なぜ静岡のトマトは味わい深いのか~静岡のトマトに秘められた「うまみ」の話~

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ページID1084208  更新日 2026年9月28日

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なぜ静岡のトマトは味わい深いのか~静岡のトマトに秘められた「うまみ」の話~

静岡県西部地区のトマト

夏の食卓に並ぶサラダ、煮込み料理、パスタ、魚料理。トマトは、様々な料理に使われる身近な野菜です。さっぱりとした酸味やみずみずしさが印象的ですが、実は料理の味を支える「うまみ」を持つ食材でもあります。

その鍵となるのが、トマトに含まれるうま味成分「グルタミン酸」です。トマトはそのまま食べてもおいしく、火を入れれば甘味やコクが増し、魚介やチーズと合わせれば料理全体の味に厚みを加えてくれます。

静岡県内各地でトマト栽培が行われていますが、この記事では静岡県西部のトマトをご紹介します。JA遠州中央管内のトマトづくり、高糖度トマト「スイートピュア」を育てる農家の技、そして御前崎市の「清水食堂」で味わうトマト料理を通して、静岡県産トマトの魅力を紹介します。

身近な野菜としてのトマトから、産地で育つトマト、料理で生きるトマトへ。静岡ならではのトマトの「うまみ」の楽しみ方を深掘りします。

トマトのうまみを支える「グルタミン酸」

トマトのうまみを語るうえで欠かせないのが、「グルタミン酸」です。トマトには、アミノ酸の一種であるグルタミン酸が豊富に含まれています。

トマトのうま味は、ゆっくり味わうことで感じやすくなります。ミニトマトをひと粒、すぐに飲み込まず、ゆっくり噛んでみると、最初に感じる酸味や甘味、トマト特有の風味が少しずつやわらぎます。そのあとに、口の中に淡く長く残る味わいを感じることができます。

トマトに豊富なグルタミン酸は、魚や肉に多く含まれるイノシン酸と組み合わせることで、うま味がより強く感じられます。トマトが魚介や肉、チーズと相性よく使われるのは、こうした成分の組み合わせも関係しています。

トマトは、甘味や酸味だけでなく、うま味によって料理に深みを加える食材です。

 

情報提供:NPO法人 うま味インフォメーションセンター

遠州地域で育まれてきた、トマトの「うまみ」

遠州地域のトマト

静岡県西部の遠州地域では、古くからトマト栽培が行われてきた産地のひとつです。JA遠州中央管内のトマト栽培には、少なくとも50〜60年以上の歴史があると考えられており、遠州灘の海岸添いに広がる砂地エリアなどでは、ハウスを利用したスイカやトマトなどの施設園芸が発展してきました。

トマトは日照時間が長く乾燥した気候に由来する作物です。冬場も比較的温暖で、日照量に恵まれた遠州地域の環境は、トマト栽培が広がってきた背景のひとつと考えられます。

現在、JA遠州中央管内には、トマトを生産する農家で構成される「トマト部会」があり、複数のトマトが栽培・出荷されています。大玉トマトの「ときめきニューレッド」をはじめ、高糖度トマトの「スイートピュア」や「トロピカルとまと」、栽培が難しいとされる「サンロード」など、個性の異なるトマトが育てられています。

JA遠州中央の担当者は、「大量に作ることよりも、少量でも品質にこだわって栽培する生産者が多い」と話します。栽培が難しいとされる品種にあえて挑戦していることからも、品質を重視する姿勢がうかがえます。土地の条件に加え、長年培われてきた栽培技術と、良いものを作りたいという生産者の思いが、遠州地域のトマトの味わいを形づくっているのです。

今回は、「トマト部会」の中でも限られた生産者が手がける高糖度トマト「スイートピュア」についてご紹介します。

水を見極める、高糖度トマト「スイートピュア」

JA遠州中央管内で高糖度トマト「スイートピュア」を栽培し、生産者組織「スイートピュア倶楽部」の会長を務める前田さんをたずねました。

スイートピュアは、生産者組織「スイートピュア倶楽部」が定める基準を満たしたものだけが出荷される高糖度トマト。糖度8度以上という基準があり、時期や生育状況によっては、糖度12度を超えるものができることもあります。

ワンポット方式による栽培
ワンポット方式によるトマト栽培の様子

スイートピュアを生産している前田さんが栽培で特に大切にしているのが、水の管理です。1株ずつポットで育てる「ワンポット方式」を採用し、根の広がりを抑えながら余分な水を与えすぎないようにすることで、トマトの甘味やうま味を凝縮させていきます。

トマト栽培は、水を少なくすればよいというものではありません。気温や湿度、木の状態を見ながら、いつ、どれだけ水を与えるかを判断する必要があります。前田さんは、近年はスマートフォンも活用しながら潅水(かんすい)を管理していますが、最終的に頼りになるのは、長年の経験による見極めだと話します。

スイートピュアトマト

トマトというと夏のイメージがありますが、トマトの味が最も乗るのは冬から春にかけて。トマトは1月から4月ごろは糖度が高まり、トマトの甘味やうま味を感じやすい時期だといいます。

