海外からの“旬な”お便り/県民だより2022年4月号

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ページID1007260  更新日 2023年1月24日

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静岡県では、お互いに助け合い、信頼関係を築き、国際的に存在感のある地域を目指す「地域外交」に取り組み、観光、経済、教育・文化など幅広い分野で交流を進めています。

海外駐在員や本県と交流のある国・地域の方からの旬な現地情報を、毎月お届けします。
コロナ禍で海外に行けない今、”旬な”お便りで世界に触れてみてください!

差出人

宮崎 悌三 (みやざき ていぞう)さん

県台湾駐在員事務所長台北市在住(9年)/北海道十勝郡出身

写真:宮崎 悌三さん
台湾の離島・蘭嶼(らんしょ)にて

狭いようでいて奥が深く変化に富む台湾。その魅力に惹かれる人が一人でも多くなることを願っています。お互いを良く知ることは、静岡県と台湾にとってメリットとなる交流の最初の一歩かもしれません。
台湾が持つさまざまな横顔を、機会を捉えて紹介させていただきたいと思っています。

台湾の離島へ

年間約490万人の訪日者数(2019年)を誇る台湾。台湾の人口は約2,350万人ですから、およそ5人に1人が日本を訪れたことになります。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、海外に行くことが難しくなってから、次第に台湾域内での旅行に目が向けられるようになりました。今回は、台湾の人々でもこれまでなかなか行くことのなかった場所の一つを紹介したいと思います。

台湾本島とその周辺には、澎湖諸島(ほうこしょとう)などを除いて21の島があります(台湾行政院ホームページより)。周辺の島のうち最も面積の大きな島が、台湾南東部の台東市のさらに南東約90キロメートルの太平洋に浮かぶ蘭嶼(らんしょ)です。島の面積は伊豆大島のおよそ半分、人口は約5千人で、島の経済を観光業や漁業が支えています。

台湾には、中国大陸から渡来し定着した漢民族とは全く異なる言語や文化をもった先住民(台湾では原住民と呼びます。)が16族あります。先住民は、漢民族が台湾に渡来・定住を始めるはるか前から台湾を生活の場としており、台湾の各所に、先住民が居住するエリアがあります。今回、訪れた蘭嶼は、海と共に先住民の文化が連綿と息づく達悟(タオ)族の島として有名です。

蘭嶼への交通手段は、飛行機か船ですが、今回は、台東空港から定員10人程度の小型飛行機で向かいました。荒天が続いた影響で当日は1週間ぶりの運航とのこと。キャンセル待ちをする人たちの名前が何ページも並ぶ名簿を見たときには、搭乗を諦めかけたのですが、晴れ間を縫って運航する便に運良く搭乗することができました。

写真:小型飛行機
台東空港から蘭嶼へ向かう小型飛行機

蘭嶼では、地元先住民のガイドにお願いし、達悟族の衣食住を中心に案内いただきました。島内には六つの村落があって、達悟族の住居が残っている村落の一つを訪ねました。半地下式の住居の、太い木造の柱に支えられている低い屋根が並ぶ村落は、周囲から見ると斜面の一部を形作っているかのようで、台風シーズンの海から直接吹き付ける強い風を遮るための工夫がなされていることが分かります。

写真:達悟族の住居
緩斜面にある半地下構造の達悟族の住居。強い風をやり過ごす工夫がなされている。

達悟族にとって大切な祭りである「トビウオまつり」の直前だったので、村々では、祭りで漁に出る船を入念に手入れする姿が見られました。取ってきたトビウオの処理は女性たちの仕事で、港に近い道端で天日干しにする作業を行っていました。達悟族には、代々受け継がれているさまざまな決まり事があり、島を訪れた観光客も決まり事に従って滞在することを求められます。採ってはいけない植物、写真を撮ってはいけないものなど、細かなルールは宿泊した民宿の方が教えてくださいました。

写真:船を入念に手入れする様子
達悟族の「トビウオまつり」に使う伝統的な船。

達悟族ガイドが村落に伝わる伝統やしきたりなども丁寧に解説してくれた。

写真:干したトビウオの写真を撮る観光客
達悟族の女性が開いて干したトビウオ。

島を訪れる観光客にとって、この風景は新鮮。

写真:トビウオのフライ定食
蘭嶼で食べたトビウオのフライ定食。どの店でも定番メニューとなっていた。

淡白でサクッとした歯ごたえのトビウオは何度食べても飽きない。

一周40キロメートルほどの海岸に広がる美しいサンゴ礁の海、島の名前にもなった蘭を始めとする貴重な動植物など、豊かな自然に恵まれた蘭嶼。台湾本島からの観光客には、ゆっくりと滞在しながら全く異なる文化を楽しむことを目的とした若い方々も多く、新型コロナウイルス感染症が、旅の仕方にも変化をもたらしていることを、この小さな旅を通じて感じました。

写真:学校 教会
蘭嶼の学校や教会にも、達悟族のシンボルとなる模様が施されている。
写真:建物の壁面にいるヤギ
リアルなヤギの壁画…ではなく、半野生のヤギ。至る所にいて人を恐れない。

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