第5回『「つなぐ」ことの大切さ!狩野川放水路完成60周年を迎えて』
狩野川放水路の完成から60年という節目を迎えるにあたり、「狩野川台風の記憶をつなぐ会」の主催により8月23日(土曜)に開催された、「狩野川放水路完成60周年記念シンポジウム」に参加いたしました。このシンポジウムは、狩野川台風の記憶を風化させることなく、流域の子供たちへ伝承し、親世代以上も含む流域住民の防災意識の向上と狩野川流域の治水事業への理解を深めることを目的に開催されました。
昭和33年9月に来襲した狩野川台風は、最低気圧877hpa(当時の最低気圧の世界記録)を観測した大型で猛烈な台風で、伊豆半島にある湯ヶ島雨量観測所では1時間当たり120ミリメートルという記録的な雨量を観測しました。狩野川台風により、上流域では山地崩壊が数多く発生、狩野川は至るところで決壊、氾濫し、未曾有の大水害となりました。
その後、国土交通省や地域の皆様を始めとする関係者の御尽力により、狩野川の水を直接駿河湾に放流する「狩野川放水路」が整備され、長きに渡り洪水から地域を守り続けています。記憶に新しい、令和元年の東日本台風では、狩野川台風を上回る総雨量であったものの、狩野川放水路が効果を発揮したことにより狩野川は氾濫せず、地域を守ることができたことに対し、改めて、狩野川放水路の整備に御尽力された先人達へ敬意の念を抱きました。
今回参加したシンポジウムでは、流域の小学生が防災・河川環境教育で取り組んだ内容を発表したり、狩野川台風で甚大な被害を受けた熊坂小学校の卒業生で、かつて防災・河川環境教育に取り組んだ高校生が、小学校時代の担当教師と当時の学びや思い出について語り合ったりするなど、災害の記憶をつなぐ取組が行われました。
近年は気候変動の影響により各地で水災害が顕在化しており、あらゆる関係者が取り組む流域治水が進められる中、このシンポジウムの趣旨である記憶の伝承は、水災害の自分事化の観点からも大変意義深いものと感じたところです。
国土交通省は、気候変動を考慮した治水計画の見直しを行い、将来的に狩野川放水路の改築を行うことを令和5年8月に公表しました。狩野川流域の浸水被害軽減に向けて、放水路の改築に寄せる流域の皆様の期待は大きく、早期に実現することを県としても期待しています。
今後も、流域のあらゆる関係者と連携した流域治水の取組を推進し、県民の皆様が安全で安心して暮らせる県土づくりに取り組んでまいります。


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