持つ味わいはもちろん、だしをとる、干す、発酵させる、淹れる、調理する。人の手が加わることで、食材の奥にある味はさらに引き出されていくのです。

本記事では、静岡の地形や自然環境を入口に、かつお、お茶、トマト、干ししいたけなど、県内を代表する食材の「うまみ」に注目します。なぜ静岡の食材はおいしいのか。その理由を、海と山、そして土地に根づいた人の営みから探っていきます。

今や世界共通となった「UMAMI(うま味)」

かつおだし

うま味は、日本で見出され、今では「UMAMI」として世界でも知られる味覚です。科学的には、甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ基本味のひとつで、うま味(ひらがなの「うま」に漢字の「味」)と表記されます。

うま味は、料理を口にしたときに感じる、だしのような深みや、舌にじんわり広がる味わいと関わっています。甘い、酸っぱい、しょっぱい、苦い、という味とは違い、食材や料理の奥行きを支える味です。和食でだしが大切にされてきたのも、このうま味が料理全体の味を支えているからです。

主なうま味成分には、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸があります。グルタミン酸は昆布やトマト、お茶などに関わる成分で、野菜や発酵食品にも含まれます。イノシン酸は、かつお節や魚、肉などに多く、グルタミン酸と合わせることでだしの力強いうま味を生みます。グアニル酸は、干ししいたけなどに関わる成分で、乾燥によって引き出される香りとともに、料理に深い味わいを加えます。

静岡の食材を見ると、このうま味成分と深く関わるものが多くあります。焼津のかつお節にはイノシン酸、伊豆の干ししいたけにはグアニル酸、県内各地で育つトマトにはグルタミン酸が関わります。お茶にもグルタミン酸をはじめとするアミノ酸が含まれ、さらにテアニンが甘みやまろやかな余韻に関わっています。

静岡の「うまみ」は、成分だけで説明できるものではありません。かつお節にする、お茶を淹れる、トマトを料理に生かす、しいたけを干す。そこには、食材の味を引き出すための人の知恵と手間があります。さらに、その食材を育ててきた山、川、海といった静岡の自然環境も欠かせません。

ここからは、静岡の自然と人の営みを手がかりに、食材のおいしさの背景を探っていきます。

 

情報提供: NPO法人 うま味インフォメーションセンター

静岡のうまみを探る。本県ならではの味わいの理由

ふじのくに地球環境史ミュージアム佐藤館長
ふじのくに地球環境史ミュージアム 佐藤洋一郎館長

静岡の食材のおいしさを考えるうえで、まず注目したいのが、海や山、川がつくる自然環境と、そこに暮らしてきた人々の営みです。そこで今回は、静岡の自然環境と食文化に深い見識を持つ「ふじのくに地球環境史ミュージアム」の佐藤洋一郎館長にお話をうかがいました。

静岡では「高い山と深い海があるから食材が豊か」と言われますが、静岡の食の豊かさはそれだけではありません。

静岡の食材を語るうえで重要な要素のひとつに「水」の存在があります。

南アルプスや富士山に降った雨は、山の土や森を通りながら栄養やミネラルを含み、川となって流れていきます。安倍川、大井川、天竜川などの流れは、やがて駿河湾や遠州灘へ注ぎます。河口部にはラグーンができ、そこが多様性のホットスポットに。山から運ばれた水は、海のプランクトンを育て、小魚を集め、さらにそれを追うかつおやまぐろなどの魚を呼び寄せます。つまり、静岡の海の豊かさは、海だけで完結しているのではありません。山から海へ流れ込む水の循環が、魚介や農産物を支えてきたのです。

今では市街地や工場、住宅地になっている場所も、かつては沼や湿地、砂丘、入り組んだ海岸線を持つ土地でした。たとえば、沼津から富士にかけて広がっていた浮島沼や、安倍川周辺の湿地、遠州灘沿岸の砂丘や干潟。こうした場所は、人が住むには必ずしも都合のよい土地ではありませんでしたが、生きものにとっては豊かな環境でした。山から流れ込む水がたまり、海の水と出会い、小魚や水辺の生きものが集まる。そこに人が関わることで、漁や加工、保存の文化が生まれていきました。

