令和6年度 黄綬褒章受章者(技能功労)の紹介
春の受章者(50音順・敬称略)
武内 昭人(静岡市清水区)株式会社鉄組潜水工業所
潜水士という特殊な職業において、港湾に関する工事・調査を中心として、波浪、潮流、水圧、浮力等、水中での特異な条件の中、数々の成果・実績を挙げてきた。水中での視界が十分確保されていない(水の濁り、光の届かない水深等)状況下においても、長年培った経験をもとに、目的とする構造物の出来形や調査結果を的確に判断できる技能を有している。港湾工事業界においての功績も大きく、東海大学海洋学部との共同研究によって水中コンクリート構造物の非破壊試験器を開発し、経年劣化したコンクリート構造物の耐力を効率的、かつ正確に評価することできる機器を安価で提供することを可能とし、港湾構造物の維持管理に広く貢献した。
また、潜水業務に携わりながら、経験と資格をもとに大学や法人において講師を務め、潜水業務に必要となる資格取得講習や潜水技術習得講習に携わり、潜水作業者の育成と潜水技術の伝承に取り組んでいる。
秋の受章者(50音順・敬称略)
海野 克己(藤枝市)有限会社海野かわら
かわらふき工として合端合わせや棟積みの技能に卓越しており、合端合わせにおいては、瓦の行儀を瞬時に見分けて選別し、瓦をミリ単位で加工調整することができるため、瓦屋根全体で隙間のない滑らかな曲線を作り出すことができる。また、地震や風による屋根瓦全体の飛来や脱落防止措置を考え、独自の耐震・耐風のための強化棟施工として棟部分の瓦が家の躯体と一体となるように連結する方法を考案し、県内外の同業者に講習を行っている。
県内各地の風圧力に基づく独自の施工基準を設け、施工を行ってきたことで、全国的な団体が開催する講習会でのインストラクターとして、それぞれの地域の風圧力の算定方法について講義を行い、県内では団体の会長を務め、技能競技大会の選手育成や若手職人へ技能検定受検を推奨及び技術指導を行い、業界の発展に貢献してきた。
小山 賢治(浜松市中央区)有限会社小山組
建築とび工として長年従事しており、その就業期間は五十三年に及ぶ。張出し足場、吊り足場に関する技能に特に優れており、屋上看板を設置する場合の足場として、浜松地域特有の強風にも耐えられるよう、安全率を充分に考慮した強度計算や、固定・補強の点数を増やすことで安全な足場を施工することができる。現在は、鉄道補修の足場を中心に手掛けており、始発までの限られた時間で終わらせるために無駄のない作業手順を構築し、天候不順や列車の遅れなどの事態を想定した作業員配置をすることで運行に支障の出ない施工を行っている。また、技能検定委員や安全衛生教育などの講習会の講師も務めており、「足場の組立て等作業主任者」安全衛生教育においては平成十三年から十九年間にわたり実技講師を委嘱されており、近年義務化された「フルハーネス型安全対使用作業特別教育」においても講師を務めとび職人の後継者育成や団体の発展に貢献している。
瀧 こと代(富士市)コトヨ洋服店
紳士服製造について独学で技能を磨き、顧客の体型や好みなどに合わせて精緻な製図を行い、後工程の仮縫いで手直しを発生させないことを心がけて日々技能の研鑚に努めた結果、県外からも依頼が来るようになった。また、紳士服の型紙からワイシャツを作る技能は、当時、男性中心の業界で女性の第一人者として認められ、業界団体で実施する講習会の講師も務めた。
自身が左上肢の機能障害となった後、技能向上を目的として出場したアビリンピックでは、国際大会に洋服・洋裁の二種目に出場し、洋服種目では銅賞を受賞した。また、障害のある方や子育てによる離職者などに対して技能指導を行い、就職や開業へと導いた。
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