静岡県カスタマーハラスメント防止条例
条例の趣旨
- 静岡県は、温暖な気候と富士山、駿河湾、浜名湖などの豊かな自然の中で多彩な産業を展開し、県民一人ひとりのたゆまぬ努力と誠意によって発展を遂げてきた。今後も静岡県が持続的に発展していくためには、誰もが安心して生き生きと働くことができる環境を整備することが必要不可欠である。
- しかしながら、近年、顧客等からの正当な理由がない過度な要求、暴言、長時間の拘束などのカスタマーハラスメントに係る問題が深刻化している。
- カスタマーハラスメントは、就業者の人格又は尊厳を害するだけでなく、働く意欲の低下、離職による人材不足及び安定した事業活動への支障を生じさせ、静岡県の持続的な発展に悪影響を及ぼすものである。
- そこで、県、事業者、就業者及び顧客等が一体となり、何人も、あらゆる場においてカスタマーハラスメントを行ってはならないという共通認識を持ちながら、カスタマーハラスメントの防止に向けて取り組む必要がある。
- もっとも、顧客等からの正当な苦情、要望等は、商品の品質又はサービスの改善につながるものであり、顧客等の権利の保護に十分配慮することも重要である。
- このような認識の下、就業者と顧客等が互いに尊重し合いながら、カスタマーハラスメントのない持続可能な社会の実現を図るため、この条例を制定する。
各条項で定める内容
第1条 目的
カスタマーハラスメントの防止について、基本理念を定め、県、事業者、就業者及び顧客等の責務を明らかにするとともに、カスタマーハラスメントの防止に関する基本的な事項を定めることにより、顧客等の権利の保護に配慮しつつ、就業者の安全及び心身の健康並びに事業者の安定した事業活動の確保を図り、もって持続可能な社会の実現に寄与することを目的とする。
第2条 定義
【事業者】
事業者県内で事業を行う法人その他の団体又は個人
【就業者】
就業者県内で業務に従事する者(事業者の行う事業に関連し、県外でその業務に従事する者を含む。)
【顧客等】
顧客等就業者から商品又はサービスの提供を受ける者(その提供を受けようとする者を含む。)その他の就業者の従事する業務に関係を有する者
【カスタマーハラスメント】
カスタマーハラスメント顧客等の言動のうち、就業者の従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものであって、当該就業者の就業環境を害するもの
第3条 基本理念
- カスタマーハラスメントは、就業者の人格又は尊厳を害する等就業環境を害し、事業者の安定した事業活動に影響を及ぼすものであるとの認識の下、社会全体でその防止が図られなければならない。
- カスタマーハラスメントの防止に当たっては、就業者と顧客等が対等の立場において相互に尊重し合うことを旨としなければならない。
第4条 カスタマーハラスメントの禁止
何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはならない。
第5条 適用上の注意
この条例の適用に当たっては、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意しなければならない。
第6条 県の責務
- 基本理念にのっとり、カスタマーハラスメントを防止するために必要な施策(カスタマーハラスメント防止施策)を実施するものとする。
- カスタマーハラスメント防止施策の実施に当たっては、国、市町その他の関係機関との連携に努めるものとする。
第7条 事業者の責務
事業者は、以下の事項に努める。
- 基本理念にのっとり、カスタマーハラスメントに係る問題に対する就業者の関心と理解を深めるとともに、県が実施するカスタマーハラスメント防止施策に協力する。
- カスタマーハラスメントにより就業者の就業環境が害されることのないよう、必要な体制の整備、カスタマーハラスメントを受けた就業者の安全の確保、カスタマーハラスメントを行った顧客等に対する当該行為の中止の申入れその他の必要な措置を講ずる。
- 事業者の行う事業に関して、就業者が顧客等としてカスタマーハラスメントを行わないように必要な措置を講ずる。
- 他の事業者からカスタマーハラスメントの防止に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずる。
第8条 就業者の責務
就業者は、以下の事項に努める。
- 基本理念にのっとり、顧客等の権利を尊重し、カスタマーハラスメントに係る問題に対する関心と理解を深めるとともに、カスタマーハラスメントの防止に資する行動をとる。
- 事業者が講ずるカスタマーハラスメントの防止に関する措置に協力する。
第9条 顧客等の責務
顧客等は、以下の事項に努める。
- 基本理念にのっとり、カスタマーハラスメントに係る問題に対する関心と理解を深めるとともに、就業者に対する言動に必要な注意を払う。
- 県が実施するカスタマーハラスメント防止施策に協力する。
第10条 施策の推進
- 県は、以下に掲げるカスタマーハラスメント防止施策を実施する
- カスタマーハラスメントの防止に関する指針の策定
- カスタマーハラスメントの防止に係る支援の事業等に関する情報の提供
- カスタマーハラスメントの防止に資する行動に関する啓発及び教育
- カスタマーハラスメントの防止に関する相談及び助言
- 前各号に掲げるもののほか、カスタマーハラスメントを防止するために必要な施策
- 県は、カスタマーハラスメント防止施策を効果的に推進するため、カスタマーハラスメント防止施策の実施及び当該実施状況等の検証に当たっては、学識経験者、経済団体、労働者団体、消費者団体その他の関係者の意見を聴き、カスタマーハラスメント防止施策に反映するよう努める。
第11条 財政上の措置
県は、カスタマーハラスメント防止施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努める。
施行日
令和8年4月1日
見直し規定
知事は、カスタマーハラスメント防止施策の実施状況その他社会経済情勢の変化を勘案し、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
条例全文・指針
静岡県カスタマーハラスメント防止条例(静岡県条例第48号)
カスタマーハラスメントの防止に係る指針(仮称)
条例第10条第1項第1号の規定に基づき、各主体の責務、県の施策、事業者の取組その他カスタマーハラスメントを防止するため必要な事項について定める指針を、条例施行日(令和8年4月1日)までに策定する予定です。
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このページに関するお問い合わせ
経済産業部就業支援局産業人材課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2817
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