静岡の「うまみ」を語るうえでは、もうひとつ、人の移動についての歴史も大きく関わってきます。

沿岸部では古くから塩づくりが行われ、海辺で作られた塩は山間部や内陸へ運ばれていきました。静岡県牧之原市相良から掛川市を通り、長野県塩尻へと続く「塩の道」とも呼ばれる「秋葉街道」は、海の恵みを山へ届ける道でもありました。また、多くの人が行き交った東西を結ぶ「東海道」も、静岡の食文化に大きく関わってきました。

これらを通じて、静岡では、食材をおいしく保存(調理)し、食する文化が育まれてきたのです。

茶畑
「グリンピア牧之原」(牧之原市)から望む茶畑

かつお、お茶、トマト、干ししいたけ。静岡を代表する「うまみ」食材は、それぞれ産地も味わいも異なります。

しかし、静岡の「うまみ」は、成分だけで語りきれるものではありません。山から海へと流れる水、沼や湿地、砂丘、湧水といった土地の記憶、塩の道や東海道を通じた人や物の行き来。そして、食材を保存し、干し、煮詰め、発酵させ、淹れ、料理することで味を引き出してきた人々の知恵。そのすべてが重なり合い、静岡ならではの味わいを形づくってきました。

それぞれの食材を詳しく見ていくと、成分としての「うま味」だけでなく、土地の環境や歴史、人の手仕事によって育まれてきた広い意味での「うまみ」が見えてきます。

ふじのくに地球環境史ミュージアムの写真
ふじのくに地球環境史ミュージアム 静岡県内各地の食文化を紹介するコーナー

【ふじのくに地球環境史ミュージアム】

静岡の自然と自然の歴史、人と自然の関わりなどを見つめる博物館。静岡県の多彩な食材と郷土料理について紹介する展示室「ふじのくにの食」をはじめ、食材の「うまみ」を、山・川・海のつながりから考える入口としてもぴったりな場所です。

住所:静岡市駿河区大谷5762

電話:054-260-7111

静岡のうまみを味わう、4つの「うまみ」食材を訪ねる

静岡の「うまみ」は、海、山、畑、それぞれの場所に息づいています。ここからは、静岡を代表する4つの食材を入口に、より具体的な静岡の「うまみ」の世界をご紹介していきます。

(1)静岡の「うまみ」かつお節

焼津のかつお節は、海のうまみを支える存在。かつお節に関わる主なうま味成分はイノシン酸。削りたての香りや、だしにしたときの深い味わいは、料理をおいしくするだけでなく、食べる人の記憶にも残ります。そうした香りや味わいの積み重ねから、静岡のだし文化を知ることができます。

かつお節

(2)静岡の「うまみ」お茶

静岡茶は、香りや渋みの奥にある、まろやかな「うまみ」を楽しめる食材です。お茶には、うま味成分グルタミン酸が多く含まれています。また、テアニンは、甘みや余韻に関わる成分。産地や淹れ方によって変わる味わいも魅力です。

お茶

(3)静岡の「うまみ」トマト

静岡県産トマトは、畑で育つ「うまみ」の代表です。トマトに多く含まれるうま味成分グルタミン酸は、生で味わうみずみずしさだけでなく、加熱したときのコクにもつながります。

トマト

(4)静岡の「うまみ」干ししいたけ

伊豆のしいたけは、山のうまみを感じさせる食材です。特に干ししいたけには、うま味成分グアニル酸が関わります。乾燥によって香りとうまみが凝縮され、料理やだしに奥行きを与えます。

干ししいたけ

※注意:本記事では食材のおいしさや食文化まで含めた広い意味では「うまみ」と表記し、成分や基本味として使う場合は「うま味」と表記します

このページに関するお問い合わせ

経済産業部産業革新局マーケティング課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3713
ファクス番号:054-221-2698
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