平成30年度決算審査及び基金運用状況審査(令和元年度実施)について
歳入歳出決算及び基金運用状況審査意見書の概要
地方自治法第233条第2項の規定に基づき審査に付された平成30年度静岡県一般会計及び特別会計の歳入歳出決算並びに同法第241条第5項の規定に基づき審査に付された平成30年度定額の資金を運用するための基金の運用状況について審査し、その結果について、令和元年9月9日に知事へ意見書を提出しました。
意見書全文については、次のページをご確認ください。
歳入歳出決算審査意見書(一般会計及び特別会計)の概要
1.審査の対象
平成30年度静岡県一般会計及び12特別会計
2.審査の期間
令和元年7月22日から令和元年8月30日まで
3.審査の方針
平成30年度静岡県一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の審査は、次の点を重点に関係諸帳票、証拠書類の照査、関係当局から聴取等を行うとともに、定期監査、例月出納検査等の結果も考慮し実施した。
- 決算計数は、正確か
- 会計事務は、関係法令等に適合して処理されているか
- 予算の執行は、議決の趣旨に沿って適正かつ効果的にされているか
- 資金は適正に管理され、効率的に運用されているか
- 財政は、健全に運営されているか
- 財産の取得、管理及び処分は、適正に処理されているか
4.審査の結果
平成30年度一般会計及び特別会計の歳入歳出決算の計数については、決算書、同附属書類、関係諸帳票、指定金融機関の現金有高表等を照合審査した結果、正確であることを確認した。
また、財政運営、予算の執行、会計及び財産・資金に関する事務については、一部改善を要する事項も見受けられたが、おおむね適正に行われているものと認める。
(1)健全な財政運営の堅持について
歳入決算額は、主に県税や県債発行の減により、一般会計で前年度に比べ2.9%減少した。
県税の決算額は、4,838億4,000万円余であり、輸出関連業種を中心とした企業収益の改善に伴い、法人二税が前年度に比べ106億9,000万円余(対前年度比7.8%)増加したことなどにより、最終予算額4,836億円に対し、2億4,000万円余増となった。
また、前年度決算額4,989億8,000万円余に対しては、3.0%、151億3,000万円余の減少であり、これは、政令市への税源移譲の影響により、個人県民税が261億5,000万円余(同△17.4%)減少したことなどによるものである。
県債は1,648億8,190万円で、前年度決算額1,798億9,700万円に対し、150億1,510万円の減少となった。これは、減収補填債(特例分)の発行減等によるものである。
歳出決算額では、義務的経費については、前年度と比べ扶助費が4.2%増加し、歳出全体に占める構成比が9.7%となり、0.6ポイント増加した。義務的経費全体では0.6%の増加となり、歳出全体に占める構成比は1.8ポイント増の50.8%となった。
投資的経費については、前年度から3.1%の増加となったが、これは普通建設事業費が1.9%増加となったことなどによるものである。
また、新総合計画である静岡県の新ビジョンを推進する財源となる“ふじのくにづくり推進基金”積立金が皆減したこと等により、その他経費は前年度より10.0%減少し、歳出に占める構成比も34.0%と、2.7ポイント減少した。
次に、一般会計の県債残高についてであるが、新ビジョンの目標に設定している通常債の残高は、1兆5,667億3,900万円余となり、前年度末より250億8,800万円余減少し、着実に残高の縮減が図られている一方で、臨時財政対策債の残高は1兆1,353億7,400万円余となり、前年度末より346億700万円余増加した。
また、県の財政構造を示す7つの指標を見ると、義務的経費比率、経常収支比率など、前年に比べて悪化している指標はあるものの、一般財源等比率は前年度に比べて改善し、実質公債費比率も前年の水準を維持し、目標数値を達成している。将来負担比率についても、前年度から悪化はしているが目標数値の範囲内である。
さらに、財源不足への対応に活用可能な基金現在高は、平成30年度決算後時点で404億円となり、前年度の353億円より増加している。
以上の要素を勘案すると、県の財政状況は前年よりも健全化しており、新ビジョンに掲げる財政調整用の基金に頼らない収支均衡の財政運営の目標達成に向け、着実に進捗していると評価する。
一方で、県人口が減少する中で少子高齢化は一段と加速しており、今後も社会保障関係費等の大幅な増加も当然のことながら見込まれる。加えて、地方消費税率引上げに伴い一般財源総額の増加が見込まれるものの、最近の世界経済の動向を鑑みれば、税収増がいつまで継続するかは不透明である。
