あなたの「富士山物語」（大きな夢／影島詢）

大きな夢／影島詢

中学生の時までは、玄関のドアを開けると目の前にそびえ立つ、雄大な富士山をいつも見ていた。浜松の高校の寮に住んでいる今は、帰省すると、目の前に迫ってくる優美な富士山に、中学生の時までは感じたことのなかった感情を抱かされる。こんなに美しいものだったのか、こんなに大きかったのかと。しかも、笠雲がかかっていたり、夕日で美しく染まっていたりと、帰るたびに違う姿で僕を迎えてくれるこの山は、他にはない、本当にすばらしい山だと心から思っている。

しかし、一方で、ゴミで汚された山としても有名で、特に海外の山を愛する人たちから汚い山だと思われている現実がある。僕は、人が汚したこの山を本来の優美な姿に人の手で戻す活動をしたい。それが僕のひとつの夢でもあり、願いでもある。まだ学生で、大きな行動を起こすことはできないが、絶対にやり遂げたいと思っている。

僕は、これまでに三回富士山に登ったことがある。最初はたいへんで、とてもつらかったけど、あきらめないで頂上まで登ると、あんなにたいへんだったのに、自分でもわからない何かにひきつけられ、二回、三回と登り、そのたびに達成感と自分の成長を大きく感じることができた。見た目の美しさだけではなく、人をこんなにもひきつけるこの山が、汚い山だという目で見られてしまうのは本当に悲しいことだ。僕は、この現実を変えるために富士山を世界遺産にしたいと思っている。みんなで努力し、世界遺産に登録されたとき、世界の人たちから「日本人は努力して自分たちの手で日本のシンボルを美しくした。」と言われたい。

静岡県では、文化遺産としての登録を目指しているが、僕は、この日本の山「富士山」はやはり自然遺産として登録させたい。これは本当に難しいことだろう。しかし、あきらめずに行動を続けることで、その夢をかなえ、初めて富士山の頂上に立った時以上の大きな達成感を味わいたいと思っている。