安全・安心に暮らせる未来を
これまでの整備で大きな成果がありました。
流域に多くの人たちが生活する巴川は、市街化が急速に進む典型的な都市河川で、平坦な平野部を流れているため、洪水が流れにくく、一度水害が発生すると甚大な被害が生じていました。
こうしたことから昭和57年に流域整備計画を策定し、流域のみなさまのご協力を得て治水対策を進めた結果、平成10年台風5号の際の浸水戸数を、この時の2倍近い降雨があった平成16年台風8号時にも2分の1以下に減らすことができ、大きな効果を発揮することができました。
河川整備計画及び流域水害対策計画でさらなる成果を
静岡県では、流域の洪水に対する安全度をさらに向上させるため、流域のみなさまのご意見・ご参画を得ながら、河川整備計画及び流域水害対策計画の実現に取り組んでいます。
巴川を知る
静岡・清水平野を流れる巴川は、川の勾配が緩く流下能力が低いため、洪水を起こしやすい川となっています。
また、巴川流域には多くの人口と資産が集中し、その数は年々増加の一途をたどっています。
このように都市化した流域では、ひとたび大洪水に襲われると、その被害は甚大なものとなります。
流域全体で考える
流域に暮らす約34万人の大切な生命と財産を恐ろしい水害から守るために 治水安全度の向上の視点から、中長期的なビジョンと確かな技術で わたしたちはさまざまな治水対策に取り組んでいます。
巴川流域総合治水対策
総合治水対策は、急激に市街化が進んでいる都市河川における緊急的な治水対策です。
巴川は、昭和30年代からの人口の増大及び市街化に伴い洪水が頻発したことから、全国に先駆けて流域も含めた治水という総合治水対策を推進しています。
域全体で考える(ハード)
河川における治水施設整備を強力に推進しています。
- 雨水を安全に流すため、河床を掘削し、川幅を広げる河道改修を進めています。
- 下流部の負担を軽減するため、放水路を整備しています。
- 洪水時の水位を下げるため、遊水地を整備しています。
- 開発に併せて調整池を整備しています。
- 川へ流れでる雨水の量を減らすため、雨水貯留施設を整備しています。
流域全体で考える(ソフト)
流域の特性にあわせた対策を講じています。
- 市街地の無秩序な拡大を抑え、開発の際に保水機能を維持するため、土地利用の規制をしています。
- 水田などの盛土による遊水機能の減少を防止するため、盛土の抑制を推進しています。
- 浸水被害が最小限ですむように、低地地域のピロティ建築や高基礎建築などの施設の耐水化を促進しています。
- 洪水到達時間の短い都市河川に適した情報管理システム、洪水予警報システムを確立していく予定です。
- 流域のみなさまがより的確に浸水の危険性を認識できるよう浸水予想区域図を公表しています。
治水の未来計画
雨水貯留施設
これまでの取り組み
総合的な治水対策を目指して、昭和57年に策定された流域整備計画は、おおむね5年に1度起こりうる大雨(58mm/hr)によってもたらされる浸水被害から流域を守る。という大きな使命をおった治水計画でした。
策定から22年を経た平成16年には、流域整備計画に基づき整備された放水路、遊水地などの治水施設は、わたしたちのまちを恐ろしい洪水から守ってくれています。
大谷川放水路完成!浸水被害が減りました!
県内各地に大雨をもたらした平成16年6月の台風8号。
平成11年5月に完成した大谷川放水路に上流域の雨が分水され、平成10年9月の2倍近い降雨となりましたが、中下流部の浸水被害が大幅に減少しました。
でも まだまだ安心はできません。
流域に今、もっと大規模な大雨が降ったら?
5年に1度起こりうる大雨(58mm/hr)に対処する整備がほぼ済みましたが、もし、今、10年に1度起こりうる大雨(69mm/hr)が巴川流域に降ったら、400haが浸水する可能性があります。
治水の未来計画
【現在の取組】
さらに安全・安心して暮らせるまちをめざしておおむね10年に1度起こりうる大雨(69mm/hr)をはじめ将来的には50年に1度起こりうる大雨(92mm/hr)によって もたらされる甚大な浸水被害から流域を守るために、経済性と緊急性を考えて、段階的に整備していきます。
より安全に、より安心してみなさまが暮らせるように。
子どもたちの光輝く未来のために。
河川整備基本方針と河川整備計画
巴川水系の治水・利水・環境のバランスのとれた魅力ある河川づくりを目指して、平成21年4月に「河川整備基本方針」を策定しました。
また、この河川整備基本方針に基づいた概ね20年間の河川整備目標である「河川整備計画」を、地域の皆さんの意見を聞きながら平成22年3月に策定しました。
流域水害対策計画
巴川流域に「特定都市河川浸水被害対策法」を適用し、平成21年4月に巴川、大沢川、大谷川放水路を特定都市河川、巴川流域を特定都市河川流域に指定しました。
「流域水害対策計画」は同法に基づいて、河川管理者・下水道管理者などが共同で平成22年3月に策定した浸水被害防止を図るための計画で、 今後さらに流域での連携を強化し、総合的な浸水被害対策を実施します。
地域特性を考える
流域整備計画では、流域を河川との関わり合いの違いによって分類し、その分類ごとに有効な対策を実施することにしています。
