令和6年度内部統制評価報告書の審査(令和7年度実施)

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ページID1078337  更新日 2025年12月23日

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内部統制評価報告書審査意見書の概要

地方自治法第150条の規定に基づき審査に付された令和6年度静岡県内部統制評価報告書について審査し、その結果について、令和7年9月11日に知事へ意見書を提出しました。

意見書全文

内部統制評価報告書審査意見書の概要

1.審査の対象

令和6年度静岡県内部統制評価報告書及び参考資料

2.審査の期間

令和7年8月6日から令和7年9月9日まで

3.審査の着眼点

令和6年度内部統制評価報告書について、知事による評価が評価手続に沿って適切に実施されたか、内部統制の不備について重大な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われているかといった観点から検討を行い、審査した。

4.審査の結果

「静岡県監査委員監査基準」に準拠し、「地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン」(平成31年3月(令和6年3月改定)総務省)の「V 監査委員による内部統制評価報告書の審査」に基づき、必要に応じて関係部局に説明を求めるとともに本庁及び出先機関の定期監査において得られた知見を利用し、審査した限りにおいて、評価手続に係る記載は概ね相当であると認める。評価結果に係る記載は以下の事案を除き、概ね相当であると認める。

  1. 財産台帳等への記載漏れについて(健康政策課)
    公立大学法人静岡社会健康医学大学院大学の出資金約26億円に関して、財産台帳等への記載が漏れていた件について、「財産台帳の登録・更新漏れ」をリスクの対象とする以前に発生したことを理由に、内部統制の不備として評価されていない。
    しかし、財産台帳等への記載は、「静岡県の内部統制に関する方針」に定められた財務に関する事務であり、内部統制の対象事務に該当すると思われる。
    当該事案について、重大な不備に該当するか再度確認し、重大な不備に該当する場合は、内部統制評価報告書に記載することを検討されたい。
  2. 地方職員共済組合負担金の過払いについて(職員厚生課(旧:福利厚生課))
    令和5年度に発覚した、約3千万円の地方職員共済組合負担金の過払いについて、地方職員共済組合静岡県支部(以下「共済組合」と言う。)が主体となって行った事務であることから、知事の権限が及ぶ範囲外と判断され、評価されていない。
    しかし、請求書の作成事務は共済組合の担当であっても、県は支出の際に請求書に記載された金額の確認事務を行わなければならず、その確認事務は評価の範囲内であると考える。
    県が行うべき事務の執行にも不備があったことが一因となり、過年度の県の財政に過大な負担を与えたことから、重大な不備に該当するか確認し、重大な不備に該当する場合は内部統制評価報告書に記載することを検討されたい。

5.重大な不備

期間中に運用上の重大な不備が5件発生しており、その概要は以下のとおりであるが、既に改善措置を講じていることを確認した。

  1. 通勤手当の不正受給(知事直轄組織)
    当該職員は、令和2年4月から令和6年4月までの49か月間、通勤届では往路復路ともバスを利用する旨を届け出ながら、自転車で通勤し、通勤手当の差額273,888円を不正に受給した。
  2. 通勤手当の不正受給(危機管理部)
    当該職員は、令和2年4月から令和6年6月までの51か月間、通勤届では往路復路ともバスを利用する旨を届け出ながら、自家用車で通勤し、通勤手当の差額243,147円を不正に受給した。
  3. 通勤手当の不正受給(危機管理部)
    当該職員は、令和2年8月から令和6年10月までの51か月間、通勤届では往路復路ともバスを利用する旨を届け出ながら、復路は自家用車で帰宅し、通勤手当の差額26,798円を不正に受給した。
  4. 通勤手当の不正受給(経済産業部)
    当該職員は、令和3年4月から令和6年9月までの42か月間、通勤届では定期券を利用する旨を届け出ながら、高齢者割引制度を利用し低料金で電車を利用し、通勤手当の差額450,704円を不正に受給した。
  5. 軽油引取税の課税誤り(経営管理部)
    前例踏襲による事務執行となっており、法令、規則等の確認を怠った結果、平成23年12月から令和6年11月までの13年間で50,964千円の課税誤りが生じた。

6.その他

地方自治法の改正により内部統制制度が法定化され、今回で内部統制評価報告書の審査は5回目となった。今回の審査において、重大な不備の判断等に関し、改善が必要と判断されたため、次の各事案について、意見を述べる。

  1. 全庁的な内部統制のあり方について
    令和2年度から5年連続して、財務に関する事務について運用上の重大な不備が発生しており、内部統制は有効に運用されていないと判断されている。
    業務レベルの重大な不備が連続して発生している背景には、統制環境等、全庁的な内部統制に問題があることが原因ではないかと考える。推進部局及び評価部局において、全庁的な内部統制の評価項目のうち、「組織は、リスクの評価及び対応において決定された対応策について、各部署における状況に応じた具体的な内部統制の実施とその結果の把握を行っているか。」及び「組織は、内部統制の基本的要素が存在し、機能していることを確かめるために、日常的モニタリング及び独立的評価を行っているか。」を改めて確認されたい。
    また、不備があった事例の統制活動については、表層的な原因分析ではなく、根本的な問題点を洗い出し、再発防止策を構築されることを期待する。ダブルチェックやチェックリストによる対策では、職員に追加の負担を強いる等、時間外勤務の増加や業務の停滞に繋がるおそれがあるため、チェック業務をシステム化するなど、費用対効果を踏まえて効率的な対策を検討していただきたい。
  2. 個人情報に関する取扱いについて
    昨年度の審査意見書において、慎重な取扱いが求められる個人情報に関する取扱いについては、より適切な判断基準を設け、評価することを検討されたいと意見を述べた。この意見について、一律の基準を設けることは難しいとの回答であった。
    重大な不備の判断基準として、既に経済性の基準(県及び県民に対し、概ね500万円以上の不利益を生じさせたもの)及び信頼性の基準(県民全体の信頼性を大きく損なう蓋然性が高いもの、故意又は重大な過失が確認できるもの)が定められている。
    現状では情報の管理に関する事務における不備を金額換算することが困難であるが、民間企業が利用するような損害額算出モデルを導入することにより、情報漏えい事案を経済性の基準で判断できる可能性がある。
    情報の管理に関する事務における不備について、経済性の判断基準を活用できる取組を検討されたい。

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