しずおかリノベーションまちづくりフォーラム2026

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ページID1079208  更新日 2026年5月7日

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「しずおかリノベーションまちづくりフォーラム2026」開催報告

令和8年3月11日、静岡市のグランシップにて「リノベーションまちづくりフォーラム2026」を開催いたしました。全国各地で都市再生やリノベーションまちづくりに取り組む西村浩氏の基調講演、県内で実践する当事者と行政担当者を交えたパネルディスカッションを通じ、これからのまちづくりに必要な考え方や実践のヒントを学ぶ貴重な機会となりました。

概要

開催日

令和8年3月11日(水曜日)

午後1時30分から4時40分まで (午後1時開場)

会場

グランシップ11階・会議ホール風

(静岡市駿河区東静岡2-3-1)

内容

1.取組発表「県内のリノベーションまちづくりの動きと見えてきたモノ」

 登壇:県、伊東市、裾野市、磐田市

 

2.基調講演「縮退の時代に生き残るための新しいまちづくり実践論」

 登壇:株式会社ワークヴィジョンズ代表取締役 西村 浩 氏

 

3.パネルディスカッション1「どんな人材がまちを変えるのか」

 登壇:西村 浩 氏、鈴木 智博 氏(合同会社REIVER)、髙林 健太 氏(株式会社HACK)

 

4.パネルディスカッション2「実践者×支援機関 沼津市の事例に見るサポートの仕方」

 登壇:西村 浩 氏、鈴木 智博 氏、臼井 久人 氏(沼津市都市計画部まちづくり政策課)

取組発表「県内のリノベーションまちづくりの動きと見えてきたモノ」

市職員

伊東市 泉 靖浩 氏

 伊東市では、商店街の衰退と空き店舗の増加が課題となる中、民間主導のまちづくりへ転換するためリノベーションスクールを開催。担当者自らがまちに出て、約60人以上に直接アプローチするなど、徹底した関係づくりを行いました。スクールでは遊休不動産を対象に具体的な事業提案が生まれ、ゲストハウスや交流拠点など実現に向けた動きが進行中。スクールを通して人材と物件を結びつけることで、小さな実践がまちの再生につながり始めています。

裾野市 有村 ひとみ 氏

 裾野市では、まちづくり塾を通じて地域の特性を再認識し、企業集積と個性的なローカル店舗が共存する強みを可視化。担当者自らが店舗を訪れるなど現場に入り込み、民間との関係性構築を重視しました。また、庁内横断のプロジェクトチームを組成し、駅前公園でのビアガーデンを実証実験として実施。公共空間の新たな使い方を検証しながら、スピード感ある意思決定と柔軟な対応により、まちの新たな可能性を引き出しています。

磐田市 大野 寛達 氏

 磐田市では、民間プレイヤーの動きを起点としたまちづくりが進み始めています。中心となっているのは、若手商業者による団体で、出店支援やイベント企画などを自ら仕掛けるなど、エリアに新たな動きを生み出しています。担当者はその動きをいち早く捉え、キーパーソンとの関係構築を通じて支援へとつなげる役割を担っています。現場に足を運び、民間の熱量を戦略に取り込むことで、小さな実践をまち全体の変化へと拡げていっています。

 

基調講演 「縮退の時代に生き残るための新しいまちづくり実践論」

西村氏講演

講師:西村浩氏(株式会社ワークヴィジョンズ)

「空き」は新しい価値を生み出す

 人口減少が進むこれからの時代を「縮退の時代」と位置づけ、西村氏は拡大を前提としてきた都市づくりから、既存資産を生かすまちづくりへの発想転換の必要性を示しました。空き家や空き店舗の増加も悲観するのではなく、「空いているからこそできることがある」という視点が重要です。 

 不動産の価値は敷地単体ではなくエリア全体の魅力で決まります。建設費が高騰する一方、家賃はエリアの人気によって左右されるため、まちの魅力を高め「選ばれるエリア」にすることが、不動産価値の向上につながります。 

子どもの笑顔が街の価値を変える

 実例として紹介されたのが、長野県佐久市での社会実験。人工芝や可動式家具など最小限のしつらえで公共空間の使い方を変えると、人が集まり、まちの雰囲気が変化しました。その変化は不動産事業者の意識にも影響し、民間投資へとつながます。 

 また、佐賀市では中心市街地の空き地を緑の広場として活用することによって、子どもや家族が集まる場所が生まれました。不動産オーナーにも利益が還元される仕組みを整え、まちの価値が高まる好循環が生まれています。 

