水道管改修工事の訪問販売業者に対し、特定商取引法第8条に基づく業務停止命令を実施
次の事業者は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する訪問販売(以下「訪問販売」という。)を行うに当たり、法第3条、第5条第1項第1号及び第6条第1項第6号に違反する行為を行ったことから、当該事業者に対し、法第8条第1項の規定に基づき、当該事業者の行う業務の一部を停止すべき旨の命令をし、法第7条第1項の規定に基づき、違反行為の検証及び再発防止策及びコンプライアンス体制の構築について報告するよう指示を行うとともに、法第7条第2項及び第8条第2項の規定に基づき、その旨を公表する。
令和元年12月26日
静岡県知事川勝平太
1事業者の概要
- 名称
東海設備株式会社 - 所在地
岡県焼津市八楠二丁目30番1号 - 業務内容
水道管改修工事の訪問販売
2不利益処分の内容
- 業務停止命令
令和元年12月27日から令和2年6月26日までの間、訪問販売に係る静岡県内における次の業務を停止すること。- ア.東海設備株式会社(以下、「同社」という。)の行う訪問販売に係る役務提供契約の締結について勧誘すること。
- イ.同社の行う訪問販売に係る役務提供契約の申込みを受けること。
- ウ.同社の行う訪問販売に係る役務提供契約を締結すること。
- 指示
- ア.同社は、次の行為を行っていたが、このような行為は法により禁止されているので、違反行為の発生原因について、それぞれの違反行為につき調査分析の上検証し、その検証結果について、令和2年2月4日(火曜日)までに、静岡県知事まで文書で報告すること。
- (ア)法第3条に規定する勧誘目的の明示義務に違反する行為
- (イ)法第5条第1項第1号に規定する役務提供契約の内容を明らかにする書面交付義務に違反する行為
- (ウ)法第6条第1項第6号に規定する役務提供契約の締結を必要とする事情に関する不実告知
- イ.アの違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、令和2年5月27日(水曜日)までに、静岡県知事まで文書で報告すること。
- ア.同社は、次の行為を行っていたが、このような行為は法により禁止されているので、違反行為の発生原因について、それぞれの違反行為につき調査分析の上検証し、その検証結果について、令和2年2月4日(火曜日)までに、静岡県知事まで文書で報告すること。
3処分の根拠となる法令の条項
法第7条第1項及び第8条第1項
4不利益処分の原因となる事実
- 同社は、静岡県焼津市八楠二丁目30番1号に登記簿上の本店を置き、給水管改修等を主な事業として行っており、同社が配布した給水管洗浄作業のチラシ(以下「洗浄チラシ」という。)を見て同社に架電して給水管洗浄作業を依頼した消費者宅に訪問し、同所において給水管洗浄作業以外の事業に係る役務提供契約の申し込みを受けた上、役務提供契約を締結している。
よって、同社が行う事業は法第2条第1項第1号に規定する訪問販売に該当すると認められる。 - 同社は、給水管改修工事の役務提供契約を行うに当たり、消費者に対し、次の(3)から(5)までに掲げる法に違反する行為に該当する行為を行っていることが認められる。
- 同社従業員は、消費者宅へ配布した洗浄チラシを見て同社に洗浄を依頼した消費者宅へ訪問し、水道の蛇口の内部や水の色を見て、給水管の劣化により洗浄不可であるとして、新たに給水管改修工事を勧誘するに先立って、当該工事の契約の締結について、勧誘をする目的である旨を明らかにしなかった。
これは、法第3条の規定に違反する行為である。 - 同社従業員は、静岡県東部の消費者に対し、役務提供契約の内容を明らかにするための書面として「請負契約書」を交付しているが、当該書面に書面の内容をよく読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載していなかった。
これは法第5条第1項第1号の規定に違反する行為である。 - 同社従業員は、水道の蛇口や配管内を撮影した画像を見せた上で、「これ以上使っていると錆が増え、水道管が詰まる」「破裂しないのが不思議だ。よくもちましたね。」「これは急いで取り替えないといつ破裂するかわからない。取り替えないと家中の配管が全部だめになる」「これだけ酷いといつどうなるかわからないので早く交換をした方がいい」「直さないと掃除(洗浄)ができない」などと消費者に告げ、給水管改修工事を必要とする確証がないにもかかわらず、あたかも勧誘時点で工事をしなければ給水管が詰まったり破裂するかのように不実のことを告げた。