また、国から元利償還金の財源保障があり実質的な地方交付税として扱われているとはいえ、臨時財政対策債の残高が1兆1,300億円を超え、全体の県債残高の41%を占めるまでに累増している。
新たにスタートした令和の時代においても、健全な財政運営を堅持し、今後の財政運営の考え方である「収支が均衡した財政運営」の実現に向けて、引き続き歳入歳出の改革を進め、従来の取組以上に歳入の確保や歳出の見直しを推進するとともに、将来にわたって安定的な税財源の構築、臨時財政対策債の廃止を含めた改革と償還財源の別枠での確保について、国に対してあらゆる機会を活用して強力に働きかけられたい。
(2)収入未済額の縮減への取組について
収入未済額から徴収猶予等の措置をとったものを除いた実収入未済額が、平成22年度の205億6,785万2千円から減少に転じ、平成30年度には95億2,964万5千円と半分以下にまで縮減していることについて、その取組は評価できる。県税関係、県税関係以外のそれぞれの状況は次のとおりである。
(ア)県税関係
県税に税外収入の加算金を加えた実収入未済額は53億9,767万円余となり、前年度に比べ15.9%、10億2,266万円余の減少となった。そのうち9億8,425万円余の減少は個人県民税が占めており、平成24年度から市町と協働で進めてきた特別徴収の徹底など、取組の強化に努めてきた成果が現れたものと考えられる。
また、個人県民税(均等割・所得割)の収入率は、平成24年度以降の上記取組による滞納繰越額の減少もあって、年々上昇してきたが、平成30年度は、政令市への税源移譲の影響により、前年度と同率の95.6%であった。これにより平成24年度以降、徐々に上がっていた全国順位も、前年度の37位から39位へと順位を落している。県政運営の自主性を保持する上で県税の確保は重要な命題であり、特に個人県民税の徴収については、まだ工夫の余地があると思われるので、引き続き市町と協働での対策を進めるなど、より一層の徴収強化に努められたい。
区分 |
平成26年度 |
平成27年度 |
平成28年度 |
平成29年度 |
平成30年度 |
30年度/29年度 |
30年度/29年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
県税関係 |
10,296,943 |
8,924,679 |
7,421,415 |
6,420,344 |
5,397,678 |
-1,022,666 |
-15.9 |
県税(個人県民税) |
9,083,982 |
7,977,885 |
6,674,156 |
5,773,237 |
4,788,980 |
-984,257 |
-17 |
県税(個人県民税以外) |
1,142,246 |
879,762 |
679,845 |
588,466 |
553,540 |
-34,926 |
-5.9 |
加算金 |
70,715 |
67,032 |
67,414 |
58,641 |
55,158 |
-3,483 |
-5.9 |
(イ)県税関係以外
平成30年度の実収入未済額は41億3,196万円余で、前年度に比べ、0.1%、227万円余の増加となった。
未済額の主なものは、1件が13億円を超えるものがあるなど合計で約18億9,310万円余となっている中小企業高度化資金貸付事業等特別会計に係る貸付金償還金、平成25年度に発生した、愛鷹山麓での不法投棄に係る7億4,238万円余の産業廃棄物原状回復代執行費用返納金、母子父子寡婦福祉資金貸付金償還金、県営住宅に係る公営住宅使用料、生活保護費返還金等である。
県税関係以外の未収金については、全庁的な観点から部局を横断して対策に取り組む「税外収入債権管理調整会議」を設置し、平成23年度から過年度未収金について、回収目標や整理目標を立て縮減に向けた各種の取組を行っている。平成30年度においては、29年度に改定した県債権管理マニュアルの活用、債権回収の外部委託対象の拡大等の取組により、実収入未済額が縮減している債権もある一方で、母子父子寡婦福祉資金貸付金償還金、生活保護費返還金など、新規未収金の発生により実収入未済額が増加しているものもあることから、引き続き収入未済の縮減・解消に努めるとともに、新たな収入未済の発生防止に努力されたい。
区分 | 平成26年度 (千円) |
平成27年度 (千円) |
平成28年度 (千円) |
平成29年度 (千円) |
平成30年度 (千円) |
30年度/29年度 増減額 (千円) |
30年度/29年度 増減額 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
県税関係以外 | 4,111,709 | 4,087,486 | 4,062,474 | 4,129,695 | 4,131,967 | 2,272 | 0.1 |
