衛星とAIを活用した不法投棄未然防止等対策事業
不法投棄は、監視の目をかいくぐるため、早朝や夜間の時間帯に行われることが多く、また人目につきにくく、管理が行き届かない土地などが狙われます。このような事案は、発見が遅れることで大規模化したり、行為者の特定が難しくなったりするなど、解決が困難となるおそれがあります。
そのため、県では令和6年度に賀茂・東部地域(一部地域を除く。)において、光学衛星とAIを活用した不法投棄未然防止等対策事業を実施しました。これは、通常監視やパトロールでは発見することが難しい不法投棄の疑いがある場所を光学衛星画像からAI等を用いて検出するものです。また、過去の不法投棄事案と道路情報や地形などの地理的情報を組み合わせ、不法投棄の発生が懸念されるエリアを面的に示した「不法投棄懸念箇所マップ」を作成しました。今後は、これらを活用し不法投棄の早期発見、未然防止につなげていくとともに、効率的な監視体制を確立します。
AI等による抽出について
賀茂・東部地域(一部地域を除く。)において、二時期の光学衛星画像とAI等を活用し、不法投棄の疑いがある箇所を抽出しました。
1 抽出方法
(1) AI解析
県及び市町が把握する過去の不法投棄情報(※教師データ)を基に、一時期目(期初)の衛星画像等を用いて、AI学習させます。学習後のAIを用いて、二時期目(期末)の衛星画像から不法投棄懸念箇所を判読させます。
※教師データとは、AI判読の精度を上げるために行う学習に利用するデータのこと。
○参考 AIが不法投棄懸念箇所として抽出した衛星画像一例
(2) NDVI-GSI解析
AI解析の補完作業として、植生指標(NDVI)と粒度指標(GSI)の2つの指標を用いたテクスチャー解析を実施しました。一時期目と二時期目の衛星画像を数値化し、その値の差分を算出して、主に植生から裸地に変化した箇所を抽出しました。
(3) 目視判読
AI解析やNDVI-GSI解析により抽出した箇所の正確性を向上させるため、目視による補完作業を実施しました。
2 抽出結果
これら解析の結果、269の不法投棄懸念箇所(賀茂地域27箇所、東部地域242箇所)が抽出されました。
※これら箇所については、今後不法投棄の事実を確認するため、広く公表せず、関係機関との情報共有に留めています。
不法投棄懸念箇所マップについて
過去の不法投棄事案や道路情報、地形・森林縁などの地理的情報を基に、今後不法投棄が懸念されるエリアを示した「不法投棄懸念箇所マップ」を作成しました。このマップは、人口やアクセスの容易さなどから不法投棄の発生確率が高いエリアを算出し、マップ上に展開したものです。また市町ごとのマップを別途作成し、関係市町と共有しています。今後は、発生確率が高いエリアを中心に効率的なパトロールを実施し、未然防止策を講じていきます。
(参考)
発生確率が低いエリアは白~緑
発生確率が高いエリアは黄~赤
今後の対応について
1 不法投棄の早期発見・解決
AI等により抽出した不法投棄懸念箇所を現場確認し、不法投棄の有無等を調査します。不法投棄が疑われる場合には、行為者の特定、土地所有者への指導・注意喚起などの対応に努めます。
2 不法投棄の未然防止
不法投棄懸念箇所マップを活用し、県、市町、関係機関と連携しながら、効率的にパトロールを実施します。草が生い茂っている場所やポイ捨てが既に行われている場所など、特に不法投棄が発生しやすい場所については、監視カメラや看板の設置、土地所有者に注意喚起を行うなど、不法投棄がされにくい環境を整えます。
このページに関するお問い合わせ
くらし・環境部環境局廃棄物リサイクル課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
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