しずおか文化財ナビ 梵鐘(平治二年の陽鋳銘あり)
- よみ
- ぼんしょう(へいじにねんのようちゅうめいあり)
- 指定区分、指定種別
- 県指定/有形文化財 ・ 工芸品
- 指定日
- 2023年4月7日
- 員数
- 1口
- 所在地
- 静岡県袋井市浅名1021番地(袋井市郷土資料館)
- 一般公開有無
- 有
- 駐車場の有無
- 有
- 公開情報
- 施設内で公開(入場無料)
所有者情報
- 袋井市
- 〒437-0013袋井市新屋一丁目1番地の1
- 電話番号:0538-23-9264
文化財の説明
本梵鐘は昭和58年(1983)に袋井市岡崎において、重機による茶園改植中に偶然地中から発見された。出土時に生じた欠損部分はあるが、鋳造状態及び遺存状態は良好である。
梵鐘は鋳銅製で、2匹の龍を鋳出した龍頭を持ち、笠形は明瞭な段はなく、ゆるやかに盛り上がる。4段4列4面の乳が配置され、池の間の3面には220字の陽鋳銘が記される。撞座は龍頭と直交する方向に2か所配置される。
池の間の銘文には、平治元年(1159)に三河国東紇哩岡寺(現豊橋市舟形山普門寺)へ下賜された梵鐘を、翌平治2年に寄進の銅を加えて再鋳したことが記されており、寺院を中心とした地域史を知る一級資料といえる。平安時代の紀年銘を持つ作品は、県内はもとより、全国的に見ても稀少である。
銘文の内容から、紀年銘がただちに製作年代を示すものではないとも考えられるが、龍頭と撞座の位置関係や乳の形状などの形態的特徴から、平安時代末期頃に製作されたことは間違いない。ただし、笠形の形状や撞座の位置などにはやや新しい要素があり、平安時代から鎌倉時代へと至る鋳造技術の過渡的な要素もうかがえる。
本物件は、本県における最古級の梵鐘として当時の鋳造技術の水準を示し、さらに銘文に記された鋳造経緯は歴史的にも重要な資料である。
【法量】総高92.4cm、鐘身高75.1cm、口径53.0cm
地図情報
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