児童措置費納付金 | 88,220 | 83,884 | 84,590 | 86,807 | 90,898 | 4,091 | 4.7 |
教育奨学金返還金 | 46,616 | 44,871 | 50,049 | 51,478 | 51,746 | 268 | 0.5 |
青年農業者等育成確保資金貸付金償還金等 | 44,304 | 40,211 | 36,398 | 46,391 | 46,454 | 63 | 0.1 |
過年度返納金 | 112,436 | 97,834 | 93,431 | 92,062 | 79,383 | -12,679 | -13.8 |
生活保護費返還金 | 81,391 | 92,315 | 113,149 | 126,663 | 151,307 | 24,644 | 19.5 |
新規産業立地事業費補助金等 | 20 | 6,716 | 51 | 72,057 | 86,297 | 14,240 | 19.8 |
産業廃棄物原状回復代執行費用返納金 | 747,663 | 746,889 | 746,195 | 743,048 | 742,388 | -660 | -0.1 |
放置違反金 | 29,114 | 26,783 | 21,521 | 16,737 | 8,777 | -7,960 | -47.6 |
公営住宅使用料等 | 265,001 | 242,908 | 217,567 | 203,521 | 190,328 | -13,193 | -6.5 |
母子父子寡婦福祉資金貸付金償還金等 | 493,259 | 526,384 | 562,878 | 591,756 | 628,895 | 37,139 | 6.3 |
中小企業共同施設資金貸付金償還金等 | 2,074,157 | 2,030,951 | 1,989,836 | 1,945,959 | 1,893,108 | -52,851 | -2.7 |
その他 | 129,528 | 147,740 | 146,809 | 153,216 | 162,386 | 9,170 | 6 |
(3)事業繰越の縮減について
翌年度への繰越の状況は、一般会計で585億334万8千円、前年度比120.8%と増加した。特別会計については15億7,010万1千円で、前年度比95.3%と減少している。また、一般会計では、平成30年度に相次いで発生した自然災害の影響により、資機材の調達ができず年度内の完了困難となったことによるもの1件13億4,788万8千円の事故繰越が発生している。
平成30年度の明許繰越の内訳としては、通常分が資機材の不足による工事の遅れや用地取得の遅れなどにより、繰越額が前年度に比べ45億7,051万円余増加し、また、追加分(国補正や災害発生に伴う事業の繰越)も国の経済対策等に伴う国補正事業の増加により42億9,310万円余増加している。
事業効果を早期に発揮できるよう、関係機関等との十分な調整を行うなど、的確な計画立案及び効率的な予算執行を図り、繰越額の縮減に努められたい。
区分 |
一般会計 |
一般会計 |
特別会計 |
特別会計 |
合計 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
繰越額 |
58,503,348 |
120.8 |
1,570,101 |
95.3 |
60,073,449 |
120 |
(4)不用額について
歳出予算における不用額は、一般会計では、113億3,068万円で、前年度比82.0%、24億9,340万5千円の減少となっている。また、特別会計では、65億1,719万6千円で、前年度比401.7%、48億9,493万2千円の増加となっている。
一般会計の内訳の中で減少している主なものは、道路関係国庫補助事業費、現年補助災害土木復旧費や所得割交付金などである。
一方、経営体育成支援事業費助成、子ども・子育て支援給付費負担金など、事業費の確定や実績に伴うものについて、不用額が増加している。
また、特別会計の内訳で増加している主なものは、平成30年度に新設された国民健康保険事業特別会計などである。
平成30年度の一般会計における不用額は、前年度を下回った。財政の健全化を推進し財源の有効な活用を図るため、予算の適正額の確保と適時・的確な見直しによる不用額の縮減について、当初予算計上時から精度の高い所要経費の見積りを行うとともに、事業の進捗状況を的確に把握した上で補正等を行い、引き続き、効率的な予算執行に努められたい。
区分 |
一般会計 |
一般会計 |
特別会計 |
特別会計 |
合計 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
不用額 |
11,330,680 |
82 |
6,517,196 |
401.7 |
17,847,876 |
115.5 |
(5)財務会計事務等の適正な執行について