例えば、上流部では降った雨を浸透あるいは滞留させ、中流部では河川に流下集中してきた雨水を遊水・貯留させることにより洪水を軽減させ、下流部においては河川の氾濫を押さえるというように違っています。
巴川では、土地利用状況と地域特性等を総合的に勘案し、保水地域、遊水地域、低地地域に分類し、それぞれの地域ごとでの対策を整備計画に盛り込んでいます。
保水地域
森林、雑木林などに降った雨は、その一部が地中に浸透し、水量を減らしながら、緩やかに川へと流れていきます。こうした働きを保水機能といい、保水機能を持っている地域を保水地域といいます。
【整備方針】
平坦部の農地は市街化が急激に進行して減少の一途をたどっており、保水機能は、山間樹林地に頼るほかないのが現状です。
このため、保水機能を持つ樹林の伐採や農地造成等にあたっては、雨水の流出を増大させないよう規模に応じて規制する他、可能な限り保水機能の増進を図るための雨水貯留施設の整備を実施します。
低地地域
低地地域は、川沿いの低い市街地のような地域をいい、雨水が流域にとどまったり、川からの流水が流れ込んだりすることで、浸水被害を引き起こす地域のことです。
【整備方針】
低地地域の市街地については、可住地余力が少ないという地形的制約を持ちながらも、今後とも宅地の需要が続くと思われます。
このため、適正な市街地の土地利用を図るためにも市街地開発事業等を積極的に行うとともに、交通網の整備により効率的な土地利用を図りつつ、貯留施設の整備を行います。
また、この地域は比較的浸水が生じやすい地域であることから内水排除施設の整備を行うとともに、建築物の耐水化等の水害に強いまちづくりを実施します。
遊水地域
水田など、降った雨や、川および水路から流れてくる水を一時的に貯留する働きを遊水機能といいます。
遊水地域は、雨水や川からの流水が一時的にとどまって、川の負担を軽くする、そうした機能を備えている地域です。
【整備方針】
巴川流域では、大きく分けて麻機地区と巴川低地地域の2つの遊水地域があります。
これらの地域では現在有している遊水機能の保全に努めるとともに、遊水機能を確保するための遊水施設の整備を図ります。
川とつながる
川は今、環境学習の生きた教科書、生涯学習のステージとして、改めてその魅力に注目が集まっています。
巴川では、川を、自然を愛する多くの人々が、川に集い、川に親しみ、学んでいます。
川で憩う
【ふれあい・にぎわい 都会のオアシス巴川】
土手を美しいソフトイエローに染める菜の花畑、水辺をたわむれる水鳥たち、心地よいリズムを刻む川の流れ。
巴川は四季折々の表情を持ち、いつも私たちの目を、耳を楽しませてくれます。
川で学ぶ
【静岡市治水交流資料館[かわなび](駿河区大谷)】
治水対策事業や過去の水害についての学びの場を提供し、市民の皆様の防災意識の向上を促し、災害に強いまちづくりの推進を図ることを目的とした施設です。
入館料/無料
休館日/月曜日(祝日の場合は、翌日)
及び12月27日~翌年1月4日
問合せ/電話.054-237-1322
川の恩恵を受ける
【浅畑沼の冬の風物詩「柴あげ漁」】
『柴あげ漁』とは、浅畑沼に古くから伝わる漁法です。
初秋のうちに沼の中に柴(木の枝を束ねたもの)を沈め、冬になって魚が寒さを避けて潜り込んでいるところを捕獲するものです。
このような伝統漁法を守り伝えようと、各地区の柴上げ保存会の方々が毎年1月から2月の天気の良い日に、『柴あげ漁』を実演するイベントを開催しています。
川で体験する
【巴川探検バスツアー】
大谷川放水路、麻機遊水地など治水関連の施設をバスで巡り、目で見て、説明を聞くことで治水関連事業への関心と防災意識の啓発を図るイベントを、平成21年度から毎年8月上旬2回開催しています。
問合せ/静岡市役所河川課
電話.054-221-1449
川を守る
【麻機遊水地によみがえる】
生き物たちと「麻機湿原を保全する会」麻機遊水地は昭和50年から整備を進めています。
整備によって、かつての田地が掘り起こされ、これまで土中に眠っていた絶滅危惧種のミズアオイ他、多種類の植物が復元し、池や沼には数多くのトンボや野鳥が生息するなど、全国的にも注目される湿原となっています。
「NPO法人 麻機湿原を保全する会」は麻機遊水地を中心に、自然環境調査や地域住民が協力しての草刈りやゴミ拾い、自然観察会の開催などの取り組みを行っています。
みな様の声を聞かせて下さい
川との「リバーフレンドシップ」制度
参加者(流域自治会・NPO、学校、企業等)が自ら豊かで快適な河川空間を創造するために、参加者(リバーフレンド)、市及び県が同意書を交わします。
リバーフレンドは、自らの手で景観整備、美化などの活動を行い、市及び県は、活動が円滑に行われるよう協力・支援します。
住民参加型の計画づくり「パブリック・コメント」
協議会では、巴川の未来図について、治水、利水、環境という3つの視点に基づき将来計画を作成しました。
今後の整備にあたっては、流域に住むみなさまのご意見をお聞きしながら進めていきます。
このページに関するお問い合わせ
静岡土木事務所
〒422-8031 静岡市駿河区有明町2番20号静岡総合庁舎2階・4階・5階
電話番号:054-286-9306
ファクス番号:054-286-9375
shizudo-soumu@pref.shizuoka.lg.jp