これは法第6条第1項第6号の規定に違反する行為である。
5主な取引の手口
消費者宅に格安の水道管洗浄のチラシをポスティングし、チラシを見て洗浄を依頼した消費者宅に訪問する。
訪問先の消費者宅で水道水の色や水道管内部を見せ、「水道管が詰まる」「破裂しないのが不思議だ」など、あたかも工事をしなければ水道管の詰まりや破裂が生じるかのように告げ、高額の改修工事契約を迫る。
また、勧誘に先立って、改修工事の勧誘目的である旨を告げない。
6取引事例
- 平成29年12月ころ、県内在住のA宅の郵便受けに、同社の「水道管洗浄ご案内」と書かれたチラシが入っていた。Aは、チラシに記載されていたフリーダイヤルに電話し、「5,000円の給水管洗浄をお願いしたい。」と伝えた。電話を受けた従業員Zは、「今、担当が出かけているので、伝えておきます。」と答えたが、その後同社からは何の連絡もなかった。
Aが電話して1週間くらい経ったころの午前中、事前連絡もなく、突然に同社の従業員YがA宅にやって来た。
Yは、「東海設備の者ですが」と言って、名刺を渡したが、会社名を言って名刺を出しただけでそれ以上のことは言わなかった。
Aは風呂場までYを案内すると、Yは作業内容の説明もしないで、いきなり工具を取出し、脱衣所の蛇口のところで作業を始めた。
しばらくして、AはYに呼ばれ風呂場の方に行くと、Yから「大変ですよ。こんなに茶色の水が出てきて、これは中が錆びていて腐食しています。」と言われた。
Yに言われて確認すると、洗濯機で使用している蛇口の下に容器があり、溜まっている水は茶色になっていた。
AはYに「今までこんな茶色の水が出たことは無いですよ。」と言うと、Yは浴室のシャワーのところを見るよう促して、「風呂場の水道で腐食しているところがある。これ以上使っていると錆が増え、水道管が詰まる。周りが茶色になっているということはいずれ大変なことになる。大きな金額を払わなくちゃいけなくなる。大変なことになるので新しい管にした方がいい。」と言った。
Yが、大変だと騒ぎ立て、「これは直さないとダメだから。直さないと掃除ができない。」と言ったので、Aはどうすればいいのか分からなくなった。
Aは1人で判断できず夫を呼んだが、「業者の言うとおり直してもらったらいい。」と夫が言うので、判断に従い、その場でYに「お願いします」と返事をした。
するとYは、「見積りを出してきます。」と言って、一旦家を出たが、15分くらいで見積書と契約書を持って戻ってきた。
Yからは、見積書の内容について説明はなく、費用の内訳や工事内容について、Aはよくわからなかった。
契約書には工期が定められていたが、これはYが一方的に決めたもので、その他の契約内容の詳細について、Yからは何の説明もなかった。
しかし、AはYに契約書に名前を記入するよう促されたので、Aも夫も仕方がないと思い契約書に名前を記入した。
契約書を記入した後に、Yから「玄関横の和室の床下に入り、穴を掘って工事します。全部で5日かかります。」と説明された。その場所はAが寝室としており、その和室に穴を開けて5日間も工事すると聞いてAは大変驚いた。
Aは、その間何処で寝ようかと困り、生活に支障があることを契約した後に告げられ、困惑した。
しかしその場では、迷惑しているという正直な気持ちを表に出すことができず、Yのペースで契約させられてしまった。
契約後、Aと夫は、水道管洗浄を頼んだその日に高額な契約をしてしまったので、もっとよく考えてみたいと思った。また、Yが「大変ですよ」とわざとらしく言ったこと、その後、準備良くすぐに見積書や契約書を用意してきたことなどの対応を不審に思った。
その後、Aは今回の契約は止めたほうがいいと思い、消費生活センターで、クーリング・オフのはがきを書き、工事や支払いをする前にクーリング・オフしたので、実質的な被害はなかった。 - 平成31年2月ころ、静岡県内在住のBは、自宅ポストに入れられた「水道管洗浄ご案内」というチラシを見てフリーダイヤルに電話し、水道管の洗浄依頼をした。すると電話に出た従業員Xは、「わかりました。それでは伺います。」と言った。
その数日後、同社のWが一人でBの家に来た。Wは、挨拶はしたものの、名乗った時や名刺をもらった時に会社の名前を言ったかなどについて、Bははっきりと覚えていない。
