藻場回復への取組

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ページID1028114  更新日 2024年1月19日

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1.磯焼け現象とその原因について

「磯焼け」とは、沿岸の岩礁(磯)に生育するカジメ・サガラメ・テングサなどの海藻の群落が衰退し、焼け跡のような状態になる現象です。

磯焼けの原因として、海流の変化による水温の上昇や、海藻の生育に必要な栄養分の不足、石灰藻など他の雑海藻の繁茂、魚類やウニなどの藻食性生物による食害があげられています。

写真:藻場
写真1(左):カジメが繁茂する藻場
写真:海底
写真2(右):磯焼け状態となった海底

2.榛南地域の磯焼けについて

牧之原市から御前崎市にかけての榛南海域では、磯焼け現象が平成に入ってから目立ち始めました。磯焼けは平成6年頃からさらに拡大し、従前は約8,000haあったとされるカジメ・サガラメ藻場は平成12年頃までにほとんど消失してしまいました。

藻場は魚貝類の生息場として重要な役割を担うことが知られており、その藻場が消失した榛南海域ではアワビなどの漁獲量が激減しました。このため、藻場の回復は重要な課題となっています。

3.藻場の回復をめざして

静岡県では、榛南海域の藻場回復のため、平成11年度にコンクリートブロックに伊豆海域のカジメを自然着生させ、ブロックごと榛南海域に移植する実験を行いました。その結果、移植したカジメは数年間生存することが確認されましたが、その一方で、カジメがアイゴなどの藻食性魚類による食害を受けることも分かりました。

移植実験の結果を受け、平成14年度から平成22年度にかけて、榛南海域においてカジメの幼体(=苗)を取り付けたブロックを相良沖と御前崎沖に合わせて2,162基沈設する藻場造成工事を行いました。また、食害対策の有効性が実証されたことから、平成21年度から、県は国及び関係市町とともに、地元漁業者が実施している藻食性魚類の駆除などの藻場の保全活動を支援しています。

これらの取組によって、平成30年6月現在までに870haのカジメ藻場の回復が確認されています。今後とも、水生生物の“ゆりかご”となる藻場の回復をめざして、関係者と連携し必要な施策を総合的に推進していきます。

写真:ブロックを海に沈設する様子
写真3:カジメの幼体を取り付けたブロックを沈設
写真:生長したカジメ
写真4:ブロック上で大きく生長したカジメ

写真:天然岩礁に拡大するカジメ藻場
写真5:天然岩礁に拡大しつつあるカジメ藻場
写真:アイゴ
写真6:カジメを食害するアイゴ

4.関連施策の概要

(1)カジメ藻場の造成

磯焼けが継続している榛南海域にカジメ藻場を造成するため、平成14年度から沿岸漁場整備開発事業(平成22年度については農山漁村地域整備交付金事業)により、カジメの幼体を取り付けたブロックを相良沖と御前崎沖に合わせて2,162基沈設、造成工事は平成22年度に完了しました。

(2)漁業者による藻場保全活動への支援

水産多面的機能発揮対策事業により漁業者が実施するアイゴ等藻食性魚類の駆除、母藻投入、岩盤清掃などの藻場保全活動を支援しています。県内では5地域で同事業に取り組んでいますが、うち、榛南、南伊豆伊浜、伊豆稲取の3地域が藻場保全に関する活動を行っています。

(3)サガラメ藻場の回復に関する研究

サガラメはカジメと比べて生育水深が浅いため、カジメのように大型のコンクリートブロックを用いた藻場造成工事は適しません。このため、水産技術研究所深層水科において、簡易で環境に配慮した移植基盤の実用化を図るとともに、海藻を取り付けた移植基盤を大量に作製する技術開発等に取り組んでいます。

このページに関するお問い合わせ

経済産業部水産・海洋局水産資源課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2696
ファクス番号:054-221-3288
suisanshigen@pref.shizuoka.lg.jp