平成30年度定期監査等においては、職場内秩序を乱す行為(暴言)の発生など26件を監査結果として一番重い「指摘」としたほか、職員住宅貸付料の調定漏れ、収入印紙の貼付額誤り等56件を「注意」とした。監査結果は、指導、意見等を含めると全体で255件、前年度に比べ27件の増加となっている。
このうち、財務会計に関わるものは、55件であり、前年度より13件減少している。
出納局では目的や対象者別に区分を設けて研修を実施するなど、財務会計事務に携わる職員の資質向上に努めており、財務会計に関する監査結果の件数の減少は取組の成果と言えるが、毎年のように発生する事務処理ミスに対しては、担当者の資質向上とともに、事務の適正な執行を確保する体制づくりが重要である。
今後も正確な会計事務の大切さを認識したうえで、職場内の実効性のあるチェック機能の強化はもとより、制度や仕組みの再点検を行うなど、適正な会計事務の執行に努められたい。
(6)財産管理等について
財産管理に係る事務については、「指摘」となるような重大な誤りはなかったが、研究用備品を亡失し「注意」となった案件が発生したほか、財産台帳の除却漏れ、材料品受払簿の未作成などの、事務処理上の不適切な事例が散見されている。県有財産は、県民の財産であるという意識をもって適切な管理に努められたい。
一方で、県では、平成25年度にファシリティマネジメントの実施方針を作成し、「総量適正化」、「施設の長寿命化」、「維持管理経費の最適化」、「施設の有効活用」の4本柱により、経営的な視点から県有施設を総合的に企画・管理・活用する取組を行っている。とりわけ、未利用財産の売却については、平成20年度から5年ごとに売却計画を策定し未利用地の売却を進めてきている。平成30年度を計画初年度とする「県有財産の売却計画」においては、5か年で55億6,500万円余の売却を進めていくこととし、平成30年度は、10億6,900万円余を売却し、売却計画に対する達成率は19.2%であった。未利用財産は境界確定の状況などにより売却時期が変動したり、計画外であっても新たに売却が可能となることもあるため、毎年度、最新の売却対象を整理した上で、今後も計画的かつ積極的に売却を進め、「総量適正化」を推進されたい。
さらに、「施設の長寿命化」、「維持管理経費の最適化」、「施設の有効活用」についても、引き続き、積極的に取り組まれたい。
基金運用状況審査意見書の概要
1.審査の対象
静岡県立美術博物館建設基金
2.審査の期間
令和元年7月22日から令和元年8月30日まで
3.審査の方針
静岡県立美術博物館建設基金条例の趣旨に従って適正に運用・管理されているか、調書と関係帳簿及び証拠書類等を調査照合し審査を行った。
4.審査の結果及び意見
審査の結果、本基金は適正に運用されており、計数にも誤りはなかった。
静岡県公営企業決算審査意見書の概要
地方公営企業法第30条第2項の規定に基づき審査に付された平成30年度静岡県公営企業の決算を審査し、その結果について、令和元年9月9日に知事へ意見書を提出しました。
意見書全文については、次のページをご確認ください。
静岡県公営企業決算審査意見書の概要
1.審査の対象
- 平成30年度静岡県工業用水道事業
- 平成30年度静岡県水道事業
- 平成30年度静岡県地域振興整備事業
- 平成30年度静岡県立静岡がんセンター事業
2.審査の期間
令和元年7月22日から令和元年8月30日まで
3.審査の方針
平成30年度静岡県公営企業の決算審査は、次の点に重点を置き、関係諸帳票及びその他証拠書類の照査、関係当局から聴取等を行うとともに、定期監査及び例月出納検査等の結果も考慮し実施した。
- 決算報告書及び財務諸表は、地方公営企業法等関係法令に準拠して作成されているか
- 決算報告書及び財務諸表は、経営成績及び財務状態を適正に表示しているか
- 各事業は、地方公営企業法第3条の経営の基本原則の趣旨に従って運営されているか
4.審査の結果
工業用水道事業ほか3事業の決算報告書及び財務諸表は、いずれも地方公営企業法等関係法令に準拠して作成され、平成31年3月31日現在の財政状況及びその日をもって終了する事業年度の経営成績を適正に表示しているものと認める。
また、一部に厳しい経営状況の事業もあるが、各事業は、地方公営企業の基本原則の趣旨に従い、おおむね適正に運営されているものと認める。
5.審査の意見
(1)工業用水道事業
工業用水道事業は、当年度純利益が前年度比3,270万5千円(11.1%)の増益となったが、固定資産売却による特別利益を除いた経常損益では前年度比2億2,113万円(95.8%)の減益となり、経営状況は厳しいものとなっている。