Wは、「水質検査してからだ。」と言って台所の水道の蛇口をひねり、持ってきたバケツに水を入れ、その水をBに見せながら、「こんなになってる。」と言った。バケツの水は、白く濁っているのがわかった。普段台所の水道の下には、桶を置いてあり、水を出せば桶に水がたまるようにしてあるが、これまでにその水が白く濁ったことは、まったくなかった。
更にWは「内視鏡もやりましょう。」と言いながら、持ってきた内視鏡を水道の蛇口に入れて、内部の画像をBに見せ、「破裂しないのが不思議だ。よくもちましたね。運が良かったんだね。」と言った。
Bは、このままでは破裂するのも時間の問題なのか、こんなに濁っているなら、水が飲めない、お風呂も入れない、と思うと不安になった。そして、Wが「水道管を換えた方がいい。」と言うので、Bは契約することにした。この時、改修工事を勧誘するといったプラスアルファの提案はまったくなかった。
それから数時間後、Wが見積書を作って持って来た。Bは、金額を見て、随分高いなと思い、Wに金額が高いという話をすると、Wは、「縁の下入って全部取り替えるんだから、これくらいはかかります。」と言うので、渋々契約することにした。
しかし、Bは、チラシに書いてあった「水道管洗浄、5,000円・・・」という内容にひかれ水道管洗浄をしてもらいたくて、同社を呼んだわけであり、改修工事をしてもらいたかったのではなかったため、契約をしてから数日後、BはWに「納得できないのでもう一度説明をしに来てほしい」旨を伝えたところ、Wは承諾をした。
その後、日が経たないうちにWがBの家へ来て、もう一度、台所の水道に内視鏡を入れて、その画像を見せた。その画像は汚れていることは間違いなく、Wの「このままでは、間違いなく詰まります。」という説明に一旦は納得した。
ところがしばらくしてBは、金額が高すぎるのではと改めて思ったため、消費生活センターへ相談し、契約を解除した。 - 平成30年9月ころ、静岡県内在住のC宅の郵便受けに同社のチラシが入っており、そこには水道管の洗浄を格安でできること、「市町の指定工事店」であることが記載されていた。Cは、市町の指定工事店であれば信頼できると思い、水道管の点検をしてもらうため、同社の沼津営業所に電話した。
電話に出た従業員Vに「チラシが入っていたのですが、うちも古いので水道を見ていただきたい。」と伝えると、Vは「分かりました。担当に連絡します。」と言い、Vから住所などを聞かれて電話を切った。Vは担当に連絡するというだけでいつ訪問があるとも言わなかった。
それから数日後の午前中に、何の前触れもなく、同社のUが訪問した。玄関のチャイムが鳴ったのでドアを開けると、Uがいて、「お電話を頂きありがとうございました。」と言い、名刺を差し出した。ただ、この時にUが氏名や会社名を言ったかは、Cはよく覚えていない。
この時Cは、ただ点検をしてもらいたかっただけだったので、水道管の清掃をしてほしい、工事をしてほしいなどの細かなことは言わなかった。するとUは、「家の中を見せてください。縁の下へは何処から入れますか。」と言ったので、玄関から縁の下に入れる四畳半の部屋に案内した。
Uは、何の説明もないまま畳を上げて縁の下に入っていき、出てくると、何も言わず台所の流しに行き、「カメラを入れます。」と言って、作業を始めた。Uは「カメラを入れます」と言っただけで、作業の説明も、作業をすることの承諾の確認もなかった。
Uはカメラの映像をCに見せると、確かに給水管の内側が茶色に錆びている様子だった。
するとUは、「余所の家も同じようなところがありまして、その家の方は直しました。」と言って、持ってきたカバンから、余所の家の工事箇所を写した写真を印刷したものを見せた。
その後Uは一旦帰ったが、1時間もしないうちに戻って来て、見積書を見せてきた。Cは点検のつもりで来てもらっただけで、契約する予定はなかったが、錆びついた給水管の中を見た後に改修工事見積書を見せられて契約を迫られ、冷静に判断することができず、「お願いします。」と言って契約してしまった。
Cは、契約した後に、5日間も工事があると、聞かされた。
Cは、クーリング・オフの期限まで良く考えようと思ったが、その後、熱を出してしまい、契約に関して人に相談することもできずに、クーリング・オフの期間が過ぎてしまった。
