<観光・情報発信>人と地域、情報を繋ぐ旅づくり 株式会社レイライン
- 所在地
- 〒416-0909 富士市松岡1170-1
- 代表者
- 代表取締役 小松みゆき
- 電話
- 0545-60-4192
- ファクス
- 0545-60-4185
- 設立
- 平成6年12月
- 運営人数
- 社員4名、パート3名
- 事業内容
- 募集型企画旅行、各社受託販売、その他旅程管理、旅に関する相談一般(観光庁長官登録旅行業第1種1307号)
これからの観光スタイルとして着地型に注目
旅行会社の多くが、目的地への移動手段である電車・飛行機や滞在地での宿泊先などの手配を行い、所在地からお客さんを送り出すパッケージ型サービスを得意としているのに対し、株式会社レイラインは、目的地で何をするかを重視したユニークな自社企画旅行を次々と打ち出している。
特に、平成12年に旅行産業経営塾で学んだことをきっかけに、旅行先で体験すること、学ぶこと、その土地の人と知り合うことを旅の目的とする着地型観光に積極的に取り組んでいる。
着地型観光は、有名な観光資源がなくても贅沢な設備が整っていなくてもその地域の良さを発信できる地域活性化の切り札のひとつとして期待されており、ありきたりの旅に飽きた旅行者からの注目だけではなく、旅行者を受け入れる側の地方自治体・農商業者からの注目も集めている。最近では、旅行業法の改正により、観光協会が着地型観光の提供を目的に旅行業の登録を行い直接誘客に乗り出す例も見られる。
同社は、着地型観光に取り組む中で、長野県飯田市の南信州観光公社、和歌山県ほんまもん体験倶楽部など先駆的な人々や団体とのネットワークを築き、平成15年には静岡市の体験型観光を軸にした過疎地の活性化事業にコーディネーターとして参加した。観光をツールとして、まちづくり、地域活性化に一役買っている。
しかし、小松みゆき代表取締役は、「地域のためとか社会のためのコミュニティビジネスをしているという意識はしていないです。着地型観光では正直なところ儲かっていませんしね」と笑う。
着地型観光に求められる企画力
着地型観光の開発は、地元の人にとって当たり前すぎて見過ごしてしまうような日常的な出来事でも、他の地域の人にとっては新鮮で感動を感じられることを、地元の人と一緒に掘り起こす作業から始まる。そのような隠れた地域資源を分かりやすく提示し、参加しやすい形で体験してもらうためのメニューを作り、そのメニューを遠く離れた人たちに商品として売り出すが、遠方から足を運んでもらえる魅力的な商品の開発やその告知の難しさなどが壁となり、小松代表取締役の言葉どおり、着地型観光をビジネスとして成功させることは簡単ではない。
しかし、同社は、着地型観光という言葉が知られる以前から旅行のプロとして企画旅行に取り組んできており、旅づくりのノウハウを生かした商品を提供している。アメリカ同時多発テロの混乱のさなかには、海外旅行ができなくなった旅行者を静岡に受け入れ、一般の観光ではスポットのあたらない名所、名物ガイド、名産品の紹介など、地元ならではの企画旅行を提供し評判を呼んだ。最近では、東日本大震災で旅行者が激減した地域を消費で経済支援しようと、被災地でのボランティア活動と消費行動を組み合わせた東北応援団ツアーを企画し成功させた。
着地型観光をいかにしてビジネスとして成功させるか。それは、旅行者も旅行者を受け入れる地域も互いに満足させ、なおかつ旅行業者が企画力・運営力によって評価され収益を上げる仕組みを構築することに他ならない。
旅行業で人や地域を繋ぎたい
小松代表取締役は今も自分で営業をし、現地交渉をし、添乗をして世界中を飛び回っている。海外を含め次々と良い人材と出会い、情報が集まってくる理由は、小松代表取締役自身の人間的な魅力によるところが大きいと感じる。集まった情報やネットワークは、次の企画を生む。観光だけではない。企業や行政の視察・見学など、ある程度テーマが提示されれば、どこの、何を、どんなふうに見て欲しいかを具体的に提案し、行っただけでは終わらせない。実際、視察や見学がきっかけで業務上のネットワークが築かれることがあるという。他地域の隠れた名企業と巡り合い、互いに知り合うことは、静岡の産業界にとって大きなメリットになる。
インターネットを活用すれば旅行会社に相談せずに旅行が手配できる時代の中で、旅行のプロは独自の情報網を駆使し、自分自身ではできないような付加価値を加えた旅づくりをすることが求められている。「今後は行政や産業各界が地域で個々に情報発信していることを、旅行・観光業が地域の産業全体を繋いで情報発信するという役割を果たしたい」と語る小松代表取締役のアイディアは尽きない。
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