季節ごとの気温や湿度に合わせて水を調整し、木の状態を見ながら育てる生産者の技術。そして、基準を満たしたものだけを届ける出荷管理。そうした細かな積み重ねが、静岡のトマトの甘味と濃い味わいを支えています。静岡のトマトの「うまみ」は、土地の恵みだけでなく、それを生かす生産者の技術と努力によって引き出されているのです。

生で、加熱で。食べ方で変わるトマトの「うまみ」

トマトの「うまみ」は、食べ方や加工によって様々な表情を見せます。甘味やうま味が凝縮した冬から春にかけてのトマトは、そのまま食べても、甘味と酸味のバランス、口に残る濃い味わいを感じることができます。

また、トマトは同じ品種、同じ生産者のものでも、時期によって味わいが異なる農産物。甘味が強いもの、酸味が立つもの、水分を多く含むもの。トマトは加熱することで甘味やコクが増す食材でもあるので、その日のトマトの状態に合わせて、火の入れ方や水分の飛ばし方を変えたり、オリーブオイルや塩を加えたりすることで、味のバランスを整えていくと、「うまみ」が料理全体になじみ、よりおいしくいただくことができます。

遠州のトマトに出会える直売所

ファーマーズマーケットで販売されているトマト
ファーマーズマーケット見付どっさり市で販売されているトマト

遠州地域のトマトを味わうなら、産地の直売所を訪れてみるのもおすすめです。時期によって並ぶトマトは異なります。

見付どっさり市
ファーマーズマーケット見付どっさり市

【ファーマーズマーケット見付どっさり市】

住所:磐田市見付3599-1(JA遠州中央本店敷地内)

電話:0538-36-7081

【ファーマーズマーケット磐田南部どっさり市】

住所:磐田市前野2765-2

電話:0538-21-4500

魚介と出会って深まる、トマトの「うまみ」

清水食堂

トマトのうま味は、魚介や肉に含まれるイノシン酸と合わせることでさらに広がります。

また、「ふじのくに地球環境史ミュージアム」の佐藤洋一郎館長も、トマトをグルタミン酸として考えることでうま味としての面白さが広がると話します。例えば、ドライトマトを煮詰めて塩分を加え、醤油の代わりのように使う料理の例があるとのこと。トマトは生で味わうだけでなく、加熱や乾燥によってうま味を凝縮させ、魚介やだし、チーズなどと合わせることで、料理全体の味を支える素材になります。

みずみずしさと凝縮感、異なる「うまみ」の楽しみ方

こうしたトマトのうま味との重なりを、料理として味わえる場所のひとつが、御前崎市にある「清水食堂」です。

アクアパッツァ
御前崎産のトマトと、御前崎港で水揚げされたヒメダイを使ったアクアパッツァ

「清水食堂」では、地元の魚や季節の食材を使った料理を提供しています。取材時に用意していただいたのは、白身魚にトマト、オリーブ、ケイパー、ハーブなどを合わせた「アクアパッツァ」。トマトは彩りのためだけに添えられているのではありません。魚から出るだしやオリーブオイルと合わさり、酸味や甘味を加えながら、料理全体の「うまみ」をまとめる役割を果たしていました。

 

冷製パスタ
御前崎産トマトの冷製パスタ

店主の清水さんによると、「トマトは火を入れることで甘味が出る」といいます。仕上げに加えれば、みずみずしさや酸味が残り、最初から煮込めば、果肉が崩れてスープやソースになじんでいく。火の入れ方によって、トマトは具材にも、ソースにも、料理を支える土台にもなるのです。

冷製パスタでは、トマトに塩やバジル、オリーブオイルを合わせ、酸味や香りを生かしながら仕上げます。トマトのうま味を重くせず、みずみずしさとともに味わえる一皿です。

「清水食堂」ではドライトマトを使ったパンも提供しているとのこと。乾燥によって水分が抜けると、トマトの甘味や味わいは凝縮されます。パンに包むことで、フレッシュなトマトとは違う「うまみ」を楽しめます。

白身魚と合わせる、火を入れてソースのように使う、冷製パスタでみずみずしさを生かす、乾燥させて味を凝縮する。「清水食堂」の料理からは、トマトの「うまみ」が、調理法や組み合わせによって様々な形で引き出されることが分かります。

 

清水食堂

【清水食堂】

「ふじのくに食の都づくり仕事人」の清水康年さんが営む、地元食材を中心に料理を仕立てるイタリア料理店。多くの野菜は地元産を使い、魚介は地元の御前崎や浜名湖などから仕入れています。イタリアンから和の要素まで、ジャンルにとらわれず素材の魅力を引き出す料理が楽しめます。

住所:御前崎市池新田1823-2

電話:0537-86-9839

トマトから広がる、静岡の「うまみ」

トマトは、身近でありながら、知るほどに味わいの奥行きが見えてくる食材です。産地で育てる人、料理に生かす人、そして食卓で味わう人。それぞれの手を通ることで、トマトの「うまみ」は新しい表情を見せてくれます。

静岡県産トマトを味わうことは、ひとつの野菜を食べるだけでなく、その背景にある土地や人の営みにふれることでもあります。静岡のトマトの「うまみ」を、ぜひ感じてみてください。

 

※注意:本記事では食材のおいしさや食文化まで含めた広い意味では「うまみ」と表記し、成分として使う場合は「うま味」と表記します

このページに関するお問い合わせ

経済産業部産業革新局マーケティング課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3713
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