しばらくしてCが地元の水道業者に相談したところ、役所に連絡した方がいいと言われ、消費生活センターに相談した。消費生活センターの相談員から、急いで事業者に電話で解約したい旨を伝えること、解約通知書を出すことの助言言を得たため、その日のうちに、同社の沼津営業所に電話し、契約を解除した。 - 平成30年5月ころ、静岡県内在住のDは、郵便受けに投げ込まれた同社のチラシを見てフリーダイヤルに電話し、電話に出た従業員Tに「配管の状態を見てもらいたい。できたら洗浄してもらいたい。」と伝えた。Tは「担当者から電話します。」と返事した。
数日後、従業員Sが「東海設備のSです。錆の様子を見に来ました。」と訪ねてきた。
Sは、内視鏡のようなものを配水管にさして、配管内をみると、「これは急いで取り替えないと、いつ破裂するかわからない。取り換えないと、家中の配管が全体的に駄目になる。100万円はかからないと思います。会社に連絡しますので、お待ちください。」と言った後、家の配管の全体の長さを測り始めた。
するとSは「先ほどの内視鏡で見た画像です。」と言いながら、画像を写真にしたものをDに見せた。そして、写真を見せながらSは、おおよその金額を言い、契約書を持って来てDに見せた。
奥で寝ていたDの夫にも、話をしたところ、「しょうがないな。」と言われたため、契約することを決め、その請負契約書の注文者の欄に、Dが、住所、氏名、電話番号を書き捺印をした。
Dは契約のことを息子に電話したところ、「すぐに解約しろ」と言われたため、数日後に消費生活センターへ相談に行き、クーリング・オフのはがきの書き方を教わり、契約を解除した。それ以降は、同社からは何の連絡もなかった。 - 平成30年11月ころ、静岡県在住のE宅にチラシが投げ込まれた。チラシには、「給水管洗浄を通常価格9,800円のところを5,000円で行います」と記載されており、それを見たEは、お得だと思い、Eが所有する自宅と借家の2棟の水道管の洗浄だけでもしてもらうことを考えた。
Eはチラシに書かれてあったフリーダイヤルに電話し、電話に出た従業員Rに「2軒分の水道管洗浄をお願いします。具体的にはどうするのですか。」と伝えると、Rは、「今担当者がいませんので・・・。後で担当者から電話させます。」と言った。
電話してから折り返しの連絡はなかったが、数日後、従業員Qがやって来た。
Qは、玄関で会社名と水道管洗浄に来たことを言って、名刺を出したが、点検方法などの説明はなかった。
Qは、白いバケツを持って台所と風呂場に行き、それぞれの水道の蛇口を見て、いつもの水量より勢いよく水を出した。出された水は、白いバケツの中で、少し黄色に濁って見えた。そして、借家として貸している住宅にも行き、同じように白いバケツに水を入れて見せたが、Eの家以上に黄色に濁っていた。
水道の水を見たQは、「これは酷い。当然、水道管の洗浄はできない。破裂してしまう。」「水道管に圧をかける機械で洗浄すると、水道管が爆ぜるのでできません。早く水道管を換えた方がいいですよ。普通、水道管の耐用年数は20年です。洗浄ができないので今日の費用は要りません。」と言った。
その後、Qは「これだけ酷いと、いつどうなるか分からないので、早く(水道管の交換を)やった方がいいですよ。」と言って帰っていった。
EはQに言われたことを聞き流すことができず、放置はできないと思い、取り敢えず見積もりだけでも出してもらい、水道管の工事をするか決めようと思い、Qの名刺に書かれていたフリーダイヤルに電話した。電話に出た従業員Pに「工事の見積もりをお願いしたい。」と電話すると、「担当に連絡します。」とPから言われた。するとすぐにQからEに電話があったので、見積もりをして欲しいと伝えた。
数日後にQが来て、Eの自宅と借家の2軒分の見積書を渡してきた。
このとき、QからEに対し、見積書の内容についての説明はなく、工事については、大まかに話をされただけだったが、Eは専門家がやることに間違いがないと思った。
するとQは、勧誘や承諾の確認といった前振りもなく、「他の施主さんが、インフルエンザにかかり、その施主さんの工事が空いてしまった。お宅がもし、工事をやるのなら、優先して先にやらせていただいていいですか。」と言った。
Eは、急に工事契約を迫られて判断に困ったが、さらにQは、「工事代金を5万円まけますから」と言ってきた。Eは、心の準備もできないまま、見積もりを出されたその時に契約を迫られ、冷静な判断ができない中、契約するしかないと思ってしまった。
そしてEが、工事をすると返事すると、Qは用意していた契約書を出して、注文者氏名と住所電話番号を書くように言ってきた。
