令和7年12月定例会意見書(令和7年12月19日可決)
被災者生活再建支援制度の拡充を求める意見書
本文
近年、全国各地で地震、豪雨、台風、竜巻などの自然災害が頻発化・激甚化し、住宅の全壊・半壊のみならず、部分的な損壊等により長期の避難生活を余儀なくされる被災者が多数生じている。本県においても令和7年9月、台風15号により発生した竜巻等の突風が、住家等に甚大な被害をもたらした。
こうした中、被災者の生活再建を支援する「被災者生活再建支援制度」は重要な役割を果たしているが、被災の実態や物価の高騰などを踏まえると、現行制度の支援水準では十分とは言えない状況にある。
被災者一人一人が速やかに生活を立て直し、地域の再建に向けて希望を持って歩み出すためには、支援金の拡充など被災者生活再建支援制度の抜本的な見直しが必要である。
よって国においては、被災者生活再建支援制度の拡充を図るため、下記の事項に取り組むよう強く要望する。
記
- 被災後の住宅再建費用や生活再建に要する経費が高騰している現状を踏まえ、被災者生活再建支援金の基礎支援金及び加算支援金を大幅に引き上げるとともに、加算支援金については、「建設・購入」と「補修」との差をなくすこと。
- 同一の災害で被災した被災者に対し、被災地域や災害種別の違いによって支援内容に格差が生じないよう、同一の支援措置を講じること。
- 現行制度では対象外となる損害割合20%台の半壊世帯についても、支援金の支給対象とし、実態に即した柔軟な支援を行うこと。
- 近年多発している竜巻・突風など風害についても、住家被害認定調査において、地震や水害と同様に第1次調査(外観による調査)を導入し、簡易・迅速に罹災証明の判定ができるようにすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月19日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 財務大臣
- 内閣府特命担当大臣(防災)
民生委員・児童委員の担い手確保と定着を求める意見書
本文
少子高齢化の進展や地域コミュニティの希薄化などに伴い、地域福祉を支える民生委員・児童委員(以下「民生委員」という。)の役割は一層重要となっている。
しかしながら、県内の多くの市町において民生委員の人材確保が困難な状況が続いており、担い手の確保と定着は喫緊の課題となっている。本県においては、担い手確保に向け、県の民生委員児童委員協議会からの意見を踏まえ、これまで75歳未満としていた再任の年齢基準を見直し、健康状態に問題がなければ年齢を問わない取扱いとするなど、制度面の改善を進めている。
また、民生委員の定着に向け、令和元年度の改選から「協力員制度」の導入や、地区の民生委員児童委員協議会におけるタブレット端末を活用した会議・研修のオンライン化など、委員活動の負担軽減に努めている。
更に、一斉改選後の新任委員に対しては、委嘱後早期に実践的な研修を実施し、円滑に活動に当たれるよう支援しているところである。
こうした県の取組を一層推進し、地域福祉の最前線を担う民生委員の役割を確実に果たしていくためには、国においても、職務の重要性に見合った活動費等の充実を図ることが必要不可欠である。
また、高齢者雇用安定法の改正等を背景に70歳まで就労する方が増加していることから、民生委員の担い手確保には、就業先の理解と協力を得て、就労しながら民生委員活動を行う時間を確保できるようにする必要がある。
よって国においては、地域福祉の要である民生委員の担い手確保と定着を図るため、活動費をはじめとした必要な財政措置の拡充を図るとともに、民生委員活動と就労の両立が可能な体制を整備するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月19日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 財務大臣
- 厚生労働大臣
労働時間法制の検討に向けた丁寧かつ建設的な議論を求める意見書
本文
2019年から順次施行された働き方改革関連法の下、長時間労働に依存した企業文化や職場風土の見直しが進められてきた。
一方、少子高齢化に伴う人手不足や産業構造の変化が進む中、現行制度の下で多様な働き方の選択肢を広げ、生産性の向上と地域経済の持続性を確保していくことも重要な課題となっている。
今般、政府は総合経済対策を閣議決定し、「強い日本経済実現」に向けた具体的施策のうち、人への投資の促進として、「業種・規模毎の状況、労使のニーズ等の実態把握の調査結果を踏まえ、心身の健康維持と従業者の選択を前提に、労働時間法制に係る政策対応の在り方を多角的に検討する」としている。
労働時間法制の見直しは、産業の実態や働き手の希望に即して柔軟な働き方を可能とし、地域経済の活力維持や生産性向上に資する可能性がある。一方で、健康確保措置の実効性が十分に担保されないまま規制の在り方が見直される場合には、長時間労働の固定化や過労死等の発生、ワーク・ライフ・バランスの崩壊といった課題が生じるおそれがある。
よって国においては、労働時間法制に係る政策対応の在り方の検討に当たっては、実態把握の調査結果を分析した上で、経済界のみならず労働界、専門家、地域の産業・生活関係者など幅広い声を踏まえ、柔軟な働き方の推進方策や適正な処遇・所得確保の在り方等も含めて、丁寧かつ建設的な議論を行うよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月19日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 財務大臣
- 厚生労働大臣
- 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
脳脊髄液漏出症患者の救済を求める意見書
本文
脳脊髄液漏出症(脳脊髄液減少症)は、交通事故等により硬膜から脳脊髄液が漏れ出すことにより頭痛や目まい、倦怠感など多様な症状を呈する疾患である。平成28年からは診断基準に基づく硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ療法)が保険適用となり、専門的な診療体制の整備が進んでいる。本県のホームページでも、県内の診療可能な医療機関などの様々な情報提供を行っているが、社会的認知はなお十分とは言えない。
脳脊髄液漏出症については、労災保険では障害等級12級以上と認定されるケースがある一方で、自賠責保険では後遺障害等級が適切に認定されておらず、多くの患者が救済されていないとの指摘もある。
自賠責保険において、脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定については、自賠責保険(共済)審査会に専門医などを構成員とする専門部会を設置し、認定を行う仕組みが構築されているが、脳脊髄液漏出症についてはこのような認定の仕組みはない。
こうしたことから、脳脊髄液漏出症に苦しむ患者が一人でも多く自賠責保険の後遺障害等級の認定を受け、適切な治療が受けられるための支援体制の充実が求められる。
よって国においては、自賠責保険の後遺障害等級の認定体制を整備し、被害者救済の理念が十分に発揮されるよう、下記の事項について適切な措置を講ずるよう強く要望する。
記
- 自賠責保険における脳脊髄液漏出症の後遺障害等級認定については、高次脳機能障害と同様に専門医による認定の仕組みを構築すること。
- 被害者やその代理人及び裁判所等が後遺障害等級認定を審査した際の根拠資料について開示を求めた場合、自賠責保険においても労災保険と同様に開示される制度とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月19日
提出先
- 衆議院議長
- 参議院議長
- 内閣総理大臣
- 総務大臣
- 財務大臣
- 厚生労働大臣
- 国土交通大臣
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