巴川の地形
静岡市と清水市を流れる巴川周辺の土地は、中流部が低くお皿のような地形になっています。このため、水がたまりやすくなかなか引かないという特徴があります。
このようなことから巴川は大雨が降るたびに洪水となり、浸水被害をおこしてきました。
巴川に沿ってみてみると・・・
標高50mの丘陵地に降った雨は、いっきに流れ出し、田畑の広がる中流部でこらえきれずあふれ出し洪水をおこします。
また、宅地や工場のある低くて平らなところに降った雨は、川になかなか流れ出ず、浸水被害をもたらします。
巴川総合治水対策
昭和49年の七夕豪雨がきっかけとなり、私たちのまちとくらしを浸水災害から守るために「巴川総合治水対策」が行われています。
おもな計画は下の4つです。
川の拡幅計画

巴川にたくさんの水を流せるようにします。
下流部の川幅を広げる工事が平成13年度に終わりました。
川を拡幅すると同時に、流水の阻害となっていた橋を架け替えました。(稚児橋付近)
巴川の河童
巴川にはじめて橋がかけられたとき、にぎやかに渡りぞめが行われたことにより、ならわし通りに最初に選ばれた老夫婦が渡ろうとしたところ、どこからかおかっぱ頭の男の子が現れ、アレヨアレヨという間に渡ってしまったのです。
そして男の子は、そのまま府中(現在の静岡)の方へ歩いて行ってしまいました。
実はその男の子は、巴川に住む河童だったのです。
はじめは呆気にとられていた人々も、あの子供はきっと神様の使いに違いないと、たいそう喜び、その橋に「稚児橋」と名付けたと言うことです。
遊水地計画
巴川は河道が緩勾配であるため、過去度々出水により大きな災害を受けており、流域住民は江戸時代から数度にわたる改修工事を行うなど、治水対策に努力してまいりました。
昭和49年7月の大出水(七夕洪水)により、浸水家屋約26,000戸という大きな被害を出し、これを契機に昭和53年度には、国において新たに創設された総合治水対策特定河川に指定されました。 これは河道改修等のハード対策と共に適正な土地利用の誘導、開発に伴う流出増の抑制策などのソフト面での対策を平行して行い、流域全体で洪水の軽減を図ることを目的としています。 巴川の改修計画は本川下流部の局部的な改修による流下能力の増強、大谷川放水路の建設による上流域の洪水分水、多目的遊水地の建設による洪水の調節の3つを柱としています。
計画規模は緊急な設備を目指す暫定計画(年超過確率1/5、時間雨量58mm/h)と長期的な展望に立った将来計画(年超過確率1/50,時間雨量92mm/h)の2本建てとしています。現在は、この内の暫定計画に添って昭和53年度から多目的遊水地事業、54年度から総合治水対策特定河川事業に着手し、それぞれ麻機遊水地と大谷川放水路の建設を促進しています。
麻機遊水地
中・下流部へ流れ込む川の水を減らします。(整備面積約200ヘクタール)
43%にあたる約86ヘクタールがすでに完成し、中流部・下流部の浸水被害を軽減しています。
大内遊水地
清水区の浸水被害を減らすためこれから整備を進めます。(整備面積12.5ヘクタール)
放水路計画/大谷川放水路
大谷川放水路は、巴川の中流部静岡市古庄地先に分水施設を設け、毎秒150m3流量を分水し、巴川支川後久川を拡巾したのち、国鉄東海道本線南側から、2,650mを新規に開削し、大谷川に接続させ、従来の大谷川流域の流量を合わせ、静岡市大谷地先で、毎秒400m3の流量を駿河湾に直接放流させるものです。
事業の目的
巴川流域における浸水被害の軽減
巴川上流部の洪水の一部を分水し、巴川流域の浸水被害を軽減させます。
大谷川流域の洪水に対する安全度の向上
大谷川放水路計画に合わせ、河道整備、支川改修及び低地帯の嵩上げを行い、洪水に対する安全度を向上させます。
津波・高潮による被害の軽減
河口部に防潮水門を設置し、地震時の津波、台風時の高潮による被害を軽減させます。
●延長6.3km・幅25m~35m
●平成11年5月に完成し、下流部の浸水被害を大きく軽減しています。

雨水貯留計画
川へ流れ込む水を減らします。
●現在、学校のグランド・公園・駐車場、建物と建物の間などを利用して整備を進めています。
●整備容量約860万立方メートル
●65%にあたる約62万立方メートル(約800ヶ所)がすでに完成し、雨水が川へ流れ出るのをおさえています。
巴川情報管理システム
現地の情報をリアルタイムで監視する光ネットワークが巴川流域の住民の暮らしを洪水や津波から守ります。
県庁・・・静岡県全域の状況を把握し、広域的な災害対策を行います。
巴川の情報は、県下全域の雨量、水位、施設情報と一元化され、広域気象情報と併せて、全県下の洪水対策を行います。県下全域の土木総合防災情報システム(SIPOS II)で収集した、巴川流域の雨量は巴川情報管理システムに提供します。
土木事務所・・・巴川流域約38万人の暮らしを災害から守ります。安全・確実・迅速な施設の運用、災害対策を行います。
連続的な水位監視と画像監視により、洪水の状況を監視し、遊水地内への洪水の流入が近づいた場合は、警報により公園を利用しているみなさんにいち早く危険をお知らせします。
分流堰・・・巴川本川の洪水の一部を分流し、下流の洪水を低減します。
連続的な数位監視と画像監視により、安全・迅速なゲート操作を行い、洪水を放水路に分流します。ゲートの稼働、放水路の急激な増水に対しては、警報により河川内に人がはいらないようお知らせします。
耐震水門・・・津波の河川への遡上を防止します
津波警報発令時や津波発生時には、水門を閉鎖し、河川への津波の遡上を防ぎます。水門操作時は、警報により水門が閉じる事をお知らせします。津波や河川の増水状況、水門状態はカメラで常に監視し、安全な対応を行います。
大谷川放水路の整備効果
大谷川放水路が平成11年5月に完成しました。
静岡県内各地に大雨をもたらした平成13年9月の台風15号。巴川流域では、平成11年5月に完成した大谷川放水路に上流域の雨水が分水されたため、同じ規模の降雨があった平成10年9月の洪水に比べて、大幅な被害の減少が見られました。
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