工業用水道別に見ると、7工業用水道のうち赤字基調であった中遠、西遠及び湖西を含む4工業用水道で当年度純損益が前年度より改善している一方で、黒字基調であった富士川及び東駿河湾工業用水道事業では純利益が前年度より減少している。特に、経常収益の半分を担っている東駿河湾工業用水道事業では、大口受水企業の利用廃止等による給水収益の減少により昭和55年度以来の赤字となった。
今後、経済情勢の変化や節水技術の向上等により、中長期的には給水収益の減少が見込まれることに加え、老朽化する施設等の大規模な更新に莫大な費用を要するなど、さらに厳しい経営状況が見込まれる。
このような状況の中、平成29年度に「水道施設更新マスタープラン」に基づく「第5期長期修繕・改良計画」、及びそれを踏まえた平成30年度から10年間の経営の基本計画である「経営戦略(第4期中期経営計画)」を策定している。
こうした点を踏まえ、事業の経営について次のとおり意見を述べる。
- 大口受水企業の利用廃止等により経営状況が一層厳しさを増しているため、「経営戦略(第4期中期経営計画)」に基づいて、経費削減や新規需要開拓等の取組を計画的に行い、将来に亘る経営の健全化に努められたい。
- 工業用水の安定供給や地震等による災害の軽減に資するよう、「第5期長期修繕・改良計画」や「第3期耐震計画」に基づき、施設更新や耐震化を実施しているが、引き続き計画的かつ効率的に実施されたい。
(2)水道事業
水道事業は、当年度純利益が前年度比1億611万5千円(8.6%)の減益となった。
3水道事業すべてにおいて黒字経営を維持しているものの、給水量は前年度と比較して110万1千立方メートル(1.4%)減少している。
また、今後、施設や設備の更新時期を迎えることから、費用の増加が見込まれる。
こうした点を踏まえ、事業の経営について次のとおり意見を述べる。
- 黒字経営が安定して継続しているが、今後、人口減少等の影響による水需要の低下や管路等施設の大規模更新を行うにあたっての費用の増加が見込まれている。
このことから、「経営戦略(第4期中期経営計画)」に基づいて経費削減に取り組み、将来に亘る健全経営の維持に努められたい。
- 水道事業は、県民の生活に密着した重要なライフラインであり、近年、全国的に大きな災害が発生している中で、ライフラインの確保や早期復旧はきわめて重要なテーマになっている。このことから、「第5期長期修繕・改良計画」や「第3期耐震計画」に基づいて、施設の更新や耐震化を計画的に進めるとともに、災害や事故に強い体制の維持に努められたい。
(3)地域振興整備事業
地域振興整備事業は、レディーメード方式による「富士山麓フロンティアパーク小山」については8区画のうち4区画の分譲が完了し、オーダーメード方式による「長泉南一色」、「清水町久米田」及び「森中川下」についてはすべて分譲が完了した。これにより、土地売却がなく赤字であった前年度と比較して当年度純利益は6億261万5千円の増益となった。
平成29年度から着手したセミ・オーダーメード方式による「藤枝高田」については、造成工事に着手し計画に沿って進捗している。
こうした点を踏まえ、事業の経営について次のとおり意見を述べる。
- 「富士山麓フロンティアパーク小山」については、早期完売へ向けた取組をより一層強化されたい。
- 着手している事業については、関連する市町と連携し、計画に沿った事業の推進に努められたい。また、新たな工業用地の開発についても、関連する市町と連携し、企業等のニーズを把握し的確に対応されたい。
(4)静岡がんセンター事業
静岡がんセンターは、本県がん対策の中枢を担う高度がん専門医療機関として、平成14年9月に313床で開院した。現在まで段階的に増床を重ねた結果、平成29年度に607床となり、615床の全床開棟まで残り8床となっている。
また、平成30年度の経営状況は、病院事業については利益を生じたが、研究所事業の損失を補うまでには至らなかった。結果として全体で1億2千6百万円余の純損失が生じ、未処理欠損金も増加している。
こうした点を踏まえ、次のとおり意見を述べる。
- 平成30年度の病院事業の純利益は、前年度から改善した。しかし、研究所事業の損失を含めた全体では損失が継続しており、当年度未処理欠損金が35億円余となっている。
未処理欠損金の解消には、病院事業の一層の収益向上が望まれる。新公立病院改革プランに掲げた数値目標の一部が達成できていないため、経営戦略会議等による点検・評価を行い、更に効率的な病院経営に取り組まれたい。
- 過年度未収金は、前年度に比べ3,727千円余減少しているが、1億1百万円余と多額である。引き続き、新たな収入未済の発生防止と早期回収に努められたい。
- 平成30年度の稼働病床数は607床であり、残る8床はGICUである。全床開棟に向けて、手術数の増加に必要な麻酔科医師等、配置定数に対して不足している医師の確保対策に努められたい。
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