契約書を見ると、Eが記入する欄以外の項目は、すでに記入されていて、会社印が押され、契約時に貼る収入印紙も貼られていた。Eは、違和感がありながらも冷静に判断することなどできず、急き立てられるような中で判断して、契約書に記入して契約してしまった。
その後、Eは納得がいかなかったため、消費生活センターに相談し、クーリング・オフのはがきを書いて契約を解除した。 - 静岡県内在住のFは、2年くらい前から自宅の水道水の色が黄色くなっていることが気になり、蛇口の交換をしたいと思っていた。平成30年8月ころ、Fの自宅の郵便受けに同社のチラシが入っていた。
チラシには、「水道管洗浄ご案内」と書かれていて、通常9,800円のところを5,000円ですべてできるというもので、このチラシを見て、Fが今まで気にしていた悩みが、同社にお願いすれば解消できるのだと思った。そしてチラシのフリーダイヤルに電話し、電話に出た従業員Oに、「水をきれいにしたいから、蛇口を換えたい」と伝えた。
数日後、従業員NがF宅を訪問した。
Nは「水道を見せてください」と言っただけで、会社名や名前は言わなかったが、Fは同社の従業員が来たと思った。
このときNからは、他に必要があれば工事の契約の勧誘をするなどの話はなかった。Nからどんな作業をするなどの話や説明はないので、何をするのかは分からなかったが、Fは台所まで案内した。
Nは、白い器を蛇口の下に置き、勢いよく水を出して器に水を貯めた。水はFが普段出している水よりも、濃い黄色の水に見えた。
Fは水がきれいになるのであれば、そうしてもらいたいと思い「いくらかかる」と聞くと、Nは金額を言った。Fは、金額を言われて、Nから説明はなく金額や工事内容を理解した訳ではなかったが、水がきれいになるのなら、専門業者が言うようにするしかないと思った。Fは、水をきれいにしたい一心で、「じゃあ、やってください」と言った。
するとNは一旦帰ったが、その日の午後、昼過ぎくらいに再びやって来た。
Nは、書類を出して、Fに住所と名前、電話番号を書くように言った。
Fは、Nに指示された箇所に、住所と名前、電話番号を記入した。この時に書類の内容などの説明はなかった。Fは、その時書いたのが契約書ということは分かったが、契約書であることの説明や確認はなく、Fは指示されたところに指示されたことを書き、契約した。
契約書に名前を書いて2週間くらいした頃、Fの娘が、部屋の隅に置いておいた契約書を見つけ、書類を娘が見ると、娘に反対された。
その後Fの娘が消費生活センターに相談し、クーリング・オフの期間が過ぎていたが、消費生活センターの相談員が同社と話をして、娘からの解約の申し入れを同社が受け、解約した。
契約の解除をしてから、同社から通知や電話などの一切の連絡はなかった。 - 令和元年7月ころ、静岡県内在住のGは、3年前から水道の検針者に漏水を疑う症状があることを指摘され、気になっていたことから、漏水を見てもらうため、同社に電話した。Gは「3年前から水漏れしているというから見てください。」と用件を伝えると、同社の従業員Mは「行って見ます。」と返事をした。
数日後、従業員LがGの家に尋ねてきた。Lは挨拶なく「電話もらって来ました。」と言い、名刺を渡すだけだった。
Lは居間に上り込み、カメラのようなものを持って台所に行き作業を始めた。するとLは、「水道管の中が腐っている。」と言って、Gに水道管の中を撮影した写真を見せた。
さらにLは「直りっこないよ。全部腐っているから、直ることはない。早くやらないと、段々大きくなるよ。」と、工事を急かすように言った。Gは写真を見せられて、酷い状態なら改修工事をやらなければいけないと感じた。
Lは、「見積もりをしてみます。」と言って一旦帰って行った。
Lはその日の午後、Gの家に再び戻ってくると、何の説明もしないで見積書をGに渡してきた。Gが内容が分からず判断もできないでいると、Lは「社長に了解をとりました。60何万だけど値引きして60万円です。」と言った。
そしてLは契約書を出してGに名前を書くように言ってきた。
Gにとって、簡単に支払える金額ではなく断りたかったが、Gから同社に電話をしたという負い目があり、Lから「全部腐っていて、直ることはないし、早くやらないと段々大きくなる。」と言われたので、断ることはできずに契約書の注文者名に名前を書き契約した。
その後、Gが消費生活センターに相談したところ、クーリング・オフの期間内であったため、契約解除のはがきを書いて契約解除した。
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