大事なのは当事者の存在と妄想力

 こうした取組を動かすのは、計画ではなく「当事者」。数人の仲間から小さく始め、空き家活用などの実践を重ねることで、まちの風景は変わっていきます。空き家や空き地はまちの可能性を広げる資源であり、「空きは価値」。まちの未来を思い描く妄想力と、それを実践する当事者の存在こそが、これからのまちづくりを動かしていきます。 

パネルディスカッション1「どんな人材がまちを変えるのか」

パネルディスカッション1

ファシリテーター:西村浩氏

パネリスト:合同会社REIVER代表・鈴木智博氏 (沼津市)、株式会社HACK代表取締役・髙林健太氏 (浜松市)

 パネルディスカッション1では、静岡県内でリノベーションまちづくりを実践する2人の活動を通じ、まちを変える人材の姿と地域に新しい動きを生み出す仕組みが語られました。

公共空間からまちの雰囲気を変える(浜松)

 浜松出身の髙林氏は、森ビル株式会社で都市計画やタウンマネジメントに携わった後、浜松にUターン。地元の不動産会社での経験を経て独立し、浜松市中心部の公共空間「新川モール」の活用に取り組んでいます。「まち食堂」では企業会員制度を導入し、地域の飲食店を福利厚生として利用する仕組みを構築。「水曜日の夜喫茶」は130回以上開催され、延べ5,000人以上が参加するコミュニティへと成長しました。活動を「半径100メートル」に集約することで、小さな場の積み重ねが街の雰囲気を変え始めています。

遊休不動産の可能性を引き出す(沼津)

 一方、東京出身の鈴木氏は、株式会社NTTファシリティーズで建築設計やまちづくりに携わった後、「限界集落の再生」に関心を持ち沼津市戸田へ移住。空き物件をリノベーションしたホテル運営やクラフトコーヒー焙煎所の立ち上げなど、地域の拠点づくりを進めています。さらに沼津市中心市街地では、空きビルを一定期間無料で貸し出す「for now」プロジェクトを展開。利用者は家賃ゼロ、共益費のみで入居できる仕組みとし、約20年間空いていたビルに入居が生まれるなど、遊休不動産の活用につながり始めています。 

熱い思いと妄想力、挑戦を楽しむ姿勢

 2人に共通するのは、「まちを良くしたい」という思いを原動力に、小さな取組から始めて地域と対話を重ねながら仕組みをつくっていく行動力。既存の資源を生かした実践が周囲に波及し、新しい人の流れや活動が生まれ始めています。未来を思い描き、挑戦を楽しみながら行動する2人こそ「まちを変える人材」です。 

パネルディスカッション2「実践者×支援機関 沼津市の事例にみるサポートの仕方」

パネルディスカッション1

ファシリテーター:西村浩氏

パネリスト:鈴木智博氏、髙林健太氏、沼津市まちづくり政策課・臼井久人氏

 パネルディスカッション2では、沼津市都市計画部まちづくり計画課の臼井久人氏が加わり、実践者と支援機関がどのように関わりながらリノベーションまちづくりを進めていくのかについて議論が行われました。

行政や金融機関は「伴走者」として、民間の挑戦を支える

 臼井氏は、沼津市のリノベーションまちづくりが2008年頃から公民連携の取組として進められてきた経緯を紹介。人口減少などの課題を背景に、行政主導ではなく民間の挑戦を支える立場でまちづくりを推進した沼津市では、この取組をきっかけに生まれたプロジェクトが累計82件にのぼり、重点エリアを設定しながら民間物件と公共空間の活用を組み合わせ、面的な広がりが生まれています。

 また、沼津市、沼津信用金庫、民間都市開発推進機構などと組み、民間の挑戦を後押しする仕組み「沼津まちづくりファンド」は、鈴木氏の宿泊事業立ち上げの際にも活用され、古い建物は融資を受けにくいという課題に対し、公的な後ろ盾や投資スキームが信用補完の役割を果たしたといいます。 

民間の挑戦を広げる行政の役割

 議論では、リノベーションまちづくりは個人の熱量から始まるものの、継続的に広げるためには資金循環や支援の仕組みが不可欠であることが共有されました。行政による信用力の補完や公共空間活用の制度づくり、企業や金融機関の参画など、多様な主体が関わることで民間の挑戦が広がり、まちの価値向上につながっていきます。

このページに関するお問い合わせ

経済産業部商工業局地域産業課商業まちづくり班
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2521
ファクス番号:054-221-5002
mati@pref.shizuoka.lg.jp