4.リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全

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ページID1054268  更新日 2023年5月19日

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令和5年5月県議会臨時会知事提案説明要旨

【4.リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全】

次に、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。

先月26日の県地質構造・水資源専門部会では、JR東海が山梨県側から本県に向けて進めている高速長尺先進ボーリングについて、対話が行われました。委員から、「山梨県側へ流出する水の戻し方を予め決めてから削孔するべきである」との指摘に対して、JR東海からは「懸念が払拭できるように努めていきたい」という説明のみでありました。また、「山梨県内のボーリングで発生する湧水が静岡県の地下水である根拠を科学的に示すことは可能である」との委員の見解に対しても「やり方も含めて考えていきたい」という説明にとどまっております。このため、今月11日、私からJR東海の丹羽(にわ)俊介(しゅんすけ)社長に対し、本年1月31日付けで本県から文書で要請していた、ボーリングにより山梨県側へ流出する水の戻し方等について対話を加速するよう、また、この対話による合意がないまま、一方的にボーリングを進めることのないよう、改めて強く要請したところであります。本県の地下水が流出する懸念の解消に向け、引き続き対話を進めてまいります。

また、先月14日、大井川利水関係協議会は、田代ダム取水抑制案について、JR東海が示した東京電力リニューアブルパワーとの協議開始の前提条件に対し、一定の修正があれば了解することとし、その旨を県からJR東海に通知しました。その後、JR東海から修正内容について照会があったことから、速やかに対応しているところであります。引き続き流域市町や利水者と情報共有を図りながら、一体となって、取り組んでまいります。

生態系への影響につきましては、本年2月及び4月に開催された国の環境保全有識者会議の中で、大井川上流部の地下水位変化による水生生物への影響などについて、JR東海から具体的な調査方法などが示されました。しかしながら、これまでの県からの意見や、生物の生息に影響する沢の流量の解析手法など、委員から指摘のあった重要な点が、十分反映されておりませんでした。特に、発生土置き場については、ツバクロにおいては、専門家等により、深層崩壊による影響を受けるおそれがあると指摘されており、また、要対策土を処分する藤島は、本県の盛土規制条例上認められないものであり、これを前提とした議論を進めることは不適当です。

このため、県は、専門部会委員の意見を伺い、今月12日に国土交通省に対して、議論を進める上での留意点や課題等について意見書を提出したところであります。今月16日に開催された国の環境保全有識者会議では、沢にいる水生生物への影響など、引き続き議論が行われました。県の意見が一定反映されたものの、水質・水温の生態系への影響分析等については、十分反映されておりませんでした。本県における生態系への影響の回避・低減に向け、今後も必要な意見をしっかりと主張してまいります。

引き続き、リニア中央新幹線の建設と、大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため、国と協力してJR東海との対話を進めてまいります。