あなたの「富士山物語」(富士山と私の人生五十数年/野村勝良)

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ページID1019381  更新日 2023年1月13日

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富士山と私の人生五十数年/野村勝良

私は、奈良県出身、初めての富士山を眺めたのは、小学生のころ約五十年前である。

絵描きを習っていたため、その絵画塾主宰で今は亡き母親と出かけた思い出がある。その頃は、新幹線も東名高速もない時代で、確か奈良から夜行列車で八時間くらいかけて熱海に早朝到着。富士五湖を遊覧し、富士演習場の自衛隊宿舎の一般開放か何かで、そこに宿泊した思い出がある。夕方真っ赤に染まる富士山を眺めた美しさは今でも忘れられない。

次に富士山に行ったのは、銀行に就職し同僚と週末、車で富士五合目まで行き、夜中登りつづけ、なんとか頂上でのご来光、がんばった後の達成感もあり、感無量でリフレッシュできた気がする。帰りは、砂走りを軽快に月面散歩のように大股で降りてきたのもいい思い出となっている。

一昨年、のべ十四年半の香港・中国勤務を終え大連より帰国した。

中国でも中国三大名山のひとつである泰山に日帰りで登頂を試みた。長い階段が頂上まで続き、圧巻で富士山の登頂を思い出しながら頑張った。

今、中国人が好んで富士山を見にくるのも中国には、残念ながら、あのやさしいおだやかな形をした富士山のような名山が無いからなのかもしれない。中国人もゆとりときれいな空を求めて、日本の観光に安らぎを求めていると聞く。

昨年は、横浜駅近くのマンションに引っ越した。我が家で一番富士山がきれいに見える食卓で、夕日に染まる富士山を見、ビールを飲めば至福の気分となる。忙しい仕事を忘れ自然と戯れるのは、ますます現代社会に重要になってきているように思える。

つい先日、久々に、中年ライダー達と富士山新五合目を訪れた。仲間が言うには、あまりにも登山客が多くトイレが足りず長蛇の列らしい。トイレ近くはアンモニア臭もあるようで、頂上付近でこれでは気分爽快も半減だろう。

ますます海外からも富士登山客が増えると思う。管理する側も大変だろうが、一刻も早く整備を急いでもらいたい。

登る人のマナー改善も大事だが、受け入れる側の努力も実って初めて、誰もが誇れる日本一の富士山となろう。

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