(4)リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全

ツイッターでツイート
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページID1058071  更新日 2023年12月1日

印刷大きな文字で印刷

令和5年12月県議会定例会知事提案説明要旨

【1.喫緊の課題への対応】(4)リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全

次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。

県外流出するトンネル湧水量と同量を大井川に戻す方策である田代ダム取水抑制案につきましては、10月25日、JR東海から県に対し、東京電力リニューアブルパワーにも了解された具体的な実施案について、大井川利水関係協議会会員の意向を確認するよう要請がありました。

本県として重要なのは、水資源に影響を与えないことであります。このため、JR東海が示した実施案について、県地質構造・水資源専門部会の委員に御意見を伺い、技術的に妥当なスキームであるとの回答をいただきました。あわせて、協議会の各会員にも意向を確認し、全会員から御了解いただきました。これらを受け、実施案を了解することとし、先月29日、県からJR東海へ回答したところであります。

一方で、確認すべき課題はまだ残っていることから、引き続き、県地質構造・水資源専門部会での対話を継続するとともに、大井川水資源の保全に向け、流域市町や利水者と情報共有を図りながら、一体となって取り組んでまいります。

南アルプスの自然環境の保全につきましては、9月26日に開催された国の有識者会議において、報告書の案が示されました。これを受け、県では、10月20日に、生物多様性専門部会を開催しました。当初予測からの変化をフィードバックして対応していく順応的管理を適切に行うには、事前に代表的な種等への影響を予測することが必要であること、また、トンネル湧水を川に戻す際の水質基準値は、生物に影響を与えないようにする必要があることなど、あらためて重要な指摘がありました。

また、10月24日に開催した南アルプスの自然環境保全に関わる方々との意見交換会でも、「沢の水量が減った後の対応が考えられていない」、「自然環境は、一度壊されると戻すのが難しい」など、懸念する意見が聞かれたところであります。

こうした意見を踏まえ、先月1日、県から国土交通省に対し、国の有識者会議において議論を行うべき主な課題について意見書を提出いたしました。

しかしながら、先月7日に国の有識者会議で示された報告書の修正案は、県の意見が十分反映されておりませんでした。

これを踏まえ、本県の意見をできるだけ報告書に反映できるよう、国土交通省に求めているところであります。

引き続き、リニア中央新幹線の建設と、大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため、国と協力してJR東海との対話を進めてまいります。