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ページID1072717  更新日 2025年9月16日

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巴川の概要

巴川写真

巴川は県都静岡市の北方に位置する文殊岳を源に静岡市の東部から支川の長尾川、塩田川などと合流し、清水市の中心市街地を流れ清水港に注ぐ二級河川です。また、かつて巴川に注いでいた後久川は大谷川と結び巴川の放水路として、河口の駿河湾から合流点の古庄地先にむけて現在建設を進めています。
流域の面積は約105km2、本川の流路延長は約18kmで静岡・清水平野を縫うように流れています。流路勾配は、1/750~1/50,000で水はけが悪く昔から幾度となく浸水被害を発生させています。

画像1

安倍川と巴川の高さの差

断面図
安倍川と巴川の高さはこんなに違います。

日本最大級の急流河川安倍川は、静岡市街地の最も高い位置を「天井川」として流下しており、巴川と比べた河床の差は概ね20m、麻機低地北方では40mにも及ぶ。もし破堤すればその計り知れない破壊力は、静岡、清水両市街地のほぼ全域に達する。

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七夕豪雨

静岡県付近は梅雨前線の影響で6月27日頃から雨の日が多く、静岡市では6月28日、7月2日には1日に50mm以上の雨が降り、更に4日から5日には100mmを超す大雨が降った。第一図は、豪雨前の7日9時の地上天気図である。東シナ海を北東進した台風第8号が、7日になると対馬海峡を通り朝鮮半島南部へ進んだ。また、梅雨前線は日本海から北陸を通り愛知県から遠州灘沖をへて更に東南東へ延びていた。

天気図
気象の解説(鈴木秀雄氏(元静岡地方気象台予報官)

静岡県付近は梅雨前線の影響で6月27日頃から雨の日が多く、静岡市では6月28日、7月2日には1日に50mm以上の雨が降り、更に4日から5日には100mmを超す大雨が降った。
図は、豪雨前の7日9時の地上天気図である。東シナ海を北東進した台風第8号が、7日になると対馬海峡を通り朝鮮半島南部へ進んだ。また、梅雨前線は日本海から北陸を通り愛知県から遠州灘沖をへて更に東南東へ延びていた。
7日6時の富士山レーダーを見ると、幅30km位の帯状の雨雲が梅雨前線に沿うように北陸から紀伊半島にあり、名古屋レーダーで細かく見ると所々に雲頂高度6,000mを超す強い雨雲の塊が観測されている。
午前中から静岡県西部では雨が降り始めていたが、7日14時の名古屋レーダーでは強い雨雲の一部が静岡と愛知の県境に現れ始め、15時頃から静岡県西部で雨足が強くなり、所々で1時間に10mmを超すようになった。名古屋レーダーで18時頃から強い雨雲が静岡県西部に移動し、これと同時に19時までの1時間に佐久間町で34mm、天竜市の熊で54mmと非常に強い雨が降り始めた。

七夕図

静岡市では、7日10時45分に雨が降り始め21時までに22mmと特に強い降りではなかったが、強い雨雲がかかり始めた21時すぎになって突然バケツをひっくり返したようなものすごい雨が降り始め、第3図に示すように8日4時まで7時間も連続して豪雨が続いた。
この間の降水量は444mmを観測し、平均の1時間降水量は63.4mm、最大の1時間降水量は84.5mmとなった。その後、雨の勢いは弱まったが、やっと雨の降り止んだ8日7時55分までに508mmという9時~9時の雨量としては静岡地方気象台開設以来の記録的な大雨となり、文字どおりの集中豪雨に見舞われた。
この集中豪雨は静岡県の平野部から山間部の境界付近で起こり、特に静岡市付近で500mmを超える豪雨となった。

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異常気象の原因

上空に運ばれた大量の水蒸気

本州付近に停滞している前線に、南海上から北上してくる台風が湿った温かい空気を大量に流し込み、大雨を降らせた例はこれまでたくさんあるが、七夕豪雨もこの例にもれず、停滞前線と台風第8号が大雨の原因であった。
南海上の太平洋高気圧から日本海に進んだ台風第8号に向かって、湿った温かい空気が流れ込む典型的な気圧配置となっている。これを850hPaの天気図で見ると、更にこの模様がはっきりと現れており、静岡県付近上空には南海上から20m/s以上の強い南西風が吹き込んでいるのが見られる。
静岡県付近に大量の雨を降らせた要因の1つは、このように南海上から運ばれた大量の水蒸気であったと考えられる。

前線の東進を阻止した冷気の流入

台風経路図によると、台風第8号は7月6日9時にかけ、北東進しているが、本州中部にある前線は、東進速度が非常に遅く、1時間に10~15kmしか動いていない。
前線の東進速度が極端に遅かった原因としては、日本の東海上から中部地方に流れ込んだ冷たい気流が考えられる。7日21時の地上気温の分布図を見ると、三陸沖から南西に舌状に冷たい空気が、関東の北部を通り東海地方へ流れ込んでいる模様がよく示されている。
豪雨が長時間続いた最大の原因は、前線がほとんど停滞していたためであり、その要因は顕著な冷気の流入であったと考えられる。また、この冷気の流入は前線を強化した大きな要因でもあった。

地上天気図には現れない湿舌

7日21時の700hPaの乾燥域と湿潤域の分布図を見ると、八丈島付近から南西に広がる上空大気の乾燥域と、また別の乾燥域が、九州の西方海上から日本海西部へ延びている。
 一方、この2つの乾燥域に挟まれたように四国の南海上から紀伊半島を通り、静岡県付近から関東へ延びる湿った空気が明瞭に現れている。この湿ったところを湿舌(しつぜつ)と呼んでおり、この湿った帯状の地域に、南海上から強い雨雲の塊が次々と入り豪雨をもたらせた。湿舌による代表的な大雨として長崎豪雨がある。

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七夕豪雨による静岡、清水市の被害

この豪雨は、日雨量508mmの記録的な降雨となり、静岡・清水両市では各所で、崖崩れ、道路の決壊、中小河川の氾濫などが続発し、家屋の倒壊、家財道具の流失、死者が出るなど痛ましい災害となりました。
特に、27名の犠牲者のうち4名は巴川の洪水による方々でした。
その被災状況を、当時の写真、新聞記事や関係者の手記などで振り返り、痛ましい災害を再び記憶にとどめ、治水への教訓にしたいと思います。

水害統計

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七夕豪雨の痕跡

雨水貯留施設

痕跡写真

静岡県土木部では、七夕豪雨で浸水した巴川流域の約2,600ha、206地点で洪水位の聞き込み調査を実施しました。
この表示は、比較的見やすい場所180地点の電柱に写真のような洪水痕跡の表示板を取り付け、住民への周知に務めています。

痕跡写真

痕跡写真

痕跡写真

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